私を抱いて…離さないで

真田晃

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第三章 パパ

87.

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あれは──私が11才、小学5年の頃。
施設でも学校でも、同い年の女の子の殆どが初潮を迎え、二つの胸も膨らみ、身体のラインや興味が大人へと一歩進んでキラキラと輝いている中……相変わらず私は、クラスに馴染めなかった。

祐輔くんが直してくれた、家族写真。ツギハギだらけのそれが、忽然と消えた。
私にとって、それは大切なもので。あの時助けてくれた、祐輔くんの思いまで一緒に失ったような気がして。学校の至る所を手当たり次第探したけど……全然見つからなかった。
その帰り道。

『……おい、お前!』

誰かが私に声を掛ける。振り返って見れば、それは同じ施設の先輩で。最近、部活か何かで足を怪我したらしく、松葉杖をついていた。

『お前が探してんの、コレ?』

ひょこひょこと杖をつきながら私に近付き、左の腰ポケットから不器用そうに何かを取り出す。
差し出されたそれは、ツギハギだらけの……

『うちのクラスの女子が拾って騒いでたから、奪ってきてやった。……大事なモンなんだろ?』
『……うん』

それを受け取ろうとして、スッと引っ込められる。

『オイオイ。只で返して貰おうなんて、虫が良すぎねぇ?』

それまで優しそうな笑顔を浮かべていた先輩が、一瞬で厭らしい目付きに変わる。

『10万。……いや、可哀想だから5万で売ってやるよ』
『………え』

そんな大金、持ってない。
ましてや小学生の子供に払える筈も無かった。
困惑しながら顔を伏せると、視界に松葉杖の先が映り込み、先輩が私ににじり寄る。

『払えねぇなら……身体で払うか?』

ニヤニヤと口元を歪ませ、恐ろしくギラつかせる二つの眼。


「私は、その写真を取り戻す為に……先輩の言う事を聞いて──」

そこまで言うと、先生が私の手をキュッと強く握る。チラリと先生を見れば、真っ直ぐ前を向いたそのつり目が、更に険しくつり上がっているのが解った。


『小せぇけど、ちゃんとあんじゃん』

皆が寝静まった頃。消灯を迎えた施設の特別ルームに呼び出された私は、先輩に言われるがまま……上着を全て脱いだ。
膨らみ始めた胸。まだスポーツブラをする必要もない程で……剥き出しのソレを、先輩の前に晒す。
それを舐めるように見た先輩が、厭らしい手を伸ばす。

『……やだ……』

両腕で前を覆えば、それを許すまいと手首を引っ掴まれる。

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