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第三章 パパ
81.
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『……美麗くんってさぁ、アフターで枕してくれるのかなぁ』『さぁね。……でも、あの子優しいから。同情でも引いとけば、慰めついでにヤッてくれんじゃない?』──瞬間、いつかのキャバ嬢二人の会話が過る。
「……」
もし……この先大山さんが祐輔くんと親しくなって、そういう関係にでもなったら……
想像しただけで、胸が痛い。
「ねぇ、美麗くん。彼氏いる癖にホスト遊びしてる子って、どう思う?」
「……!」
わざとなのか。大山が身体を正面に向けて、ドリンクを取りながらそう言う。チラリと琉偉に視線を送りながら。
「単純に、その彼氏より俺らの方が魅力的って事なんじゃね?」
「……えー、そうなのかなぁ」
挟まれた状態で、二人の会話が弾む。
……多分、私の事だ。
でも……何で、急にそんな話……
「でもぉ……その彼氏ってね、他校にもファンクラブができる程、超格好良くて、超優しい人なんだよ」
「……えぇ、マジ?! じゃあその彼女、相当な美人なんじゃん?」
琉偉が身を乗り出して食いつくと、大山が手を叩いて笑う。
「アハハ。琉偉くん面白ーい!……ねぇ、川口さん」
「……」
求められた同意に、どう答えていいか解らない。
居心地が、悪い……
人々の談笑、バックミュージック、遠くで聞こえるコールが混沌とし、くぐもって聞こえる。
「その子ってぇ、ここにいる川口さんの事だよ!」
屈託のない笑顔で、大山が爆弾を落とす。
驚く琉偉。黙ったままの美麗。
大山によって吊し上げられた私に……逃げ場なんてない。
………こんなの、嫌。
帰りたい──
「……ねぇ、美紀子ちゃん」
混沌とした空気を、静かに切り裂く声。
「言いにくいんだけどさ……あまり友達を悪く言わない方がいいよ」
ずっと押し黙っていた美麗が、真っ直ぐ大山を見つめる。
その瞳は、真剣そのもので。
「……え、でもぉ……これは愛情入ってるイジリだからぁ」
「俺には、全然そう聞こえないよ」
美麗の、優しくも芯の通った声。
その雰囲気に、大山から笑顔が消える。
「……」
もしかして、祐輔くん……
私を庇って、くれた……?
「……」
もし……この先大山さんが祐輔くんと親しくなって、そういう関係にでもなったら……
想像しただけで、胸が痛い。
「ねぇ、美麗くん。彼氏いる癖にホスト遊びしてる子って、どう思う?」
「……!」
わざとなのか。大山が身体を正面に向けて、ドリンクを取りながらそう言う。チラリと琉偉に視線を送りながら。
「単純に、その彼氏より俺らの方が魅力的って事なんじゃね?」
「……えー、そうなのかなぁ」
挟まれた状態で、二人の会話が弾む。
……多分、私の事だ。
でも……何で、急にそんな話……
「でもぉ……その彼氏ってね、他校にもファンクラブができる程、超格好良くて、超優しい人なんだよ」
「……えぇ、マジ?! じゃあその彼女、相当な美人なんじゃん?」
琉偉が身を乗り出して食いつくと、大山が手を叩いて笑う。
「アハハ。琉偉くん面白ーい!……ねぇ、川口さん」
「……」
求められた同意に、どう答えていいか解らない。
居心地が、悪い……
人々の談笑、バックミュージック、遠くで聞こえるコールが混沌とし、くぐもって聞こえる。
「その子ってぇ、ここにいる川口さんの事だよ!」
屈託のない笑顔で、大山が爆弾を落とす。
驚く琉偉。黙ったままの美麗。
大山によって吊し上げられた私に……逃げ場なんてない。
………こんなの、嫌。
帰りたい──
「……ねぇ、美紀子ちゃん」
混沌とした空気を、静かに切り裂く声。
「言いにくいんだけどさ……あまり友達を悪く言わない方がいいよ」
ずっと押し黙っていた美麗が、真っ直ぐ大山を見つめる。
その瞳は、真剣そのもので。
「……え、でもぉ……これは愛情入ってるイジリだからぁ」
「俺には、全然そう聞こえないよ」
美麗の、優しくも芯の通った声。
その雰囲気に、大山から笑顔が消える。
「……」
もしかして、祐輔くん……
私を庇って、くれた……?
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