私を抱いて…離さないで

真田晃

文字の大きさ
上 下
16 / 96
第一章 初恋の人

16.五万の価値 *

しおりを挟む
* * *



「……そろそろ、動くね」

はぁ……、と熱い息を漏らしながら、男がゆっくりと腰を動かす。
半分ほど肉茎を引き抜かれ、圧迫された膣内と入り口が擦り上げられる。自慰で得られる快感とは違う……ピリピリとした、何ともいえない感覚。
挿った時よりも、太さと硬さが少しだけ緩んだような気がする。……痛くはない。
けど、気持ち悪い。ナカで繋がる行為そのものよりも、ベトベトしたおじさんの肌が、私の肌と接触するのが。

「……ハァ、……
やっぱり処女の生ハメは、違うね……ハァ、ハァ……」

ズッ……ズッ……
勿体ぶっているのか、味わってるのか。動きが鈍い。
もう早くイッて、早く終わらせてよ。

「誰も踏み込んだ事のない、狭い孔に突っ込んで……開通させる感じと、この強い圧迫感。……ハァ、ハァ……いいね、ゾクゾクするよ……良く締まって、気持ちイイ……」
「……」

そう……なんだ。
私には良く解らない価値観。
処女に拘る人は、そうなのかもしれない。でも、適齢期をとうに過ぎたおばさんの処女だったら、流石に引くよね。きっと。
結局処女なんて、単なる付加価値に過ぎない。……あ、でも『処女は重い』とか『面倒』って言ってた男性もいるし。付加価値かどうかなんて、個人の問題か……。

すぐ上空で、ハァハァと漏れる、おじさんの熱い口臭。体臭、加齢臭と混ざり合い、辺りの空気は混沌としている。更に、のし掛かってくる肉塊のせいで、息苦しくてたまらない。
辛いんだろう。腰の動きが完全に止まり、目をギュッと瞑った。

「……ぅうっ、……ごめんね。やっぱり、持ちそうにない……」
「……」
「初めてなのに、……ごめんね。
気持ち良く、させてあげられなくて……」

言い切るか切らないうちに、再開されるピストン。
今までとは違う、激しく速い動きに、ナカが何度も擦られ、抉られる。

グチュッ、グチュッ……
下から聞こえる、卑猥な水音。揺れる視界。

……ハッ、ハッ、
パンパンパンッ……

「………」

数往復の後、おじさんは……果てた。





「……約束の、五万ね」
「………」

手渡しをされ、受け取ったその紙幣に……重みなんて感じない。
長時間拘束されて、汗水垂らして得たバイトのお金と、見た目は何ら変わりはないのに。
不純。──きっとこのお金も、おじさんが汗水垂らして得たもの。
なのに、私の手に渡った途端、汚れて価値の下がった代物になった気がする。

「ありがとう。……最高だったよ」


単なる、援交。
ラブホテルから出てしまえば、もう二度と会うことはない、赤の他人。処女専なら尚更。
それを惜しんでいるのか。決まり文句なのか。……もう、それすらよく解らない。


「……」

──ありがとう、おじさん。


決まり文句を、心の中で呟く。

でも、少しは感謝してる。私の嫌がる事は、決してしなかったから。
生でしていい代わりに、胸には一切触れない──その条件をのみ、最後まで守ってくれた。

それに、こんな私の処女を、五万で買ってくれたんだから……

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。 でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。 けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。 同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。 そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

処理中です...