白くて細い、項

真田晃

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世界が、一変した。

この事実を、どう受け止めていいか解らない。



告白を断った翌日。
全ての人間が、僕とは別次元に住んでいるような気がして。……怖くて、堪らなかった。
見えない壁で遮られ、決して混じる事を許さない。

出来損ないの僕なんて、この世にいらないんだ。
排除されるべき存在なんだ……

ざわめく教室。居心地が悪く、廊下に飛び出す。
出てすぐ、会話を弾ませる女子達とすれ違う。

「……、」

その瞬間、彼女達が僕を卑下た目つきで見たような気がした。



……気のせい。

そう思い込んで、何とかやり過ごす。

だけど、知らなかった。
女子同士の繫がりというか、情報網は想像以上に凄くて。告白を断った後、根も葉もない噂が横行していた事に。
僕がナルシストだとか。熟女好きだとか。実は男の娘で、女装した姿でナンパされるのが癖だとか……
そんな噂はあっという間に広まり、否応なく僕の耳にも届いた。

「……」

元々連むのは苦手だったし。
……別に、ハブられたっていい。

そんな強がりを抱きつつ、何処か淋しさを感じながら……
これ以上傷付けられないよう、周りとは一線を引いた。



学校へ行くのは、勉強する為だけ──

そうは言っても、班を組んだりペアになったりする時は、一人:溢(あぶ)れてしまい……どうしようも無い気持ちになってしまう。

世界が、この世の全てが、僕を排除し闇に葬り去ろうとしているようで……追い詰められて、息苦しくて……




「……瑠風」

そんな中……
たまに遊びに来てくれる純くんだけが、僕の心の拠り所だった。

「淋しかった?」
「……うん」

優しい眼差し。
胸がキュンと締め付けられる。


ちゅ、くちゅ……

僕の部屋で二人きり。
優しく抱き締められ……貪るように、何度も唇を重ねる。

キスが深くなり、舌を絡ませる度に……心が軽くなっていく。

何もかもが、どうでも良くなる──



「瑠風はここ、自分で弄った事はある……?」

背後から伸びた純くんの綺麗な指先が、布地を押し上げた僕のソコに触れる。
戸惑いながらも恥ずかしくなって俯けば……キュッと抱き締められ、曝けた項に顔を埋められる。

「……え……」

スルッ……
純くんの手が、躊躇なく僕の下着の中へと侵入し──


「………ゃだっ、」


言葉では拒絶するものの、全然イヤじゃなくて。
本当はもっと、純くんに触れて欲しくて。……溺れてみたくて。

「もっと、足開いて」
「……」
「……どう? 気持ちいい……?」

僕が本当の姿で居られるのは、純くんの前だけ。
……僕の大切な、居場所。


「……ぅ、ンんっ……!」


世界が狭まれば狭まる程……
僕は純くんから、離れられなくなっていく。





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