189 / 199
菊地編
189.
しおりを挟むザー……
立ち上る湯気と菊地のせいで、逆上せそうになる。
顔が、熱い。身体も、心も……全て。
奥が疼き、今までとは違う胸の高鳴りに気付く。
そんな事、言われたの……初めてだ……
……どうしてこの人は……
ここまで僕の事を……
「……可愛いな、お前」
間近で揺れる、ふたつの瞳。
手を伸ばし、そっと菊地の頬に触れる。
ざらざらとした肌。
左目下のジュクジュクした湿疹は、以前より範囲が広がっている。
でも……嫌じゃない。
菊地は、菊地だ。
例えゾンビだったとしても、何も変わらない。
今の気持ちは、絶対に……
もっと、僕を好きになって……
もっと触れて……
……キス、して……
「そんなに、煽るなよ」
頬に触れた僕の手を取り、指先にチュッとキスを落とされる。
「また、したくなるだろ……」
「……いい、よ」
溺れたい。
もっと、この人に。
とろとろに甘やかされて、蕩けてしまいたい。
「して……」
言うか言わないかのうちに、唇を塞がれる。
窒息してしまう程の深いキスに、意識が朦朧とする中……必死に菊地の首に、右腕を掛けた。
10
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
【連載再開】絶対支配×快楽耐性ゼロすぎる受けの短編集
あかさたな!
BL
※全話おとな向けな内容です。
こちらの短編集は
絶対支配な攻めが、
快楽耐性ゼロな受けと楽しい一晩を過ごす
1話完結のハッピーエンドなお話の詰め合わせです。
不定期更新ですが、
1話ごと読切なので、サクッと楽しめるように作っていくつもりです。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
書きかけの長編が止まってますが、
短編集から久々に、肩慣らししていく予定です。
よろしくお願いします!
【完結】別れ……ますよね?
325号室の住人
BL
☆全3話、完結済
僕の恋人は、テレビドラマに数多く出演する俳優を生業としている。
ある朝、テレビから流れてきたニュースに、僕は恋人との別れを決意した。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる