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ハイジ編
69.
しおりを挟む強い刺激に、精神ごと引っ張り上げられる。
身体中の血液が一気に沸騰し、手足の末端にまで勢いよく押し流される。
頬は火照り、肌の表面がうっすらと湿り気を帯びれば………仄かに立ち香る、妖艶で淫靡な甘い匂い。
……はぁ、はぁ、はぁ
肩で何度も息をし、脱力しきった両腕を何とか動かす。そして額の辺りに両腕をのせ、火照りきった顔を隠す。
スルリと剥がされる、ズボンと下着。僕の腿裏にハイジの手が掛けられ、両膝が胸の方へグイッと押し上げられる。
まだ果てずに張り詰め、先端を寂しく濡らす陰茎。その下にある、小さな窄まり。幾重にも折り重なったその襞に、熱の籠もったハイジの吐息が掛かった。
「………!」
壊される……!!
次に来るだろう衝撃に、ぶるっと震える身体。
もし、ソコを刺激されたら……どうなってしまうんだろう……
怖い……やだ……
……やだ……!
「………さくら……?」
徐に、僕の足が下ろされる。
ベッドに手を付き、ゆっくりとハイジが顔の方へと上がってくる。
熱く、硬く、苦しそうに張り詰めた、ハイジの肉茎。
その先端が僕の腿やお腹を掠め、先走った液で濡れ広がった。
「さくら……」
天から降ってくる、遠慮がちな声。
柔らかな溜め息をついた後、安心させるように僕の髪をそっと撫でる。
「もう、止めとこうぜ」
その言葉に驚き、顔を隠した腕を少しだけずらす。
腕の隙間からハイジをチラリと覗き見れば、その表情は想像していたものよりもずっと穏やかだった。
「さくらの甘い味、堪能させて貰ったし……もう、充分……」
僕を気遣う、ハイジの綺麗な瞳。
纏うオーラは柔らかで。壊れたかもしれないと思っていた雰囲気も、まだ何処か甘い。
「………」
そんな訳、ない……
あそこまでして、途中で止めるなんて……
直ぐに目を伏せ、頭を傾げたまま首を小さく横に振る。
それなのに。ハイジは僕から下り、隣に身体を横たえてしまう。
……どうして……
「無理すんなって……」
優しくされればされる程、もやもやとしたものが胸中に黒く渦巻いていく。と同時にじりじりと痺れ、胸の奥から淋しさが込み上げる。
顔を隠していた腕を、瓦礫が崩れるかの如く取り外す。まだ熱いままの頬を晒し、肘枕をして僕を見つめるハイジの腕へと手を伸ばす。
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