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そこから自身の片手を差し入れれば、肌と肌が触れ合って……脳内へと快感物質が押し流されていく。


「随分と、可愛く誘うんだね……」


その手の甲に手のひらを重ねられ、誘導されながら更に上へと滑らせていく。
必然的に、大きく捲り上げられる布地。その下から覗く、桜色の小さな蕾。ひんやりとした空気に触れ、ふるっと小さく震える。


「……んッ」


甘い蜜を含む視線が、露わになったその膨らみを真っ直ぐ捕らえる。

ただ……それだけで。
下肢の中心に熱が集まり、後ろと視姦されたソコが期待で疼く。


「俺に、どうして欲しい?」


小さく動く形の良い唇。そこから吐き出される、意地の悪い質問。
熱くて柔らかな吐息のベールが、羽毛の如くふわりと肌を擽り、産毛を揺らしながら消えていく。


「……ぁあ、ん″……」


ただ、それだけで。
堪らず身を捩り、鼻に掛かったような甘ったるい声が溢れ出てしまう。


「……」


いや、だ……

……こんなの、僕じゃない……

おかしい……
何か、……ヘンだ……


頭の片隅の方で、まだ理性の残るもう一人の自分が警鐘を鳴らす。


……まさか……キスの時……

何か、入れられた……?


ふと思い出されたのは、咥内を弄る樫井の舌先。頬裏に、粘着性のあるものを練り付ける感覚。

それは──ペースト状のキャラメルのようで。そこから甘ったるい味が次第に広がり、匂いが鼻から抜けていって……


「──ッ、!」

ぶるるっ……
曝かれた乳首に樫井の唇が近付き、熱い息を吐かれれば……それまでの思考を奪い取られ、堪らず身体が粟立って戦慄く。

「触って欲しい?」
「……」
「それとも、しゃぶられたい?」

そう囁いた唇の隙間から、チロリと顔を出す舌先。焦れる僕の乳首を根元から掬い、舌根に絡めながら舐り、口に含む。


「──ゃ″らぁっ……!」


その刹那、快感が一気に脳内へと押し流されていく。
ビクンッ、と身体が反応し大きく跳ね上がる。

漏れ出てしまう声をこらえようと、唇を固く閉じ、自由な方の手の甲で口元を覆う。



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