Rain -拗らせた恋の行く末は…- side story

真田晃

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《それじゃ、おやすみ》
〈おやすみなさい〉

メッセージを送信し、既読がついたのを確認してから携帯の画面を消す。

暗くなった部屋。静かな夜。
淋しさと切なさが入り混じり、僕の心を不安にさせる。

「……」

文化祭での一件で、樹さんとは恋人同士になれたというのに。……あれから樹さんの仕事が忙しくなり、なかなか会えない日々が続いている。
その距離を少しでも埋めようと、邪魔にならない程度にメッセージのやり取りをするけれど……

やっぱり、ミキさんと呼んでいた頃のようにはいかなくて。
本当は、相談に乗って貰いたい事があるけど……迷惑かもしれないと、もうずっと言い出せずにいる。


「……」

ウォールハンガーに掛かっている、学校の制服。その内ポケットから取り出したのは、大空の形見である指輪。
そっと手のひらにのせ、重みを感じながらじっと見つめる。

──きっと、大丈夫だよね……大空。

カーテンの隙間から零れる、月の光。そこに指輪をかざせば、その白金色の光を取り込み、キラキラと輝いて美しく煌めく。
不安で押し潰されそうだった心が、スッと軽くなっていく。

『大丈夫だよ』──そう、大空が答えてくれたようで。



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