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しおりを挟む柚希。
──ゆずき、
「おい、柚木」
ぴたぴたと冷たい物が頬に当てられ、次第に戻ってくる意識。
遠くから近くから、薄ぼんやりと聞こえてくるのは……何処か懐かしい声。
………まさか、山下……?
な、訳ないか。
きっとこれも、只の幻聴。
……ああ、とうとうここまできちゃったか。
頭の痺れは取れないし、アレが欲しいと執拗に脳が訴えてくるし……
開きかけた瞼を再び閉じれば、今度は冷たい物がピタッと頬に押し付けられた。
「……おい柚木、起きろ」
やけにハッキリと聞こえる。
……これが幻聴なら、かなりの重症だ。
「どういう事だよ、これ」
重い瞼を持ち上げれば、視界いっぱいに、僕を見下ろす山下の顔が。
「………っ、!」
途端に蘇る、羞恥心。
全裸のまま手足を拘束され、顔や口周りには、まだ乾ききっていない白濁液に塗れていて。
まさかこんな醜体を、幼馴染みでもありサークルメンバーの一人でもある山下に、見られるなんて……
「……なん、で……ここに……」
「それはこっちの台詞」
淡々とそう言いながら、僕に押し当てたペットボトルを脇に置く。
「渡瀬先輩に呼び出されて来たんだよ。……したらいなくて、ここにお前が……」
「……」
……いないのか、先輩。
「てか、何なんだよ。これ……」
眉間に皺を寄せ、山下が僕の両手首に視線を移す。
手錠。その鎖部分に引っ掛けられた太い鎖の先端は、杭で頭上の砂壁に固定されていた。
最初のうちは、ここから脱出しようと何度も試みたが……結果は見ての通り。
「……僕にも、何が何だか……」
薄く笑みを漏らせば、山下が僕に視線を戻す。
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