結蜾-ゆら-めく夏

真田晃

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夏祭りの夜

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「……ん、んぅ、っ!」

膝を抱え上げられ、男の怒張が解された後孔に当てられた。




「仕込み中は、遊男のナカに精液を出しちゃいけないんだよ。一滴も」

そう夕凪に耳打ちされる。

「凄いよねぇ……
僕、感度良すぎるみたいで、龍次のでイキかけたんだけど。
龍次が上手い事対処してくれてさ……」

──え……

夕凪の言葉に、深く胸が抉られる。



最初から……感度なんて関係無かった……?

……僕、だったから……?


いつも僕に嫌味を言ったり、意地悪な事ばかりするのは

龍次は本当に、僕の事──




閉じた瞼の隙間から、涙が溢れて止まらない。


「……んぅーっ!……ぅ、うぅ……ん、っ!」


意思に反して漏れてしまう喘ぎ。

強引に男の肉棒が捩じ込まれると、それは一層大きく悲鳴へと変わった。





「……高ぇ銭払ってこれか!
声は煩ぇし、まるでド素人だな!!」

「……」


初見の客は、僕の体で何度もイッた。
……僕は……これでも、果てない様に努めた。


……なのに……

どうして……






夜も深まり、遊男達は眠った客の隣で横になる。
客が起きた時に直ぐ対応できる様、遊男は眠りについてはいけない。


だけど僕は、今夜もその相手がいない……


……何で……



大部屋をそっと抜け出し、導かれるように龍次の部屋へと足を向ける。

忙しい龍次の事だから、きっと部屋にはいないだろう。

……今なら、内緒で金魚を見られる。



静かに障子戸を引き、灯りのない部屋へと足を踏み入れる。

窓から差し込む月明かりが、金魚鉢の水面をキラキラと煌めかせる。

その中で泳ぐ琉金が……


「……え、」

僕の他に、もう一匹──赤と白と黒が混ざった、綺麗な長い尾鰭。



それはまるで
いつも意地悪な事を言う、龍次のようで……


「……」


どうして……


青白く淡い光の中を
僕に見せ付けるかの如く
二匹が連れ添って泳ぐ──


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