8 / 107
第一章 梅雨の幻影
嵌めてみてよ2
しおりを挟む
「ねぇー、マリコさん。これ嵌めてみてもいい?」
僕の言葉に反応せず、大空が店の奥にいる店員を呼ぶ。名前で呼ぶあたり、親しい間柄なんだろう。
暫くして現れたのは、化粧も服装も髪型も派手で、年配ながら少し尖った雰囲気の女性。ここのオーナーさんなのだろうか。
「あら、大空くんじゃない。
もしかして……この可愛い子が、例のお友達?」
「ま、まぁな。……それより早く出してよ」
頬を赤くして、少しぶっきらぼうに答える大空。
学校では見せた事のない大空の一面が見られて、嬉しい反面僕まで赤面してしまう。
「……これ?」
「そうそう。早く出して」
「はいはい」
ケースから出されたそれを受け取ると、大空が僕の前にスッと差し出す。
「……嵌めてみてよ」
「え……」
「ほら、お前の指、女みてぇに細ぇじゃん」
「……」
戸惑いながらリングを受け取れば、その重みを確かに感じた。
……本物は、こんなに重いんだ……
大空に見守られながら嵌めてみるものの、緊張しすぎて上手く嵌められない。
「……サイズ、調べてみる?」
「うん。そーして」
マリコさんに言われて返答に困っていると、にやにやとした大空が僕を横目で見ながら代わりに答えてくれた。
まるで、僕の指輪を買いに来たみたいで……恥ずかしい。
「じゃあ、ちょっといいかしら」
「……あ、はい」
マリコさんに促されて左手を出せば、様々な大きさのリングが括られたリングゲージで、サイズを測ってくれた。
それからマリコさんは、僕に合うサイズのリングを持ってきてくれて──
それを大空が……嵌めてくれる。
「違和感ねーな。スゲー似合う」
「……」
「可愛い」
大空がスッと顔を寄せ、耳元で囁く。
──ドクンッ
全身の血液が、一気に沸騰する。
頬が、熱い。
いつもの口癖の筈なのに……まるで、大空からプロポーズをされたようで……
「……」
「……マリコさん。これに文字彫れる?」
「え……」
驚いて顔を上げれば、大空が嬉しそうに僕を見つめていた。
僕の言葉に反応せず、大空が店の奥にいる店員を呼ぶ。名前で呼ぶあたり、親しい間柄なんだろう。
暫くして現れたのは、化粧も服装も髪型も派手で、年配ながら少し尖った雰囲気の女性。ここのオーナーさんなのだろうか。
「あら、大空くんじゃない。
もしかして……この可愛い子が、例のお友達?」
「ま、まぁな。……それより早く出してよ」
頬を赤くして、少しぶっきらぼうに答える大空。
学校では見せた事のない大空の一面が見られて、嬉しい反面僕まで赤面してしまう。
「……これ?」
「そうそう。早く出して」
「はいはい」
ケースから出されたそれを受け取ると、大空が僕の前にスッと差し出す。
「……嵌めてみてよ」
「え……」
「ほら、お前の指、女みてぇに細ぇじゃん」
「……」
戸惑いながらリングを受け取れば、その重みを確かに感じた。
……本物は、こんなに重いんだ……
大空に見守られながら嵌めてみるものの、緊張しすぎて上手く嵌められない。
「……サイズ、調べてみる?」
「うん。そーして」
マリコさんに言われて返答に困っていると、にやにやとした大空が僕を横目で見ながら代わりに答えてくれた。
まるで、僕の指輪を買いに来たみたいで……恥ずかしい。
「じゃあ、ちょっといいかしら」
「……あ、はい」
マリコさんに促されて左手を出せば、様々な大きさのリングが括られたリングゲージで、サイズを測ってくれた。
それからマリコさんは、僕に合うサイズのリングを持ってきてくれて──
それを大空が……嵌めてくれる。
「違和感ねーな。スゲー似合う」
「……」
「可愛い」
大空がスッと顔を寄せ、耳元で囁く。
──ドクンッ
全身の血液が、一気に沸騰する。
頬が、熱い。
いつもの口癖の筈なのに……まるで、大空からプロポーズをされたようで……
「……」
「……マリコさん。これに文字彫れる?」
「え……」
驚いて顔を上げれば、大空が嬉しそうに僕を見つめていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
サラリーマン二人、酔いどれ同伴
風
BL
久しぶりの飲み会!
楽しむ佐万里(さまり)は後輩の迅蛇(じんだ)と翌朝ベッドの上で出会う。
「……え、やった?」
「やりましたね」
「あれ、俺は受け?攻め?」
「受けでしたね」
絶望する佐万里!
しかし今週末も仕事終わりには飲み会だ!
こうして佐万里は同じ過ちを繰り返すのだった……。
先輩のことが好きなのに、
未希かずは(Miki)
BL
生徒会長・鷹取要(たかとりかなめ)に憧れる上川陽汰(かみかわはるた)。密かに募る想いが通じて無事、恋人に。二人だけの秘密の恋は甘くて幸せ。だけど、少しずつ要との距離が開いていく。
何で? 先輩は僕のこと嫌いになったの?
切なさと純粋さが交錯する、青春の恋物語。
《美形✕平凡》のすれ違いの恋になります。
要(高3)生徒会長。スパダリだけど……。
陽汰(高2)書記。泣き虫だけど一生懸命。
夏目秋良(高2)副会長。陽汰の幼馴染。
5/30日に少しだけ順番を変えたりしました。内容は変わっていませんが、読み途中の方にはご迷惑をおかけしました。
六年目の恋、もう一度手をつなぐ
高穂もか
BL
幼なじみで恋人のつむぎと渉は互いにオメガ・アルファの親公認のカップルだ。
順調な交際も六年目――最近の渉はデートもしないし、手もつながなくなった。
「もう、おればっかりが好きなんやろか?」
馴ればっかりの関係に、寂しさを覚えるつむぎ。
そのうえ、渉は二人の通う高校にやってきた美貌の転校生・沙也にかまってばかりで。他のオメガには、優しく甘く接する恋人にもやもやしてしまう。
嫉妬をしても、「友達なんやから面倒なこというなって」と笑われ、遂にはお泊りまでしたと聞き……
「そっちがその気なら、もういい!」
堪忍袋の緒が切れたつむぎは、別れを切り出す。すると、渉は意外な反応を……?
倦怠期を乗り越えて、もう一度恋をする。幼なじみオメガバースBLです♡
僕のために、忘れていて
ことわ子
BL
男子高校生のリュージは事故に遭い、最近の記憶を無くしてしまった。しかし、無くしたのは最近の記憶で家族や友人のことは覚えており、別段困ることは無いと思っていた。ある一点、全く記憶にない人物、黒咲アキが自分の恋人だと訪ねてくるまでは────
死ぬほど嫌いな上司と付き合いました
三宅スズ
BL
社会人3年目の皆川涼介(みながわりょうすけ)25歳。
皆川涼介の上司、瀧本樹(たきもといつき)28歳。
涼介はとにかく樹のことが苦手だし、嫌いだし、話すのも嫌だし、絶対に自分とは釣り合わないと思っていたが‥‥
上司×部下BL
今日は少し、遠回りして帰ろう【完】
新羽梅衣
BL
「どうしようもない」
そんな言葉がお似合いの、この感情。
捨ててしまいたいと何度も思って、
結局それができずに、
大事にだいじにしまいこんでいる。
だからどうかせめて、バレないで。
君さえも、気づかないでいてほしい。
・
・
真面目で先生からも頼りにされている枢木一織は、学校一の問題児・三枝頼と同じクラスになる。正反対すぎて関わることなんてないと思っていた一織だったが、何かにつけて頼は一織のことを構ってきて……。
愛が重たい美形×少しひねくれ者のクラス委員長、青春ラブストーリー。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
8/16番外編出しました!!!!!
読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭
1/27 1000❤️ありがとうございます😭
3/6 2000❤️ありがとうございます😭
4/29 3000❤️ありがとうございます😭
8/13 4000❤️ありがとうございます😭
12/10 5000❤️ありがとうございます😭
わたし5は好きな数字です💕
お気に入り登録が500を超えているだと???!嬉しすぎますありがとうございます😭
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる