Rain -拗らせた恋の行く末は…-

真田晃

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第一章 梅雨の幻影

嵌めてみてよ2

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「ねぇー、マリコさん。これ嵌めてみてもいい?」

僕の言葉に反応せず、大空が店の奥にいる店員を呼ぶ。名前で呼ぶあたり、親しい間柄なんだろう。
暫くして現れたのは、化粧も服装も髪型も派手で、年配ながら少し尖った雰囲気の女性。ここのオーナーさんなのだろうか。

「あら、大空くんじゃない。
もしかして……この可愛い子が、例のお友達?」
「ま、まぁな。……それより早く出してよ」

頬を赤くして、少しぶっきらぼうに答える大空。
学校では見せた事のない大空の一面が見られて、嬉しい反面僕まで赤面してしまう。

「……これ?」
「そうそう。早く出して」
「はいはい」

ケースから出されたそれを受け取ると、大空が僕の前にスッと差し出す。

「……嵌めてみてよ」
「え……」
「ほら、お前の指、女みてぇに細ぇじゃん」
「……」

戸惑いながらリングを受け取れば、その重みを確かに感じた。

……本物は、こんなに重いんだ……

大空に見守られながら嵌めてみるものの、緊張しすぎて上手く嵌められない。

「……サイズ、調べてみる?」
「うん。そーして」

マリコさんに言われて返答に困っていると、にやにやとした大空が僕を横目で見ながら代わりに答えてくれた。
まるで、僕の指輪を買いに来たみたいで……恥ずかしい。

「じゃあ、ちょっといいかしら」
「……あ、はい」

マリコさんに促されて左手を出せば、様々な大きさのリングが括られたリングゲージで、サイズを測ってくれた。


それからマリコさんは、僕に合うサイズのリングを持ってきてくれて──
それを大空が……嵌めてくれる。

「違和感ねーな。スゲー似合う」
「……」
「可愛い」

大空がスッと顔を寄せ、耳元で囁く。


──ドクンッ


全身の血液が、一気に沸騰する。
頬が、熱い。
いつもの口癖の筈なのに……まるで、大空からプロポーズをされたようで……

「……」
「……マリコさん。これに文字彫れる?」
「え……」

驚いて顔を上げれば、大空が嬉しそうに僕を見つめていた。

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