夫婦とは長い会話である

午前中

女「11:30やね」
男「夜更かしの分しっかり遅いな」
女「おそよう」
男「おそよう」
女「日曜の午前中がいとも簡単に去ってしまった」
男「まだ30分あるよ」
女「30分で何ができるんよ。せいぜい有意義な午後への準備くらいでしょ」
男「いや、カップ麺が」
女「やめてよ。100円あったらうまい棒10本買えるみたいな考え」
男「ウルトラマンが」
女「10体も呼ぶ前に平和は守られるよ」

男「あー布団から出たくない」
女「午後も失うことになるよー」
男「あと26分か」
女「ほら、ゴロゴロしてるあいだにウルトラマンがひとりやられたやん」
男「はあーウルトラマンになりたいなあ」
女「ご両親がウルトラしてないから無理よ」
男「別にタロウになりたいわけじゃないよ」
女「早く次の就職先探して」
男「日曜ぐらい休ませてよ」
女「プー太郎に土曜も日曜もないです」
男「ウルトラマンプータロウか。いいな」
女「いいんや」
男「ウルトラマンって勤務時間最長でも3分でしょ？ 」
女「消防士と一緒で、むしろ日々の鍛錬の方が主な仕事やと思うよ」
男「えー、じゃあ嫌やな」
女「しかもパートタイマーやで」
男「正社員がいいなあ」
女「怪獣の方が向いてるんちゃう？ 」
男「そうかな」
女「だって特技を披露して、倒されるだけやん」
男「命落とすけどな」
女「怪獣金喰いすねかじり」
男「悪口やん」
女「あ、12時過ぎてる。あーあ」
男「今日も平和やねえ」