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2章 村での生活

83話 自然治癒力の大幅な引き上げは、チート級だな……

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 口下手スキルが自動発動したせいで、言いたいことが伝わらなかった──


 と、言いたいところだが……

 そもそもそんなスキルはないし、あったとしてもスキルのせいにしてもなにも解決しないんだよな。


「とにかく! 美味しいのは間違いないはずだし、回復力や脚力の強化もされるみたいなんだ」

「きゃくりょく……?」

《足の力のことですよ。恐らく、足が早くなったり蹴った時の威力が上昇するはずです》

「そうなんだ! じゃあ、これも凄い干し肉なんだね!」

「ああ。それは間違いないぞ! それと、このままどんどん干し肉を作れば新たに作れるものが増えると思うが、それらは今の干し肉より凄いはずだよ」

「ほんと!? じゃあ、頑張らなきゃ!」


 多少の例外はあるが、作る際に求められるスキルレベルが高いほど高い能力を持っていることが多いからな。

 ……まあ、タンジーが作ってる干し肉の難易度はすでにかなり高そうだから……

 それより難易度の高いものなら、当然凄い能力を秘めているのが当たり前のような気はする。



 今回の森狼の干し肉にあった自然治癒力を大幅に引き上げるというのは、恐らくHPだけでなくMPの自然回復力。

 そしてあらゆるステータス異常から元に戻るまでの時間の短縮、これら全てを大幅にパワーアップしているということだと思われる。

 とてもじゃないが、錬金術を始めたばかりの初心者が作っていいものじゃないはずだ。

 ブレンも先程言いかけていたのは、タンジーの潜在能力になにかがあるということなのではないだろうか──


「お兄さん、またレベル上がったよ!」

「……え?」


(いつの間に!?)

《リョウさんが考え事をしてる間に、干し肉を二個作ってましたよ……》


 ブレンから唐突に呆れたような念話が来た……

 ということは、また念話になるほど強い思考だったんだな……

 まあ思考をしてるだけの短い時間にレベル上げるなんて、誰でも驚きそうではあるがな。


「これは、俺も負けてられないな!」

《負けるもなにも、先程からなにも作ってないじゃないですか……》

「うっ……」


 事実、タンジーが錬金術始めてからはなにも作ってないから、反論のしようもないな。

 ……頑張ろ……


《それで、タンジーさんは新しくなにか閃きましたか?》

「ううん……ないみたい……」

《毎回必ず増えるわけではありませんからね。でも、作った干し肉の品質は良くなってるように見えますよ?》

「え! そうなの!? ……わたしにはおなじに見えるけど……?」

《ほら、二回目に作ったこちらと比べると、色艶が少し違いませんか?》

「…………あ、ほんとだ!!」


 あれ? 錬金術だけで作るものだと、品質は一定なんじゃ……?
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