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2章 村での生活
54話 規格外の高品質素材
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お婆さんは、数分経っても素材を様々な角度から睨みつけている。
(かなり細かく鑑定してるのかな。……と言うか、人以外も鑑定できたんだな──)
「あんた、今失礼なことを考えてないかい?」
「い"っ!? いえ! そんなことないですよ!?」
考え込みそうになり、俯きかけていた顔を慌てて上げると、いつの間にかおばあさんが怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
……なぜみんな俺の考えが分かるんだ……
「はぁ……まあいいがね。それよりこの毛皮だが……あんたが加工したのかい?」
「え、加工……ですか?」
そんなことはしてないけれど……
「ふむ、そうかね。『プレイヤー』だから、と言うことなのかねぇ……」
「それって、何か関係あるんですか?」
「あたしが知るわけなかろう? 少なくとも、うちの村にはそんなことができるやつはいないからね」
「そ、そうですか……」
いや、知らないのですか……と言うか、俺がプレイヤーってなぜ分かる……?
……あ、そうか鑑定だ。
「毛皮に余計な水分がほぼないし、かなり痛みにくい状態だ。普通はこうはいかないよ」
「水分……あ!」
そうだ、ドリアドネさんは素材から水分だけを抜き取って肥料として使っていた。
だから加工されたかのように水分が無いんだ。
「どうやら思い当たることがあるようだね?」
「はい。これはドリアドネさんが素材から水分を抜いたもので──」
「なんだって!?」
ん? おばあさんはなぜ驚愕してるんだ?
「えっと……?」
「今、あたしの耳がおかしくなったのでないなら、ドリアドネ……と言ったかい?」
「はい。森の奥で知り合いになりまして──」
その瞬間おばあさんはがっしりと俺の両肩を掴んできたが、力が強すぎる!
HPもじわじわ減ってきてるし、俺の両肩がミシミシいってるぞ!?
どこにこんな力があるんだ!?
「あんたっ! ドリアドネ様にご迷惑お掛けしちゃいないだろうね!?」
「そ、そんなことしてないです! なので手を離してください! まじで俺のHPが尽きます!!」
「嘘じゃないだろうね!? あんたみたいな男が一番信用ならないんだよ!」
「嘘じゃないです! 成り行きでドリアドネさんを助けたお返しに、素材をもらったんですから!」
必死で説得すると、俺のHPが半分を切った辺りでようやく解放してくれた。
……疑いの眼差しのままだけど。
ふとタンジーを見ると、なぜか得意気にしてお婆さんの方を向いていた。
と言うかドヤ顔というやつに見えるが……
出来れば俺のHPが削られてる時に助けてほしかったかも。
いや、それはそれで情けないか……
「おばあさん、どう? お兄さんはすごいでしょ!」
「むぅ……そうさね。性根がひねくれてる者なら、ドリアドネ様が生かしておくはずは無いからねぇ」
タンジーは、俺のことで得意げなドヤ顔をしていたのか。
と言うか、生かしておくはず無いって……
このおばあさんですら、様をつけて呼んでるし……
もしかして、ドリアドネさんはかなり恐ろしい存在だったのか……?
(かなり細かく鑑定してるのかな。……と言うか、人以外も鑑定できたんだな──)
「あんた、今失礼なことを考えてないかい?」
「い"っ!? いえ! そんなことないですよ!?」
考え込みそうになり、俯きかけていた顔を慌てて上げると、いつの間にかおばあさんが怪訝そうな顔でこちらを見ていた。
……なぜみんな俺の考えが分かるんだ……
「はぁ……まあいいがね。それよりこの毛皮だが……あんたが加工したのかい?」
「え、加工……ですか?」
そんなことはしてないけれど……
「ふむ、そうかね。『プレイヤー』だから、と言うことなのかねぇ……」
「それって、何か関係あるんですか?」
「あたしが知るわけなかろう? 少なくとも、うちの村にはそんなことができるやつはいないからね」
「そ、そうですか……」
いや、知らないのですか……と言うか、俺がプレイヤーってなぜ分かる……?
……あ、そうか鑑定だ。
「毛皮に余計な水分がほぼないし、かなり痛みにくい状態だ。普通はこうはいかないよ」
「水分……あ!」
そうだ、ドリアドネさんは素材から水分だけを抜き取って肥料として使っていた。
だから加工されたかのように水分が無いんだ。
「どうやら思い当たることがあるようだね?」
「はい。これはドリアドネさんが素材から水分を抜いたもので──」
「なんだって!?」
ん? おばあさんはなぜ驚愕してるんだ?
「えっと……?」
「今、あたしの耳がおかしくなったのでないなら、ドリアドネ……と言ったかい?」
「はい。森の奥で知り合いになりまして──」
その瞬間おばあさんはがっしりと俺の両肩を掴んできたが、力が強すぎる!
HPもじわじわ減ってきてるし、俺の両肩がミシミシいってるぞ!?
どこにこんな力があるんだ!?
「あんたっ! ドリアドネ様にご迷惑お掛けしちゃいないだろうね!?」
「そ、そんなことしてないです! なので手を離してください! まじで俺のHPが尽きます!!」
「嘘じゃないだろうね!? あんたみたいな男が一番信用ならないんだよ!」
「嘘じゃないです! 成り行きでドリアドネさんを助けたお返しに、素材をもらったんですから!」
必死で説得すると、俺のHPが半分を切った辺りでようやく解放してくれた。
……疑いの眼差しのままだけど。
ふとタンジーを見ると、なぜか得意気にしてお婆さんの方を向いていた。
と言うかドヤ顔というやつに見えるが……
出来れば俺のHPが削られてる時に助けてほしかったかも。
いや、それはそれで情けないか……
「おばあさん、どう? お兄さんはすごいでしょ!」
「むぅ……そうさね。性根がひねくれてる者なら、ドリアドネ様が生かしておくはずは無いからねぇ」
タンジーは、俺のことで得意げなドヤ顔をしていたのか。
と言うか、生かしておくはず無いって……
このおばあさんですら、様をつけて呼んでるし……
もしかして、ドリアドネさんはかなり恐ろしい存在だったのか……?
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