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2章 村での生活
48話 落ち込むリョウ
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サラさんの家を出て宿に向かいつつ、俺は気落ちしていた。
なぜか俺よりブレンの方がみんなに信用されてるように見えたからだ。
《リョウさん? さっきから少し顔色が悪いですよ?》
ブレンが気になったらしく聞いてきたが……
正直ちょっと情けないから言いたくはないな……
「いや、ちょっと気疲れしちゃってさ。今日はサラさんの所で料理したらログアウトしようかなぁ……」
《え……大丈夫ですか? お体が辛かったら、無理をせずにサラさん達に言って早めに──》
「そこまでじゃないよ。大丈夫!」
これ、気持ち的に落ち込んでるだけって言ったら……
怒られそうだなぁ……
《……リョウさんは、現実でもそんなこと言って無理してるんじゃないですか?》
「ない……とは、言えないかな」
……実際そういう面があるだけに、なんとも言いにくいところだな。
今回は本当に無理はしてないんだけど……
……うん、やっぱり大人しく怒られよう……!
「あのさブレン、実はさっきからちょっと気持ち的に落ち込んでて──」
《分かってますよ?》
「……え?」
ブレンはぴゅー……とため息をつくと(可愛い……)、肩から離れて俺の顔の正面でホバリングした。
《主に私が言ったことに対する、先ほどのみなさんの態度……ですよね?》
……そこまで分かりやすかったか……
《まだ期間は短いですが、私はリョウさんのサポート係ですよ? それなのに異変に気付けなかったら、サポート失格です》
「そっか。……それは、ありがたいな」
《あと一つ補足しますと、みなさんはリョウさんを信用してないわけではないです》
「そう……なの?」
再び肩に戻ったブレンを撫でながら、目線で話の続きを促す。
《リョウさんは、何かに夢中になると倒れる寸前まで無理してしまうからですよ。……こちらの世界にきてから、何回か意識を失ってますよね?》
「……はい」
《とは言え……リョウさんは私がいても、必要とあらば倒れるまで誰かのために行動を起こす人ですけどね》
「すみません……」
認識が甘くてMP使いすぎて倒れたり、女将さんに吹っ飛ばされて気絶したりもしたけどな……
《つまりリョウさんを知ってる人は、大なり小なり心配しているということです。だから、意思の疎通ができる私がいることでみなさん安心して下さったんですよ》
「そういう事だったのか……」
自分が信用されてないと思って落ち込んでいたのは、ある意味自虐的な認識だったということか……
なぜか俺よりブレンの方がみんなに信用されてるように見えたからだ。
《リョウさん? さっきから少し顔色が悪いですよ?》
ブレンが気になったらしく聞いてきたが……
正直ちょっと情けないから言いたくはないな……
「いや、ちょっと気疲れしちゃってさ。今日はサラさんの所で料理したらログアウトしようかなぁ……」
《え……大丈夫ですか? お体が辛かったら、無理をせずにサラさん達に言って早めに──》
「そこまでじゃないよ。大丈夫!」
これ、気持ち的に落ち込んでるだけって言ったら……
怒られそうだなぁ……
《……リョウさんは、現実でもそんなこと言って無理してるんじゃないですか?》
「ない……とは、言えないかな」
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今回は本当に無理はしてないんだけど……
……うん、やっぱり大人しく怒られよう……!
「あのさブレン、実はさっきからちょっと気持ち的に落ち込んでて──」
《分かってますよ?》
「……え?」
ブレンはぴゅー……とため息をつくと(可愛い……)、肩から離れて俺の顔の正面でホバリングした。
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……そこまで分かりやすかったか……
《まだ期間は短いですが、私はリョウさんのサポート係ですよ? それなのに異変に気付けなかったら、サポート失格です》
「そっか。……それは、ありがたいな」
《あと一つ補足しますと、みなさんはリョウさんを信用してないわけではないです》
「そう……なの?」
再び肩に戻ったブレンを撫でながら、目線で話の続きを促す。
《リョウさんは、何かに夢中になると倒れる寸前まで無理してしまうからですよ。……こちらの世界にきてから、何回か意識を失ってますよね?》
「……はい」
《とは言え……リョウさんは私がいても、必要とあらば倒れるまで誰かのために行動を起こす人ですけどね》
「すみません……」
認識が甘くてMP使いすぎて倒れたり、女将さんに吹っ飛ばされて気絶したりもしたけどな……
《つまりリョウさんを知ってる人は、大なり小なり心配しているということです。だから、意思の疎通ができる私がいることでみなさん安心して下さったんですよ》
「そういう事だったのか……」
自分が信用されてないと思って落ち込んでいたのは、ある意味自虐的な認識だったということか……
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