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2章 村での生活

37話 怒りの女将さん……

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 全ての焼きサツマノイモと焼きミドリサツマノイモをストレージに回収して、女将さんのいる部屋のドアを開け──

 思わず閉めてしまった……

 なぜなら、女将さんが仁王立ちして待ち構えていたからだ……


「先生? どうして閉めたんですか?」

「いや……女将さんが、その……ちょっと怒ってるように見えてつい……」


 真面目に、女将さんの背後に鬼がいるように見えたんだよな……

 開けるのはラベンダーにお任せするべきか──


「ちょっとあんた! なに閉めてんだい!」
「うわっ!? ごめんなさい!」


 ドアがものすごい勢いで開き、女将さんに怒鳴られてしまった……

 そ、そうだ! 焼きサツマノイモを出せば!!


「お、女将さんはサツマノイモって食べますか?」


 びびるな俺! 平常心だ……!


「サツマノイモ!? あんなぼそぼそしたもので、あたしが釣れると思ってんのかい!?」
「い"っ!? いえ、違くて──」
「お母さんやめて!」


 襟を捕まれて持ち上げられ、やられる! と思ったとき、ラベンダーが助け船を出してくれた。


「食べてもないのにサツマノイモをバカにしたらだめだよ!」


 ……俺を助けてくれる訳じゃないのな……

 ラベンダーにいさめられるとは思っていなかったのか、女将さんは目を丸くしながら俺を掴んでいた手を離してくれた。

 ……もしかしたら離したことにも気付いてないかもだけど……


「……えっと女将さん、キッチンを貸して下さってありがとうございました。これが、ラベンダーに手伝ってもらって作った『焼きサツマノイモ』です」


 女将さんから二歩離れてから礼を述べ、ストレージから焼きサツマノイモを取り出して差し出した。

 その香りが届いたのか、ラベンダーを見つめていた女将さんはやっとこちらに気付いたみたいだ。


「このいい香りが、サツマノイモだってのかい?」

「はい。と言っても、俺は下準備をしただけで……ほとんどラベンダーが作ったようなものですが」

「これを、ラベンダーが……?」


 俺が差し出していたサツマノイモを受け取り、ラベンダーとサツマノイモを交互に見やる女将さん。

 驚くのは、食べてからが本番なんだけどな……
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