47 / 143
2章 村での生活
2話 森の中の花畑
しおりを挟む
到着した花畑は爽やかな香りで満たされていて、多種多様な花達が見事に咲き乱れている。
しかし、これだけ咲いていてよく栄養が持つな……
見た感じは赤土っぽくて、あまり肥料要素が無いように思える。
現実なら、こういう土には肥料をあげたりしないと咲き続けるのは不可能なんだがなぁ。
《リョウさん見てください! あちらに道があって、花畑の中心まで行けそうですよ!》
ブレンのテンションも高いな!
俺もこれだけ花が咲き乱れてるのを見ることはあまりないから、多少は高揚してるけどさ。
苦笑しながらブレンの示す方向を見ると、確かに道がある……んだが。
なんだ……?
なんかすごい違和感を感じる……?
まるで人が手を加えたかのように整った道なんだけど……
足跡は一つもなくて、踏み固められてるわけでもなくふかっとした土だ。
赤土はかなり固まりやすくて、ふかふかになる土ではないのだが……
それに、こんな森の奥に花が咲き乱れるほど肥沃な土地があれば、多少なりとも獣達に荒らされた跡があるはずだが……
荒らされた跡どころか、足跡すら全く見当たらない。
まるで、ここだけ違う空間みたいだ……
《リョウさ~ん! ここなら花畑全体が見渡せますよ! 来ないんですか~?》
俺が考え込んでる内に、ブレンは飛んでいってしまっていたようだ。
悩んでいても分からないし、とりあえず行ってみよう。
花畑にある道は縦と横に一本ずつあり、中央で交差している。
よくよく見たら花畑を囲うように一周してる細い道もあるな。
なにかが、ここを管理しているのは間違いないだろうけど……
おそらく、人ではない……と思うが。
警戒しながらふかふかな道を歩いていると、なにか足元──
いや、土の下に違和感を感じた。
なんと言うか……一瞬だけ、足で太い線を踏んだときみたいな感触が……
《そんなに警戒しなくても、周辺に敵意は感じませんから大丈夫ですよ!》
思わずびくっとしてしまった……
いつの間にか俺の横にブレンが飛んできていたみたいだ。
「そっか、敵意はないのか。なら、問題はないのかな……」
《リョウさんは、さっきから何を警戒してるんですか?》
「いや、ここの花畑……色々違和感があるからさ」
《違和感……ですか?》
「うん。まず、これだけ花が咲いているのに雑草が見当たらないし、土自体にあまり肥料要素があるようには見えないんだ」
《あっ、確かに雑草が無いです!》
「だろ? それにこの道ふかふかで、花が傷まないようになってる。つまり、きっちり整備されてるんだ。だけど、足跡が一切見当たらない」
《飛んでいたから地面は気にしてませんでした……確かにふかふかみたいですね》
「それに、花畑全体が綺麗すぎる。森の中でこんなに花が咲いていて獣が来てないなんて不自然すぎるんだよ。普通はもっと荒れているはずだろ?」
《獣が嫌いなものが生えていたりするんでしょうか?》
「いや、おそらくここを管理している何かがいると思う」
《何かって……?》
「状況からして人ではないと思う。魔法を使えばできるかもしれないけど……俺は土にかなり縁がある生き物だと思う。何か心当たりはないかな?」
《森の奥の荒れてない花畑……周囲の土はみんなふかふかで傷んだ植物がない……蚯蚓のモンスターとかでしょうか? もしくは──》
ブレンがなにかを言おうとしたが、何かが近付いてくる振動が伝わってくる。
警戒して周囲を見回していると、遠目に熊が突進してくるのが見えた。
《リョウさん! ここで戦ったら花畑が荒れてしまいます!》
「ああ! 急いで出よう!」
ブレンは肩から飛び立ち、俺も慌てて花畑から出ようとするが、既に熊は花畑のすぐ前まで来てしまっている。
こうなったら槍を投げて牽制を──
俺が槍を構えると同時に、熊が花畑に足を踏み入れた──
「グォォオゥ!?」
熊が花畑に入った……と思った瞬間、熊は地面から突如生えてきた根? のようなものに腹部を貫かれた。
熊は腹部を貫かれたまま、さらに伸びた根のような物によって一メートルほど地面から持ち上げられている。
にも関わらず、暴れて脱出しようとしている。
大したしぶとさだな……だが、弱ってはいるようだな。
《リョウさん、今のうちに倒してしまった方がいいと思います》
少し離れたところでホバリングしているブレンがそんなことを言ってきた。
え……下手に動いたら俺もああなるんじゃ……?
「今動いたら俺も危ないんじゃ……?」
《大丈夫です! こちらには一切敵意はないですから!》
いや、それは俺が動いてないからでは……?
俺が動くのを躊躇していると、ブレンは肩に飛んできて──
ガッ!!
「い"っだぁぁ!?」
頬をおもいっきりつつかれた俺は悶絶するが……
《いいからさっさと仕留めてください! せっかくのチャンスなんですから!!》
うぅ……容赦無さすぎだろ……
痛みはあるが、槍を握り直して気持ちを切り替える。
あの根みたいなやつは怖いが、ブレンを信じるしかないよな……っ!
俺は熊に走り寄りながら、右手で槍の柄ギリギリを掴んで限界まで引き絞る。
左手は柄に添えるようにして狙いを定めて──
「うおおぉぉ!!」
全体重をかけて一気に槍を突き出す!
突き出した槍は若干の抵抗を感じたが、熊の頭部を貫通した。
それと同時に熊は消滅して、ドロップアイテムを残した。
レベルアップのアナウンスが聞こえるが、俺は技の硬直が解けてすぐに構え直して周りの気配をうかがった。
さっきの根みたいなものがどこからか出てくるかもしれない。
熊をあっさり貫くようなものに攻撃されたら、俺なんか一撃だろう……
こめかみをだらだらと汗が流れる。
どれくらいの間、そうして構えていたのか……
気が付いたらブレンが肩に止まっていて、軽く肩をつついていた。
しかし、これだけ咲いていてよく栄養が持つな……
見た感じは赤土っぽくて、あまり肥料要素が無いように思える。
現実なら、こういう土には肥料をあげたりしないと咲き続けるのは不可能なんだがなぁ。
《リョウさん見てください! あちらに道があって、花畑の中心まで行けそうですよ!》
ブレンのテンションも高いな!
俺もこれだけ花が咲き乱れてるのを見ることはあまりないから、多少は高揚してるけどさ。
苦笑しながらブレンの示す方向を見ると、確かに道がある……んだが。
なんだ……?
なんかすごい違和感を感じる……?
まるで人が手を加えたかのように整った道なんだけど……
足跡は一つもなくて、踏み固められてるわけでもなくふかっとした土だ。
赤土はかなり固まりやすくて、ふかふかになる土ではないのだが……
それに、こんな森の奥に花が咲き乱れるほど肥沃な土地があれば、多少なりとも獣達に荒らされた跡があるはずだが……
荒らされた跡どころか、足跡すら全く見当たらない。
まるで、ここだけ違う空間みたいだ……
《リョウさ~ん! ここなら花畑全体が見渡せますよ! 来ないんですか~?》
俺が考え込んでる内に、ブレンは飛んでいってしまっていたようだ。
悩んでいても分からないし、とりあえず行ってみよう。
花畑にある道は縦と横に一本ずつあり、中央で交差している。
よくよく見たら花畑を囲うように一周してる細い道もあるな。
なにかが、ここを管理しているのは間違いないだろうけど……
おそらく、人ではない……と思うが。
警戒しながらふかふかな道を歩いていると、なにか足元──
いや、土の下に違和感を感じた。
なんと言うか……一瞬だけ、足で太い線を踏んだときみたいな感触が……
《そんなに警戒しなくても、周辺に敵意は感じませんから大丈夫ですよ!》
思わずびくっとしてしまった……
いつの間にか俺の横にブレンが飛んできていたみたいだ。
「そっか、敵意はないのか。なら、問題はないのかな……」
《リョウさんは、さっきから何を警戒してるんですか?》
「いや、ここの花畑……色々違和感があるからさ」
《違和感……ですか?》
「うん。まず、これだけ花が咲いているのに雑草が見当たらないし、土自体にあまり肥料要素があるようには見えないんだ」
《あっ、確かに雑草が無いです!》
「だろ? それにこの道ふかふかで、花が傷まないようになってる。つまり、きっちり整備されてるんだ。だけど、足跡が一切見当たらない」
《飛んでいたから地面は気にしてませんでした……確かにふかふかみたいですね》
「それに、花畑全体が綺麗すぎる。森の中でこんなに花が咲いていて獣が来てないなんて不自然すぎるんだよ。普通はもっと荒れているはずだろ?」
《獣が嫌いなものが生えていたりするんでしょうか?》
「いや、おそらくここを管理している何かがいると思う」
《何かって……?》
「状況からして人ではないと思う。魔法を使えばできるかもしれないけど……俺は土にかなり縁がある生き物だと思う。何か心当たりはないかな?」
《森の奥の荒れてない花畑……周囲の土はみんなふかふかで傷んだ植物がない……蚯蚓のモンスターとかでしょうか? もしくは──》
ブレンがなにかを言おうとしたが、何かが近付いてくる振動が伝わってくる。
警戒して周囲を見回していると、遠目に熊が突進してくるのが見えた。
《リョウさん! ここで戦ったら花畑が荒れてしまいます!》
「ああ! 急いで出よう!」
ブレンは肩から飛び立ち、俺も慌てて花畑から出ようとするが、既に熊は花畑のすぐ前まで来てしまっている。
こうなったら槍を投げて牽制を──
俺が槍を構えると同時に、熊が花畑に足を踏み入れた──
「グォォオゥ!?」
熊が花畑に入った……と思った瞬間、熊は地面から突如生えてきた根? のようなものに腹部を貫かれた。
熊は腹部を貫かれたまま、さらに伸びた根のような物によって一メートルほど地面から持ち上げられている。
にも関わらず、暴れて脱出しようとしている。
大したしぶとさだな……だが、弱ってはいるようだな。
《リョウさん、今のうちに倒してしまった方がいいと思います》
少し離れたところでホバリングしているブレンがそんなことを言ってきた。
え……下手に動いたら俺もああなるんじゃ……?
「今動いたら俺も危ないんじゃ……?」
《大丈夫です! こちらには一切敵意はないですから!》
いや、それは俺が動いてないからでは……?
俺が動くのを躊躇していると、ブレンは肩に飛んできて──
ガッ!!
「い"っだぁぁ!?」
頬をおもいっきりつつかれた俺は悶絶するが……
《いいからさっさと仕留めてください! せっかくのチャンスなんですから!!》
うぅ……容赦無さすぎだろ……
痛みはあるが、槍を握り直して気持ちを切り替える。
あの根みたいなやつは怖いが、ブレンを信じるしかないよな……っ!
俺は熊に走り寄りながら、右手で槍の柄ギリギリを掴んで限界まで引き絞る。
左手は柄に添えるようにして狙いを定めて──
「うおおぉぉ!!」
全体重をかけて一気に槍を突き出す!
突き出した槍は若干の抵抗を感じたが、熊の頭部を貫通した。
それと同時に熊は消滅して、ドロップアイテムを残した。
レベルアップのアナウンスが聞こえるが、俺は技の硬直が解けてすぐに構え直して周りの気配をうかがった。
さっきの根みたいなものがどこからか出てくるかもしれない。
熊をあっさり貫くようなものに攻撃されたら、俺なんか一撃だろう……
こめかみをだらだらと汗が流れる。
どれくらいの間、そうして構えていたのか……
気が付いたらブレンが肩に止まっていて、軽く肩をつついていた。
0
お気に入りに追加
280
あなたにおすすめの小説
日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊
北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
異世界無宿
ゆきねる
ファンタジー
運転席から見た景色は、異世界だった。
アクション映画への憧れを捨て切れない男、和泉 俊介。
映画の影響で筋トレしてみたり、休日にエアガンを弄りつつ映画を観るのが楽しみな男。
訳あって車を購入する事になった時、偶然通りかかったお店にて運命の出会いをする。
一目惚れで購入した車の納車日。
エンジンをかけて前方に目をやった時、そこは知らない景色(異世界)が広がっていた…
神様の道楽で異世界転移をさせられた男は、愛車の持つ特別な能力を頼りに異世界を駆け抜ける。
アクション有り!
ロマンス控えめ!
ご都合主義展開あり!
ノリと勢いで物語を書いてますので、B級映画を観るような感覚で楽しんでいただければ幸いです。
不定期投稿になります。
投稿する際の時間は11:30(24h表記)となります。
ちょっと神様!私もうステータス調整されてるんですが!!
べちてん
ファンタジー
アニメ、マンガ、ラノベに小説好きの典型的な陰キャ高校生の西園千成はある日河川敷に花見に来ていた。人混みに酔い、体調が悪くなったので少し離れた路地で休憩していたらいつの間にか神域に迷い込んでしまっていた!!もう元居た世界には戻れないとのことなので魔法の世界へ転移することに。申し訳ないとか何とかでステータスを古龍の半分にしてもらったのだが、別の神様がそれを知らずに私のステータスをそこからさらに2倍にしてしまった!ちょっと神様!もうステータス調整されてるんですが!!
レベルカンストとユニークスキルで異世界満喫致します
風白春音
ファンタジー
俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》は新卒で入社した会社がブラック過ぎてある日自宅で意識を失い倒れてしまう。誰も見舞いなど来てくれずそのまま孤独死という悲惨な死を遂げる。
そんな悲惨な死に方に女神は同情したのか、頼んでもいないのに俺、猫屋敷出雲《ねこやしきいずも》を勝手に転生させる。転生後の世界はレベルという概念がある世界だった。
しかし女神の手違いか俺のレベルはカンスト状態であった。さらに唯一無二のユニークスキル視認強奪《ストック》というチートスキルを持って転生する。
これはレベルの概念を超越しさらにはユニークスキルを持って転生した少年の物語である。
※俺TUEEEEEEEE要素、ハーレム要素、チート要素、ロリ要素などテンプレ満載です。
※小説家になろうでも投稿しています。
セイヴァーオンライン
ゴロヒロ
ファンタジー
救世社から新しいVRMMOが発表された
それがセイヴァーオンライン
様々な世界に向かい、その世界の危機を救う それがこのゲームのコンセプトだ!!
カクヨムでも投稿してます
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる