両親の愛を諦めたら、婚約者が溺愛してくるようになりました

ボタニカルseven

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「あぁ、もうこんな時間。早く出ないと間に合わなくなっちゃう」

 寮に入ってから数日が経った。これから通うハプラス学園の制服に身を包んで私たちは部屋の中でセカセカとしていた。

「もう、なんでこんな日に限って寝坊しちゃうかなぁ」
「ちなみに私は何回も起こしましたよ」

 片っ端から必要だと思うものをカバンに入れていく。入らなさそうだなと思えば魔法で収納していった。

「うん。多分大丈夫。ごめんルリ行こうか」
「はい、行きましょうか」

 寮から学園はかなり歩かなくてはいけない。昨日どこに何があるかも確認済みだ。それにいざとなれば魔法で移動してしまえばいい。

「どうする?走る?魔法使っちゃう?」

 そうルリに聞く。

「魔法使うって顔に書いてありますよ」
「フフッせいかーい」

 私はルリの手を掴んで魔法を発動させた。この魔法自体あまり浸透されていないものだから、みんなの目に届かないような場所に飛んだ。

「やっぱり魔法は楽だね。あんなに距離あるのに一瞬でこうやって来れるんだから」
「私は少し苦手です。なんだか体がぐわーってなるので」
 
 確かに私もこの魔法使いたてはこの感覚苦手だったけれど、もう慣れてしまったな。何より便利すぎる。

「さぁもうここからはゆっくり行っても大丈夫そうだね」

 そう言いながら校舎に向けて歩を進める。周りの生徒もそれほど急いでいない。早いわけでもなければ遅くもないって感じかな。

「リュシー?」
「あ、アル。おはよう」

 平然と生徒に混ざって歩いていれば後ろからアルに呼ばれた。立ち止まって振り返れば、キャーキャーと黄色い悲鳴を令嬢たちに浴びせられていた。さすがだなぁ。

「ねぇリュシー。さっきまで前に居なかったよね」
「うん。ちょっと寝坊しちゃってね。魔法使ったの」
「そうだったんだ。入学式後に魔力のテストあるけど大丈夫って聞こうとしたけれどリュシーには関係のない話か」

 あ、そっか。入学式後にはクラス分けをするために魔力のテストがあるんだったね。まぁでも転移魔法1回分の魔力を何倍にも超える魔力が私にはあるから大丈夫。

「きっとリュシーが一番になるのだろうね」
「でも私以上にすごい人がいるかもしれないよ」
「7歳の頃から魔法を使っている人なんてリュシー以外に見たことないよ。普通、魔法は学園に入ってから教わることが普通なんだからさ」
 
 確かに、そう考えれば私は小さい頃からずっと魔法を鍛えてきているのだから一番になってしまうかも。でも、散々「一位」とか「優秀」であることに執着してきたから今はもうそんなことに興味はないんだよね。だからといって手の内隠していることも卑怯だと思うから全力でやるけれど。



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