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15歳になったら
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「どういうこと?」
あ、また私思ったことそのまま口にしてしまった。すぐに口が開いてしまう癖いい加減治したいのだけれど、そんなことを考えるより、アルに説明する方が先だろう。
「リリアが生まれて、きっと私はこの家では邪魔な存在になってしまうだろうから療養を理由にしてお母様の実家に行こうってことになったの。それで今了承の返事が返ってきたんだけど、王都から離れたところにあるからきっとアルとは会えないんだろうなって思って」
「そうだったんだ。いつ戻ってくるとかは?」
「学園の入学前にはもどってくるよ。だから、八年かな」
この国、ブラッドリー王国に生まれた貴族は、15になると必ず学園に入学することが決まっている。今私は7歳だから、八年後入学することになっている。いやでもあと二ヶ月後には8歳になってしまうのか。ということは、時戻りをして一年がもう少しで経つということ。そう考えると、私の周りは色々変わったなと渋々感じる。
「リュシーの母君って」
「タルト子爵家だよ。今は王都の外に住んでるんだ」
アルは私のお母様については、亡くなったということ以外は知らないようだった。でも、私もそのくらいしかお母様についても知らないな。そういえば、辺境伯以外は基本的に王都内に暮らしているのだけどなぜタルト子爵は王都外で暮らしているのだろうか。聞く機会があったら聞いてみよう。
「タルト子爵家か。馬車を使って一週間といったところかな。かなり遠いところに行くんだね」
「うん」
なんだかもうお別れかのような空気が流れる。
「あ、でもまだまだ準備はできてないから一ヶ月後ぐらいになると思うよ?」
「それはわかってるけれど、なんだかちょっと寂しいよね。こういう時すぐに会いに行ける魔法とかあればいいのにって思うんだけど」
すぐに会いに行ける魔法、瞬間移動ってところか。多分空間魔法を活用すればすぐできるようになるし、確かレオン様も時戻り前にそんな魔法を使っていた記憶がある。前は私もできていたけれど、今の私じゃうまくできるかわからないな。
「レオン様、瞬間移動使えたはずだから今度聞いてみたらどうかな」
私が提案すると、アルは苦虫を噛み潰したかのような表情をした。
「ブルーゲンベルク殿か。僕は少し苦手なんだよね」
そう言われて私はあっとなった。意識がなかったとはいえ、生贄にされていたのだった。それに、レオン様が暴走してフロライン家を崩壊させる様子を見ていたんだよね。それは苦手意識が生まれて当然か。そう思っていたらアルの記憶に関してほんの出来心が生まれた。
「そういえば、アルの時戻り前のこときいていい?」
そういうと、アルは一瞬固まったような気がした。何かまずいことを聞いてしまっただろうか、聞かれたくなかったことだろうか。私の中に心配事が駆け巡る。だがそれは、アルが笑ったことによって打ち消された。
「うん。いいよ。僕もいい加減リュシーに話そうと思っていたんだ」
アルが記憶を持っていることを知ったのは10ヶ月前。アルが話してくれるのを待とうとしていたから聞いていなかった。だけど、今ふと興味が出てしまった。軽い私の気持ちとは裏腹に、アルは非常に神妙な顔つきだった。だから、私は一度気持ちを切り替えるために紅茶に手を伸ばし飲んだ。
「心の準備はできたよ。あ、ルリは一度下がっていて」
「はいかしこまりました」
私の過去を話した時は、私に関わることであったし私のせいでルリが死んでしまったからルリにも聞いてもらっていた。けれど、アルについては関係ないから。それにアルがルリに聞かれたいと望んでいないだろうから。
「ありがとう、リュシー」
ルリが部屋の扉を閉めた後アルは笑った。少しぎこちない。無理をしているのではないだろうか。
「アル、無理はしなくていいよ?」
「大丈夫。話さないといつになってもこのわだかまりが消えないから」
アルはもう一度私を見据えた。話始めるのだ、そう思った。
あ、また私思ったことそのまま口にしてしまった。すぐに口が開いてしまう癖いい加減治したいのだけれど、そんなことを考えるより、アルに説明する方が先だろう。
「リリアが生まれて、きっと私はこの家では邪魔な存在になってしまうだろうから療養を理由にしてお母様の実家に行こうってことになったの。それで今了承の返事が返ってきたんだけど、王都から離れたところにあるからきっとアルとは会えないんだろうなって思って」
「そうだったんだ。いつ戻ってくるとかは?」
「学園の入学前にはもどってくるよ。だから、八年かな」
この国、ブラッドリー王国に生まれた貴族は、15になると必ず学園に入学することが決まっている。今私は7歳だから、八年後入学することになっている。いやでもあと二ヶ月後には8歳になってしまうのか。ということは、時戻りをして一年がもう少しで経つということ。そう考えると、私の周りは色々変わったなと渋々感じる。
「リュシーの母君って」
「タルト子爵家だよ。今は王都の外に住んでるんだ」
アルは私のお母様については、亡くなったということ以外は知らないようだった。でも、私もそのくらいしかお母様についても知らないな。そういえば、辺境伯以外は基本的に王都内に暮らしているのだけどなぜタルト子爵は王都外で暮らしているのだろうか。聞く機会があったら聞いてみよう。
「タルト子爵家か。馬車を使って一週間といったところかな。かなり遠いところに行くんだね」
「うん」
なんだかもうお別れかのような空気が流れる。
「あ、でもまだまだ準備はできてないから一ヶ月後ぐらいになると思うよ?」
「それはわかってるけれど、なんだかちょっと寂しいよね。こういう時すぐに会いに行ける魔法とかあればいいのにって思うんだけど」
すぐに会いに行ける魔法、瞬間移動ってところか。多分空間魔法を活用すればすぐできるようになるし、確かレオン様も時戻り前にそんな魔法を使っていた記憶がある。前は私もできていたけれど、今の私じゃうまくできるかわからないな。
「レオン様、瞬間移動使えたはずだから今度聞いてみたらどうかな」
私が提案すると、アルは苦虫を噛み潰したかのような表情をした。
「ブルーゲンベルク殿か。僕は少し苦手なんだよね」
そう言われて私はあっとなった。意識がなかったとはいえ、生贄にされていたのだった。それに、レオン様が暴走してフロライン家を崩壊させる様子を見ていたんだよね。それは苦手意識が生まれて当然か。そう思っていたらアルの記憶に関してほんの出来心が生まれた。
「そういえば、アルの時戻り前のこときいていい?」
そういうと、アルは一瞬固まったような気がした。何かまずいことを聞いてしまっただろうか、聞かれたくなかったことだろうか。私の中に心配事が駆け巡る。だがそれは、アルが笑ったことによって打ち消された。
「うん。いいよ。僕もいい加減リュシーに話そうと思っていたんだ」
アルが記憶を持っていることを知ったのは10ヶ月前。アルが話してくれるのを待とうとしていたから聞いていなかった。だけど、今ふと興味が出てしまった。軽い私の気持ちとは裏腹に、アルは非常に神妙な顔つきだった。だから、私は一度気持ちを切り替えるために紅茶に手を伸ばし飲んだ。
「心の準備はできたよ。あ、ルリは一度下がっていて」
「はいかしこまりました」
私の過去を話した時は、私に関わることであったし私のせいでルリが死んでしまったからルリにも聞いてもらっていた。けれど、アルについては関係ないから。それにアルがルリに聞かれたいと望んでいないだろうから。
「ありがとう、リュシー」
ルリが部屋の扉を閉めた後アルは笑った。少しぎこちない。無理をしているのではないだろうか。
「アル、無理はしなくていいよ?」
「大丈夫。話さないといつになってもこのわだかまりが消えないから」
アルはもう一度私を見据えた。話始めるのだ、そう思った。
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