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仕返し
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「もう来てしまったのね」
初めての街に出た日から一ヶ月が経ち私の誕生パーティーの日になった。順調にアルとの仲も深まってきているし、閣下に公爵夫人は私のことを不審に思っていながらも興味がないため私には関わってこない。こちらとしても好都合だ。
「アルフレッド王子殿下がお迎えに参られました」
「わかったわ、今行く」
パーティーのエスコートはアルが引き受けてくれた。婚約者であるから当然のことなのだけれど、それがとても嬉しかった。時もどりの前はこんな気持ちにはならなかったな。きっと私が変わったせいなのだろう。私は部屋を出る前にアルからもらったネックレスを身に纏った。
「アル!!」
「一週間ぶりだね、リュシー。誕生日、おめでとう」
応接室にいたアルは純白のスーツを身に纏っていた。胸のポッケには少し花が入っている。とてもキラキラしていて直視できない。部屋に入ってきて固まる私を不思議がり、アルは近づいてきた。
「どうしたんですか…………!今日もつけてくれるのですね」
何かに気づいて驚いた表情をしている。その視線は私の首に注がれている。きっとネックレスのことを言っているのだろう。
「私の誕生日には私のお気に入りのものを身に付けたかったの。それにアルが私に始めてくれたものだから毎日つけているわ」
アルと会う日には必ずつけているし、その日以外にも部屋の外に出る際には絶対につけている。だからこそなぜ聞かれたのか分からなかった。
「アル、どうしてそんなこと聞くの?」
「僕が贈ったのはいつもリュシーが着ているものよりもっと安価なものだからきっと今日っていう日にはつけてくれないと思ったから」
なんだろう。いつもは大人びているアルがとても子供に見える。可愛い。すごく頭を撫でたくなる。いや、ダメダメ相手は王子様。
「そんなの関係ないよ。私はアルがくれたから身につけてるの。私にとってはとても高価だよ」
「ありがとう、リュシー。さぁ行こうか」
「そうだ、アル。今日すごくかっこいいわ。あなたにエスコートされるなんて本当に嬉しい」
会場に向かう前に早く伝えたかった。なんだかすごく正直にいうのは恥ずかしかったけれど伝えられたからよかったと、得意げになっていた。ふと、エスコートをする手が止まっていたことに気づいた。
「アル?どうして止まっているの?」
なぜか繋いだ手の先は固まっていた。横から見える顔は少し赤くなっていてのぞいてみたくなった。その好奇心を抑えられず私は手を離し、アルの前に立った。
「ちょっと、見ないで」
私と繋いでいた手がアルの顔を隠すように出されていた。隠そうとしている指の隙間からは目を閉じて顔を真っ赤にしているアルの姿があった。どうやら恥ずかしがっているようだった。
「本当にアルって弱いよねぇ」
その顔を見た私はそう一言呟いた。いつも自分から恥ずかしいことをするくせに私から何かされるとすぐ照れてしまう。なんか変なところで初心なんだよな。
「リュシーがいきなりそういうこと言うからでしょ」
「別に思ったこと言ったまでよ」
「こういうことは僕が言いたかったのに」と小言を言いながら座り込んだ。私もしゃがんでアルと同じ目線に立った。
「リュシーだって今日すごく綺麗。可愛いし綺麗だしきっと会場に行ったら皆リュシーの虜になっちゃうよ。だから本当は行きたくない。けどリュシーが折角頑張って準備したパーティーを無駄にはしたくない。から、行く」
そういってアルは立ち上がったけれど、今度は私が立てなくなってしまった。しゃがみ込んだせいで顔がとても近くなっていた。そんな時に、そういう言葉を話されてしかもすごく熱の籠った瞳で見つめられてしまったから。多分今私の顔は真っ赤だろう。
「アル、ちょっと待って」
「仕返し、成功だね」
アルはそう悪っぽい表情で微笑んだ。
私が熱を抑えるのに少し時間がかかり予定より少し遅れた時間に会場に着いたのだった。
初めての街に出た日から一ヶ月が経ち私の誕生パーティーの日になった。順調にアルとの仲も深まってきているし、閣下に公爵夫人は私のことを不審に思っていながらも興味がないため私には関わってこない。こちらとしても好都合だ。
「アルフレッド王子殿下がお迎えに参られました」
「わかったわ、今行く」
パーティーのエスコートはアルが引き受けてくれた。婚約者であるから当然のことなのだけれど、それがとても嬉しかった。時もどりの前はこんな気持ちにはならなかったな。きっと私が変わったせいなのだろう。私は部屋を出る前にアルからもらったネックレスを身に纏った。
「アル!!」
「一週間ぶりだね、リュシー。誕生日、おめでとう」
応接室にいたアルは純白のスーツを身に纏っていた。胸のポッケには少し花が入っている。とてもキラキラしていて直視できない。部屋に入ってきて固まる私を不思議がり、アルは近づいてきた。
「どうしたんですか…………!今日もつけてくれるのですね」
何かに気づいて驚いた表情をしている。その視線は私の首に注がれている。きっとネックレスのことを言っているのだろう。
「私の誕生日には私のお気に入りのものを身に付けたかったの。それにアルが私に始めてくれたものだから毎日つけているわ」
アルと会う日には必ずつけているし、その日以外にも部屋の外に出る際には絶対につけている。だからこそなぜ聞かれたのか分からなかった。
「アル、どうしてそんなこと聞くの?」
「僕が贈ったのはいつもリュシーが着ているものよりもっと安価なものだからきっと今日っていう日にはつけてくれないと思ったから」
なんだろう。いつもは大人びているアルがとても子供に見える。可愛い。すごく頭を撫でたくなる。いや、ダメダメ相手は王子様。
「そんなの関係ないよ。私はアルがくれたから身につけてるの。私にとってはとても高価だよ」
「ありがとう、リュシー。さぁ行こうか」
「そうだ、アル。今日すごくかっこいいわ。あなたにエスコートされるなんて本当に嬉しい」
会場に向かう前に早く伝えたかった。なんだかすごく正直にいうのは恥ずかしかったけれど伝えられたからよかったと、得意げになっていた。ふと、エスコートをする手が止まっていたことに気づいた。
「アル?どうして止まっているの?」
なぜか繋いだ手の先は固まっていた。横から見える顔は少し赤くなっていてのぞいてみたくなった。その好奇心を抑えられず私は手を離し、アルの前に立った。
「ちょっと、見ないで」
私と繋いでいた手がアルの顔を隠すように出されていた。隠そうとしている指の隙間からは目を閉じて顔を真っ赤にしているアルの姿があった。どうやら恥ずかしがっているようだった。
「本当にアルって弱いよねぇ」
その顔を見た私はそう一言呟いた。いつも自分から恥ずかしいことをするくせに私から何かされるとすぐ照れてしまう。なんか変なところで初心なんだよな。
「リュシーがいきなりそういうこと言うからでしょ」
「別に思ったこと言ったまでよ」
「こういうことは僕が言いたかったのに」と小言を言いながら座り込んだ。私もしゃがんでアルと同じ目線に立った。
「リュシーだって今日すごく綺麗。可愛いし綺麗だしきっと会場に行ったら皆リュシーの虜になっちゃうよ。だから本当は行きたくない。けどリュシーが折角頑張って準備したパーティーを無駄にはしたくない。から、行く」
そういってアルは立ち上がったけれど、今度は私が立てなくなってしまった。しゃがみ込んだせいで顔がとても近くなっていた。そんな時に、そういう言葉を話されてしかもすごく熱の籠った瞳で見つめられてしまったから。多分今私の顔は真っ赤だろう。
「アル、ちょっと待って」
「仕返し、成功だね」
アルはそう悪っぽい表情で微笑んだ。
私が熱を抑えるのに少し時間がかかり予定より少し遅れた時間に会場に着いたのだった。
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