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第445話:第二ラウンド。
しおりを挟む「お前、本当にヴァルゴノヴァの力を自分の物に出来ると思っているのか?」
「さぁ?」
さぁ? って……こいつ、何を考えているんだ?
「万が一そこで私が死ぬようならそれで良し、暴走して全てを破壊しつくすならそれもよし、ですよ。せっかくこの手に入る算段がついたので試さなければ勿体ないでしょう? こんないい物他の誰かに譲る訳にはいきません」
「他の奴にくれてやるくらいなら自分が手に入れる……って事か」
「よく分かっているじゃありませんか」
『ちょっとだけ君に似てるわね』
マジで勘弁しろ。
こんな奴と一緒にされるのは吐き気がするしそれ以上に冗談を言っている場合じゃない。
『ごめん……私も整理がついてなくて……』
自分が急に神様の欠片だと言われたらそりゃ不思議な気持ちにもなるだろうぜ。
だとしたら……イリスは?
神の欠片と神の欠片から生まれたイリスはどうなる?
イリスもまた、神の欠片なのか?
それとも……。
「イリスの事が気になりますか?」
「たまにお前が俺の頭の中を読んでるんじゃねぇかと思う事があるよ」
「ミナト氏はすぐ顔に出ますからね。おそらくイリスもまた神の欠片に等しい力を有しているでしょう。そして……それを私が放っておくと思いますか?」
「てめぇ……イリスに手を出してみやがれ。今度こそ確実にぶち殺すぞ」
「ふふ、六竜を一つに纏めればヴァルゴノヴァの復活は叶うでしょうが……私は更に上を目指したい。ヴァルゴノヴァよりも更に上の力を手に入れるのです。その為には……イリスが重要なピースとなってくる」
ただでさえこいつは既に前魔王とキララの力まで手に入れている。
普通にヴァルゴノヴァとして復活したとしても当時のヴァルゴノヴァよりも強力である可能性が高い。
その上さらにもっと上を目指すと言うのか。
その向上心は大したもんだが褒められはしない。
興味本位でそんな事やらせてたまるか。
「さぁ、次はアルマです」
「やめろ」
「おや、やはり彼女に手を出されるのは嫌ですか」
ギャルンは下品な笑いを浮かべながらネコへと近づいていく。
「ちなみにこの少女とアルマの意識は既に眠らせてあります。中からアルマを引き抜くだけですから彼女に痛みはありませんよ。安心して下さい」
「そういう事じゃねぇ。やめろ……!」
身動きの取れない俺を無視してギャルンはネコへと手を伸ばす。
そして、その手がネコに触れた瞬間。
バヂィッ!!
「ぬおっ!?」
突然何か見えない衝撃にギャルンの腕が跳ねた。
「蒼君! 今だよ!!」
何が起きたのか、ギャルンも俺もさっぱり分かっていなかった。
ただ、突然俺の事を【アオイ】と呼んだネコがギャルンを弾き返し、どうやったのか自らを縛り上げていた蔦を引き千切った。
そしてそのまま俺に繋がっていた蔦をも切り裂く。
「な、何が……おい、ネコ?」
「説明は後だよ蒼君! とにかく態勢を整えて! すぐに来るよ!」
「わ、分かった……!」
何がどうなってるのかさっぱりだが、ネコの姿をしたネコではない何かによって状況は一変した。
「ふざけるなよ……なんだキサマは!」
唐突なこの状況にギャルンは激昂し、ネコに向かって魔法を放つ。
だがそれを俺がすぐさま竜化した腕で叩き落し無効化。
「あぁ腹の立つ……予定に無い事が起こるのはまだいいとして理解の出来ない現象が起きるのは許せん!」
ギャルンはバッとその場で大きく腕を広げた。すると、地面から真っ黒な液体がボコボコと幾つも湧き上がるように噴出し、それら全てがギャルンの姿になる。
「私の分体が二体だけだと思っていましたか? 私は同時にニ十体の分体を操作する事が出来る……! よもやミナト氏を解放した程度で勝った気になっているのではあるまいな!?」
おいおい二十体とかあり得ねぇ……キララの力を手にした事でギャルンの特性も強化されていたのだろう。
漆黒のギャルン達はそれこそまるでゴリーブの群れのように見える。
今までここまで大量の自分を出さなかったのは奥の手を隠していただけか、それとも消費が激しく連発は控えたかったのか。
「手加減は無しだ。お前らから無理矢理核を取り出し私は神へと至る……!」
マリウスの力を手に入れているという事は俺の中からママドラを引きずり出す事も可能かもしれない。
それに注意しながらこの数のギャルンを相手にしなきゃいけないのは骨が折れるぞ……。
「大丈夫、蒼君は全力で戦って。補助は私がするから」
ネコの姿をしたこいつは一体誰なんだ。
俺の事をアオイと呼ぶ時点でネコではない。
勿論アルマでもない。
しかし今はそんな事を悩んでいる場合じゃない。
まずはこの危機を乗り越えないと。
何も気にせず全力で戦え、との事だがその言葉を信じていいのか?
ネコを守る必要は無いのか?
チラリとネコの方へ視線を向けると、彼女は「大丈夫。私の事はいいから……信じて」と呟いた。
「本当にいいんだな?」
「大丈夫だよ。アルマさんにも手伝ってもらうから」
何がどうなってるか分からねぇがその言葉を信じるしかない。
それに、何故だろう。大丈夫だと……そう感じる。
懐かしいような、不思議な感覚だった。
「まさかこの状況、二人だけで勝てると本気で思っているんですか?」
少しだけ落ち着きを取り戻したのか、ギャルンに敬語が戻っている。
すぐにまた慌てさせてやるさ。
「もうキララやティアのフリは効かねぇぞ。手加減はしねぇ、最初から全力だ」
ママドラ、頼むぞ。
それと……カオスリーヴァ、力を貸してくれ。
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