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第428話:女と女。
しおりを挟む次はとても控えめなノックの音。
「入るぞ」
おずおずと部屋に入ってきたのは可愛らしい寝間着を着たアリアだった。
「おお、随分雰囲気違うな……」
「に、似合わない……だろう? 分かってはいるのだが……」
アリアは恥ずかしそうに頭を抱えた。
何か勘違いしているような気がする。
「いや、よく似合ってるぞ? 可愛いじゃないか」
「そ、そうか? 少しは女らしく見えるだろうか……?」
「? アリアは充分可愛らしい女の子だろうが」
アリアは顔を真っ赤にして両手で顔を覆ってしまった。
「うぅ……私は、ゴリラ女だと思われているとばかり……」
「俺はアリアの事そんなふうに思った事ないぞ?」
パワーキャラだと思った事ならあるが。
『そういう事を言ってるんだと思うけれど』
「ほ、本当か……? 私の事、ちゃんと女子として見てもらえているのだろうか?」
「そう言ってるだろ? 心配しすぎだよ」
「そ、そうか……総言えばイルヴァリース様も、そう言っていたものな」
……? 何の話をしている?
ママドラ、アリアに何か言ったか?
『はて……? あまり覚えはないのだけれど』
「ほら、あの……アルマ殿の館でお風呂に入っただろう? あの時に……その、ミナト殿も私の身体に興味があると……」
ばっ……!
い、いつの話してやがるんだ!!
『あぁ、あったわねぇ……あの時はミナト君もガン見してたものね』
お前がアリアの身体洗ったりするからだろうが! 俺には必然的に見えちゃっただけで……!
『でも見れてよかったでしょう?』
それはそうだけどね!
「それで……その、ミナト殿に直接聞いた事が無かったので……」
「な、何をかな?」
「どう、だった?」
アリアは自分の身体に指を這わせるようにしながら俺の言葉を待つ。
ま、間違えちゃいけないやつな気がする……。
「やはり、あれはイルヴァリース様が私に気を使っただけでミナト殿は興味なかっただろうか」
「そんな事はないっ!」
あっ、やってしまった。
あんな言い方されたら否定しなきゃ申し訳ないじゃないか。
「ほ、本当か……? では、ミナト殿もちゃんと私の身体に興味を持ってくれたのだな……?」
「そ、そりゃあ、ね? 綺麗で可愛い女の子の裸に興味持たない奴なんて男じゃないから、は、ははは……」
『テンパりすぎて本音が出ちゃってるわねぇ。あーおもしろ』
笑ってる場合じゃねぇんだわ。
「ミナト殿……その、ミナト殿は……私を抱けるだろうか?」
「なっ、何を言ってるんだお前はっ!」
『わお、だいたーん!』
「ち、違うんだ勘違いしないでくれっ! 今この場で抱いてほしいとかそういうんじゃないんだっ!」
アリアは顔を真っ赤にしてぶんぶんと両手を振った。
「え、そ、そうなの……?」
「その、私が聞きたいのは、抱けるか抱けないかという……その、それだけ……」
「あのなぁ……アリアは自分に自信が無いみたいだから言っておくけど、今のアリア見て抱きたくないなんて言える奴は多分居ないぞ?」
「そ、それは……ミナト殿も、という事か?」
「う、まぁ……そうなるかな」
アリアは顔を真っ赤にして自分の髪の毛を弄りながら「そうか……」などと呟いている。
「……なら、今、試してみる?」
突然アリアが前かがみになって自分の服の胸元の辺りを引っ張って谷間を見せつけてきた。
「なっ、えっ、えぇぇっ!?」
「あははっ、冗談だ。それはミナト殿が無事に帰ってきてからにしよう。信じて待っているぞ」
そう言うと、俺が何か言う間もなく部屋から出て行ってしまった。
……な、なんだったんだいったい。
『あれがあの子の精一杯だったのよ。君が変に騒がなきゃそのまま抱けたかもしれないわね』
……それはちょっともったいなかったか?
いや、そうじゃなくて!!
『あははっ、君はやっぱりそうじゃないとね♪』
完全にママドラにからかわれてしまったが、確かにもったいない事をしたかもしれない。
というか俺女の子相手に何をどうしたらいいのかさっぱり分からないしなぁ。
『何言ってんの? もう知ってるでしょ?』
……? いや、知らんて。
『この前ネコちゃんにやられたような事をしてあげればいいのよ』
ッ!?
えっ、あぁ……なるほどなぁ。
そうか、ネコにされた事……ふむ……。
『見ててこっちが恥ずかしくなっちゃうくらいミナト君ってばアレだったものね』
……うぅ、アレを俺がやるのか?
とてもできる気がしないんだが……。
『だったらまたネコちゃんに教えてもらうしかないわね♪』
そ、それはちょっと……そもそも奴は俺を女扱いしてくるから男としての尊厳が消えてなくなるんだわ。
あんな情けない思いはしたくない。
もっとこう、男と女って違うじゃん?
『女と女なんだから仕方ないじゃないの。ミナト君の方がネコちゃんだっただけで』
やめて!
変な言い方しないでつらい!
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