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第394話:世界のアイドルミナト君。
しおりを挟む「そういう訳だからポコナ姫は続編の執筆にとりかかってくれ。早ければ早い程いい」
「任せて下さいまし♪ 一通り情報も手に入りましたしリリア帝国編については万事オッケーですわ! 次はランガム大森林編、そしてシュマル共和国編と続いていきますわよ!」
……もうどうにでもなーれ。
しかし本格的にアイドルか何かのようになってしまうなぁ。
曲作ってライブでもやったらめちゃくちゃ人はいるんじゃないかこれ。
問題は俺の歌が上手いのかどうかだが。
『まぁそんな事やってたら間違いなく魔王が最前列で熱狂的な応援してくれるでしょうね』
……その場合俺のファンを皆殺しにしかねないからダメだな。
もしやるとしたら世界の平和を取り戻した後だ。やる気はないけど。
『あらいいじゃない。ミナトガールズ全員でユニットでも組んだらぼろ儲け間違いなしよ♪』
さらりと恐ろしい事言うなお前……。
でも実際それくらいの事を考えられるほど平和な世の中になればいいなとは思うよ。
その為にも俺はキララを倒してティアを取り戻さなきゃな。
『ミナトガールズ筆頭だものね』
それはともかく、だ。
俺は結構独占欲強い方なんだ。奪われたもんはきっちり取り返さないと気が済まないんだよ。
『独占欲の強さならきっとあの魔王も負けてないだろうけどねぇ……君はあの魔王よりも独占欲強い自信ある?』
青少年舐めんなよ?
『君はもう青少年って年齢じゃないでしょうよ……』
どうにもこうにも自分がまだ高校生か何かのつもりになってしまいがちだが、確かに俺も二十歳を越えてるしな……。
よくよく考えたらこの年齢で、男の俺がアイドルなんて無理だわ。恥ずかしくて死ぬ。
『見た目が若いんだから問題無いと思うけど?』
そういう問題じゃないんだよ。俺の精神的な問題なの!
「ミナトの公認も取れた事だし新刊の帯にはミナトにも一文書いてもらうとするか」
「それいいですわね! きっと爆売れ間違い無しですわ!」
……こいつら本当にさっき言ってた目的の為にやってるんだろうな?
ただ楽しいからやってるだけに見えて仕方ないんだが……。
『それならそれでいいじゃない。結果オーライってやつよ』
でもママドラもいいのか? 自分らの情報とか世間に公開されてるけど。
『別にいいのよ。むしろ六竜が人間側だってのが伝わるし、聖竜教も盛り上がるんじゃないかしら?』
聖竜教が盛り上がってもお前に得なんかねぇだろうよ……。
『自分が崇められるのって結構気分いいものよ? でもこれからは聖竜教の信仰対象は君になっちゃうかもしれないわね』
そう言ってママドラは笑う。
俺が神様みたいな扱いされるのはちょっとやりすぎな気もするなぁ。
なにより神様なんてろくなもんじゃねぇからアレと一緒にされるのはキツイもんがある。
「さて、じゃあ俺の用は済んだからもう家に帰るわ。まだ特訓の途中だしな」
まだ足の竜化は上手くいってないし、早めに全身竜化をマスターしないといざという時に対応できなくなっちまう。
「待て、余も行こう」
「私も一緒に帰る!」
レナは分かる。俺と一緒に帰った方が早いからな……でもエクス、お前はなんでだよ。
俺の視線に気付いたのかエクスが「ふん」とふんぞり返ってニヤリと笑う。嫌な予感しかしない。
「どれ、余もミナトの修行に付き合ってやろうかと思ってな」
「うぇ、有難迷惑だからちょっと遠慮したいなー」
「余が手伝ってやると言っているのだ遠慮などするな」
「いや、遠慮とかじゃなくってほんとにめいわ……」
「何か?」
「いえ何も」
気が付いたらエクスがとんでもない形相でこちらを睨んでいたのでそう答えるしかなかった。
「はぁ……しょうがねぇな。じゃあ帰るぞ。ポコナも無理するなよ?」
「分かっておりますわ♪ 新作の発売を楽しみにしてて下さいまし!」
特にシルヴァには挨拶せずに転移魔法で拠点へと帰る。
「あ、お帰りなさいですぅ~」
「さすがに今回は早かったのう」
ネコとラムが俺達を出迎えてくれた。
きっとジオタリスは馬車でゆっくり帰ってくるかシルヴァに送ってもらうんだろう。
別にジオタリスが居なくて困る奴はこの街には居ない……と思う。
というかあいつは自分の街に帰って奥さんたちにサービスでもしとけと。
一夫多妻とかけしからん。
『君の感情の起伏がよく分からないけれど……君も今似たような状況なの理解してる?』
理解も何も全然違うだろうが。
俺を好きと言ってくれる人が何人かいてくれるのはありがたいけれど、嫁が何人も居るのとじゃ天と地ほどの差があるっての。
『うるさいわねぇ……だったらさっさと結婚でもなんでもすればいいでしょ?』
急に投げやりになるのやめろ。
俺だっていろいろ心の準備とかあるんだよ。
誰と結婚するかとか、そもそも結婚までにいろいろ通るべき過程ってもんがあるだろうが。
『あーはいはいそうねー』
こいつ……。
完全に面倒になってやがる。
『とりあえず正妻なんだからネコちゃんと結婚しとけばー?』
適当な事言うんじゃねぇよ!
「ごしゅじん、どうかしたんですぅ?」
俺の袖を引っ張ってじっと見つめてくるネコを見ていたら先日のレイラとの件を思い出してしまい何故か、本当に何故だか分からんが罪悪感がこみ上げる。
『君という者がありながら他の女とあんな事になってしまってごめんよーっ!』
やかましいわっ!!
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