395 / 476
第385話:ヤバみの片鱗。
しおりを挟むオリオンに妙な誤解をされながらも俺は今世界各国で同盟が締結された話や障壁発生装置の事を説明した。
オリオンは既に同盟の話は知っていたようで、むしろその同盟話に俺が関わっていた事を驚いていた。
「本当に君という人は大きな事件の裏に必ず居るな」
「人を諸悪の根源みたいに言うのやめてくれる?」
「はは、すまない。しかし君が関わっているという事は同盟という眉唾だった話も本当のようだな。新たなダリルの王が一人でそこまでできる訳ないと思っていたのだ」
こいつもひでぇな。ライルはなかなか出来るやつだぞ?
もうすぐ嫁……? さんだって出来るぞきっと。
「まぁそういう訳だからコレの扱い方はさっき説明した通り。後の事は頼んだぞ。それと……」
俺はオリオンの隣で固まってるライアンにジト目を向けながら言う。
「こいつに悪さされないような場所に置いておけよ」
「そ、そんな事しませんってば!」
「どうだかな……人の性根ってのはそう簡単に変わるもんじゃねぇんだ。お前はこれから先、人は変われるってのを俺に証明してみせろ」
ライアンはしょんぼりしていたが、俺の言葉の真意に気付いたのかパァっと顔を明るくしてこちらを見つめた。
その眼はやめてほしい。どう反応していいか困る。
「分かりました! 俺、ミナトさんの期待に必ず応えてみせます!」
「いや、悪ささえしなけりゃなんでもいいから」
「そんな冷たい事言わないで下さいよ。本当は俺期待されてるって分ってますから! 頑張ります!」
……勝手に勘違いしてキラキラした目で見ないで。
ほんと俺はお前を疑ってるだけだから……。
「オリオン……念のためにそれの安置場所はこいつに教えるなよ」
「そ、そんなぁ~っ」
「ははは、君が警戒する気持ちも分からないでもないがね、実際ライアン君はよくやってくれているよ。君が国の英雄だと知って自分の罪を悔い、自ら私の元で働きたいと申し出てくれたのだ」
「だから俺はそういう背景とかどうでもいいんよな。だったらオリオンが責任持ってこいつを更生させてくれよ?」
ライアンは「日々精進しますっ!」と眩しい笑顔を向けてくるし、オリオンはただ笑うだけ。
後はこいつら次第ってところか。
「じゃあ俺の用は済んだからもう行くわ。他の街も回らなきゃならないし」
「ああ、あの少女も一緒じゃ無いようだし食事でもと思ったがそういう事なら仕方ないな」
「ふふ、今度来る時はネコ連れてくるから腹いっぱい食わせてやってくれよ」
「か、勘弁してくれ」
未だに前回ネコが暴食の限りを尽くしたのがトラウマになっているようだ。
「じゃあまたな」
二人の元を後にした俺は、次の目的地シャンティアへ向かう。
ノインに貰った元自分の家があった場所の前に転移すると……新しい家が建ってた。
「おぉ……なんだか複雑な気持ちだな……」
ここを出て行った身だから自分勝手な感想なんだが、昔住んでた家があった場所を覗きにいったらもう違う人が住んでたみたいな気持ちになってる。
「……ミナト、様?」
振り向くと、そこにはレイラが立っていて、俺と目が合うと胸に抱えていたパンの入った袋をぼとりと落とした。
「ひ、久しぶ……ぐわっ!?」
言い終わる前にアメフト選手のタックルばりの勢いでレイラが俺に飛びついてきた。
「あぁ、ミナト様、ミナト様、本物のミナト様ですよね? ずっと待ってました私ずっといい子にしてましたよ? 褒めて下さいミナト様……!」
レイラが俺の腹に顔を押し付け頭をぐりぐりしてきた。
お腹がなんだかしっとりしてきた気がする。
「れ、レイラ……泣くなって」
「だって、だってぇ……ミナト様全然帰ってきてくれないんですもの……私が幾夜枕を濡らしていたかご存知ですか……?」
……れ、レイラってこんなに俺の事好きだったの?
『それは前からじゃないの……どうして気付くのが今更なのかしら』
そ、そうだったのか……。好意を向けられてるのは気付いていたけれどここまでとは……。
「お、おいレイラ……その、なんていうか……悪かったな」
「ミナト様はずるいです。私は戦う事なんて出来ないから待つしか無い……なのに私の所にまったく帰ってきてくれないし家ごとどこか持っていっちゃうし……」
レイラは俺をぽかぽか叩きながらボロボロ泣き続けた。
『今までずっと我慢してきたんだからこうなっても仕方ないわよ』
「なかなか会いにこれなくてごめんな」
レイラの頭を撫でると、レイラはやがて泣き止んだが、「帰ってこれなくて、とは言ってくれないんですね」とボソリと呟いた。
「もうミナト様の帰るべき場所は他にあるんですね……」
ど、どどどどうしたらいい? ママドラ、頼むから女性視点でアドバイスを……!
『ふふ、自分で考えなさいせーしょーねん♪』
お、おいママドラ、ママドラ?
「ミナト様がどんどん遠い人になっていくのを感じます……」
ぐっ、ママドラは頼れない。
「た、確かに今俺はリリアの家を拠点にしているが……そうだ、レイラ、お前も今度連れていってやるよ!」
「……お前、も。って事はみんなそこにいらっしゃるんですね。今ミナト様って何人の女性と一緒にお住まいなんですか……?」
えっ? な、何人だろ。
「えっと、ひー、ふー、みー、よー……」
「もう結構です」
レイラの声がワントーン低くなり、俺の身体にしがみ付く手に力が込められていく。
「れ、レイラ?」
「ミナト様。今日は絶対に帰しませんから」
あれっ、レイラの目が、どこかのサイコ女みたいになってる……!?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた
季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】
気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。
手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!?
傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。
罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚!
人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
魔力ゼロで出来損ないと追放された俺、前世の物理学知識を魔法代わりに使ったら、天才ドワーフや魔王に懐かれて最強になっていた
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は我が家の恥だ」――。
名門貴族の三男アレンは、魔力を持たずに生まれたというだけで家族に虐げられ、18歳の誕生日にすべてを奪われ追放された。
絶望の中、彼が死の淵で思い出したのは、物理学者として生きた前世の記憶。そして覚醒したのは、魔法とは全く異なる、世界の理そのものを操る力――【概念置換(コンセプト・シフト)】。
運動エネルギーの法則【E = 1/2mv²】で、小石は音速の弾丸と化す。
熱力学第二法則で、敵軍は絶対零度の世界に沈む。
そして、相対性理論【E = mc²】は、神をも打ち砕く一撃となる。
これは、魔力ゼロの少年が、科学という名の「本当の魔法」で理不尽な運命を覆し、心優しき仲間たちと共に、偽りの正義に支配された世界の真実を解き明かす物語。
「君の信じる常識は、本当に正しいのか?」
知的好奇心が、あなたの胸を熱くする。新時代のサイエンス・ファンタジーが、今、幕を開ける。
クラス転移したからクラスの奴に復讐します
wrath
ファンタジー
俺こと灞熾蘑 煌羈はクラスでいじめられていた。
ある日、突然クラスが光輝き俺のいる3年1組は異世界へと召喚されることになった。
だが、俺はそこへ転移する前に神様にお呼ばれし……。
クラスの奴らよりも強くなった俺はクラスの奴らに復讐します。
まだまだ未熟者なので誤字脱字が多いと思いますが長〜い目で見守ってください。
閑話の時系列がおかしいんじゃない?やこの漢字間違ってるよね?など、ところどころにおかしい点がありましたら気軽にコメントで教えてください。
追伸、
雫ストーリーを別で作りました。雫が亡くなる瞬間の心情や死んだ後の天国でのお話を書いてます。
気になった方は是非読んでみてください。
大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる
遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」
「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」
S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。
村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。
しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。
とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる