★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

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第353話:精神破壊攻撃。

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「しかしイヴリンを退治するのは器ごと消滅させても一時的、だったはずだが……」

 やっぱりそれが共通認識なのだろう。俺だってビックリしてる。

「えへへ~私だって頑張ったんだゾ?」

 頑張った、じゃ分からんので具体的に説明をしてほしいんだが……。

「どのようにしてイヴリンを退治したのか参考までに教えて頂けないだろうか?」

 さすがシルヴァ、気になった事はちゃんと聞いてくれる。

「それは私が勇者で……」
「できるだけ具体的に頼む」

 ティアは一瞬めんどくさそうな顔をして唇を尖らせたが、肩をすくめて説明を始めた。

「私は大昔に奴と一度戦ってるでしょ? その時、倒したと思ってたのに、後からそれが一時的な事だったって知ったのね」

 魔王討伐が成功した、と思ったら一時的な物だったと知ったティアは憤った。
 それからという物、ひそかに精神体に直接攻撃する事が可能な術式の練習をしていたんだそうだ。

「やろうとした事は分かるが、それをどのように実現したのかが理解できんな」

「あのね、難しく考えすぎなんだよ。私もいろいろ試したんだけど、結局最後に私の味方をしてくれたのは根性だったゾ?」

「根性で何がどうなると……いや、待てよ。そうか、そういう考え方か」

 なんかシルヴァは勝手に理解したらしく一人でふむふむ言ってる。

「悪いが俺にも分かるように言ってくれよ。根性で何がどうなるって?」

「ふむ、おそらく彼女が言っているのは、精神的存在との接触における精神的構造原理の一節に則った物だろう」

 俺がティアに「そうなのか?」と確認を取ると、彼女は顔を逸らして口笛を吹き出した。

「おい、多分違うぞそれ」

「いや、本人がどういうつもりでやっていたのかはこの際横に置いて、だ。理論的には僕が先ほど言った理論で合っているだろう」

 ティアはそれを偶然実行してたって? そんな偶然あるか?

「で、その精神的存在とのなんちゃらってのはどういう理屈なんだ?」

「君に分かるように説明するとだ、この世の生物には肉体があり、精神体がある。という考え方を大前提として、霊的な存在を認めるか否か……」

「分かんねぇ分かんねぇ何言ってんだもっと噛み砕いてくれ」

『君も少しは考えなさいよ……』
 分らん事に頭使ってもしょうがないだろ。

「はぁ……分かった、ならこれでどうだ? 精神だけの生き物がいます。それと接触するには肉体を持ったままでは難しいのでこちらも精神体になればいいんじゃないかな」

 シルヴァの喋り方が若干俺を小馬鹿にしている気がする……。
『小馬鹿じゃなくて馬鹿にされてるのよ……』

「ティアが自分を精神体にしてイヴリンに接触したって言うのか?」

「僕が驚いているのはそこのコントロールを彼女が無意識に行っているという事だ。厳密にそれを実行に移すなら自分という存在を半分だけ精神体に置き換え、半々の存在にしなければいけない」

「えー、私そんな難しい事してないけどなぁ……」

「だ、そうだが?」

 シルヴァが沈黙する。
 彼女の言葉に悩んでいるというより、頭を抱えている方に近い。

「僕としてはそれを無意識にコントロールしている、と思っているのだが……」

「実際どうなんだ? ティアはどんな感じでそれやってんの?」

 ティアは自分の顎に人差し指をあてがい、少し上の方を見ながら言った。

「要は幽霊みたいなもんでしょ? そういう固定概念があるから触れないんだろうなって思って、触れると思えば触れる! こいつは普通に掴めるし殺せる! よっしゃ掴んだろ! ……って感じかな?」

「……だそうだが?」

 シルヴァに確認を取ると、彼はむしろスッキリした顔をしていた。どうしてそうなる。

「今の発言で確信を得た。やはり理論としては僕の言った物で正解だ。彼女は彼女なり解釈でそれを無意識に成功させている。驚くべき才能だね」

「ティア、お前イヴリンになんでって聞かれて勇者だからだゾとか言ってなかったか?」

「そう言った方がかっこよくない?」

 今度は俺が頭を抱えた。
 こいつはそういう奴だった。

「つまり何か? 今後精神体の敵が出てくるような事があれば、俺の攻撃はこいつに通ると強く念じりゃなんとかなるってのか?」

「理屈的にはそうなるが、おそらく難しいだろうね。人の認識というのはそう簡単にはいかない。ティアはその点自己暗示が上手かったのだろう」

 自己暗示というか……思い込みが激しいというか考え方が尖りすぎてるというか……とにかく普通じゃないから出来たって事か。
 強く思いこんで自分を騙すなんて俺には無理そうだ。

「真似をしても意味が無いだろうね。今回のイヴリン討伐はかなり大きい。僕はギャルンの裏にはイヴリンが居ると思っていたからね……実際はイヴリンも奴の駒だったようだが」

「で、だ。イヴリンの事はこれでいいとして、問題はその後ギャルンがまた出てきやがって……準備は全部整ったって言いやがった事だ」

 俺にはそれが一番引っかかっている。
 過ぎた事よりもこれからの波乱にできる限り対処をしておきたい。

「準備が整った……奴がそう言ったのか?」

 俺が頷くと、シルヴァも表情を硬くする。

「これは……同盟会議を急いだ方がよさそうだ」

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