★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
上 下
339 / 476

第330話:しゅごい。

しおりを挟む

「じゃあその心当たりって場所まで案内してくれるか?」

「わかりました。まずは城の中へ」

 マァナに案内され王城の中へ。
 門番の影人間が居るがそいつらは微動だにしないので素通りだ。

 リリィを護衛していた忍者軍団はジーナの命令で城の外に待機し、異変があればすぐにこちらに伝える、という事になっている。
 つまりは警戒と監視。
 王がリリィに付けた護衛はジーナを含めて二十名あまり……どう考えても過保護である。


 城の中はごく一般的な造りだったが、装飾品などの形は結構独特で玉ねぎみたいな形をしている球体が多かった。

「ミナトさん……でしたね?」

「ああ。どうかしたか?」

 マァナは足を緩める事無く城を進みつつ、俺にだけ聞こえる程度の声で話しかけてきた。

「貴女は……この国の人々はどうなってしまったと思いますか?」

「そういう話はうちのお嬢様にした方がいいと思うが……まぁいいだろう。俺の個人的な考えだから気を悪くするなよ?」

「……かまいません」

「そうか。……どう考えても、無事ではないだろうな」

 マァナはその言葉を聞いて数秒間黙り込む。

「そう、ですよね……なんとなく私も分ってはいたんです。きっとお父様、お母様……そしてルルお姉様も……もう居ないんだと」

 先を行くマァナの表情は見る事が出来なかったが、足元には小さな雫が一滴。
 しばらく彼女の前に回り込むのはやめた方がよさそうだ。

 彼女が迷いなく進む先は城の奥。ただひたすら隅へ隅へと進んでいた。

「マァナ、こんな所には何もないですよー? わらわは城の中を探検し尽くしてるんですよー? 間違い無いですー」

 アホみたいな間延びした声でリリィが無意味だと断言したが、マァナはリリィの声など完全に無視して進む。

「ちょっとマァナ聞いてるんですかー!?」
「聞いている訳ないでしょう?」
「聞いてるじゃないですかーっ!」

「到着しました。ここです」

 マァナが立ち止まった事で後ろにいた俺も立ち止まり、俺の背中にリリィが顔面から突っ込んできた。

「ぶぎゃっ! 急に止まらないで下さいーっ! このっ! このっ!」

 リリィが俺の背中をぽかぽか叩いてくるが力が弱すぎてまるでマッサージされてる気分だ。

『孫が肩叩いてくれる的な?』
 そうそう、そんな感じ。

『二十七歳の孫をもつなんて君も来るとこまで来ちゃったのね』
 こんな孫が居たら意外と可愛いのかもしれんが……二十七歳の孫ってのが引っかかるけど。

『確かにこの子やかましいしイキリ散らしてるけれど自分を慕ってくれる孫ポジションだったら可愛いかも』
 だよな。

 ママドラも大分感化されてきている気がする。
 俺も大概どうかしているが。

「ここからは迷いやすいのできちんとついて来て下さい。一度迷ったらもう合流は出来ないと思って下さって結構です」

「おいおいなんだそりゃ。こんな所に地下迷宮でも広がってるってのか?」

「……当たらずとも遠からずというやつですね」

 おいおいマジかよ。

「マァナ、ここは本当に何も無いですよー? ぐるぐる不可解ドアがあるだけですー」

 ぐるぐる不可解ドアってなんだよ。って思ったけれど、中に入るとその意味が理解出来た。

 扉の向こうには三枚のドアが並んでおり、マァナがその一つを開けると同じような部屋が続いている。

「おい、なんだここは……」

「今話しかけないで下さい。手順を忘れてしまいます」

 怒られてしまった……。
 だが今の反応でここがどういう物なのか理解出来た。
 おそらくラムの家に近い迷いの結界が張ってあるんだろう。

 決まった手順で三枚の扉を選んで行かないと元居た場所に戻されてしまう。

「えっと……確か次は……」

 マァナも記憶が曖昧らしく二度ほど失敗し、リリィに「ざーこざーこっ!」と煽られてはジーナに命令を飛ばしていた。
 勿論リリィをぶっ叩けという命令だ。

「……困りました」

「おい、まさか分からなくなっちまったのか?」

「仕方ないじゃないですか。子供の頃になんとなく聞いた事があるだけなんです。むしろ一度聞いた事があるだけで七手順目まで覚えているのを褒めてほしいくらいですわ」

 マァナはちょっと拗ねるようにほっぺたを膨らませた。

 なんだかんだと年相応な部分はあるようで安心したけれど、よく考えたらリリィが二十七歳ってマァナは幾つなんだ……?

 見た目はかなり若い感じがするが、下手をすると二十五~六くらいか?

『レディーの年齢を気にしちゃダメよ?』
 あぁそうかいお前はいくつだよ。
『私ミナト君の事嫌い』

 ママドラまで拗ねてしまった。
 女ってのはどうしてこう年齢に敏感なのかねぇ……。

「んー、よしよし、だいたい分かったのじゃ。ここから先の道案内は儂に任せよ」

 ラムが車椅子を押しながらマァナの前に出る。

「いや、ここの手順は……」

「王族しか知らない……とかじゃろ? 普通はそうじゃ。でも儂くらいになると幾つかサンプルさえあれば分かるようになるんじゃよ」

 マァナが信じられないという目を俺に向けてくるが、まぁ……ラムが分かるって言うなら分かるんだろう。

「うちのお嬢様は天才だからな。このくらい出来ても不思議はないぜ?」

「へっへーん! どうじゃ儂すっごいじゃろー♪」

「しゅ、しゅごい……!」

 ラムに誰よりも輝いた視線を向けていたのは、何故かリリィだった。

 なんでだよ。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

召喚されたら無能力だと追放されたが、俺の力はヘルプ機能とチュートリアルモードだった。世界の全てを事前に予習してイージーモードで活躍します

あけちともあき
ファンタジー
異世界召喚されたコトマエ・マナビ。 異世界パルメディアは、大魔法文明時代。 だが、その時代は崩壊寸前だった。 なのに人類同志は争いをやめず、異世界召喚した特殊能力を持つ人間同士を戦わせて覇を競っている。 マナビは魔力も闘気もゼロということで無能と断じられ、彼を召喚したハーフエルフ巫女のルミイとともに追放される。 追放先は、魔法文明人の娯楽にして公開処刑装置、滅びの塔。 ここで命運尽きるかと思われたが、マナビの能力、ヘルプ機能とチュートリアルシステムが発動する。 世界のすべてを事前に調べ、起こる出来事を予習する。 無理ゲーだって軽々くぐり抜け、デスゲームもヌルゲーに変わる。 化け物だって天変地異だって、事前の予習でサクサククリア。 そして自分を舐めてきた相手を、さんざん煽り倒す。 当座の目的は、ハーフエルフ巫女のルミイを実家に帰すこと。 ディストピアから、ポストアポカリプスへと崩壊していくこの世界で、マナビとルミイのどこか呑気な旅が続く。

異世界で美少女『攻略』スキルでハーレム目指します。嫁のために命懸けてたらいつの間にか最強に!?雷撃魔法と聖剣で俺TUEEEもできて最高です。

真心糸
ファンタジー
☆カクヨムにて、200万PV、ブクマ6500達成!☆ 【あらすじ】 どこにでもいるサラリーマンの主人公は、突如光り出した自宅のPCから異世界に転生することになる。 神様は言った。 「あなたはこれから別の世界に転生します。キャラクター設定を行ってください」 現世になんの未練もない主人公は、その状況をすんなり受け入れ、神様らしき人物の指示に従うことにした。 神様曰く、好きな外見を設定して、有効なポイントの範囲内でチートスキルを授けてくれるとのことだ。 それはいい。じゃあ、理想のイケメンになって、美少女ハーレムが作れるようなスキルを取得しよう。 あと、できれば俺TUEEEもしたいなぁ。 そう考えた主人公は、欲望のままにキャラ設定を行った。 そして彼は、剣と魔法がある異世界に「ライ・ミカヅチ」として転生することになる。 ライが取得したチートスキルのうち、最も興味深いのは『攻略』というスキルだ。 この攻略スキルは、好みの美少女を全世界から検索できるのはもちろんのこと、その子の好感度が上がるようなイベントを予見してアドバイスまでしてくれるという優れモノらしい。 さっそく攻略スキルを使ってみると、前世では見たことないような美少女に出会うことができ、このタイミングでこんなセリフを囁くと好感度が上がるよ、なんてアドバイスまでしてくれた。 そして、その通りに行動すると、めちゃくちゃモテたのだ。 チートスキルの効果を実感したライは、冒険者となって俺TUEEEを楽しみながら、理想のハーレムを作ることを人生の目標に決める。 しかし、出会う美少女たちは皆、なにかしらの逆境に苦しんでいて、ライはそんな彼女たちに全力で救いの手を差し伸べる。 もちろん、攻略スキルを使って。 もちろん、救ったあとはハーレムに入ってもらう。 下心全開なのに、正義感があって、熱い心を持つ男ライ・ミカヅチ。 これは、そんな主人公が、異世界を全力で生き抜き、たくさんの美少女を助ける物語。 【他サイトでの掲載状況】 本作は、カクヨム様、小説家になろう様でも掲載しています。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

処理中です...