260 / 476
第252話:嘘と宴会。
しおりを挟む俺が作り上げた嘘っぱちのステータスだが、まず職業のバトルマスター。
これは剣士、武闘家、魔法使い、僧侶などの基本的な職業を全てマスターした者が到達する事の出来る職業。
おそらく自力で到達できる最高の職業だろう。
これでも十分箔が付くと思ったんだが、勇者の後じゃいまいちだったかもしれない。
本当はスキルとかはそれなりに強いのにしておけばいいと思っていたんだけどティアのインパクトに負けない為にはジュディアのスキル情報を拝借するのが一番かと思い、剣技レベル測定不能と剣聖技を引用させてもらった。
ちなみにジュディアが剣聖技レベル7に対して俺は15とかなり盛ってしまったが。
しかしそれでもティアを上回るインパクトを与える為にほんの少しだけ本当の情報を混ぜる必要があった。
それが特殊スキルドラゴニカ。
これはドラゴンの力を身に纏う事が出来るという伝説級のスキルだ。
ちなみにドラゴンの血肉を百体以上喰らった者にのみ発現すると言われている。
本当かどうかは知らないけど。
本来はドラゴンと同化しているので必然的に常時ドラゴニカ状態って感じなのかもしれない。
さて、なんでこんなにも話を盛ったかと言えば言ってやりたい事があったからに決まってる。
「おい、お前オーガスって言ったよな。……でさ、誰が何を教えてくれるって?」
「……か、勘弁してくれ。俺が悪かった……なんなら土下座して謝罪させてもらう。だから、俺はどうなっても仕方ないが他の皆の非礼をどうか許してくれ」
オーガスとかいう鎧の大男はガタガタと震えて鎧をガチガチ鳴らしながらゆっくり土下座の姿勢に入ろうとした。
「……はぁ、真面目かよ……」
本当は悲鳴をあげてここから逃げ出すのとかを期待してたんだけど。
「やめろやめろ、俺が虐めてるみたいじゃないか……そういうの良いから。さっきの事は水に流してやるよ」
「ほ、本当か!? ありがてぇ……!」
周りのギャラリー共もホッと胸をなでおろした。
こいつら俺が暴れて皆殺しにするとでも思ったのかねぇ……。
「だけどお嬢さん達本当にすげぇパーティだったんだな……いや、だったんですね」
うぇ、気持ち悪っ。
「その敬語やめろ。慣れてねぇ事しなくていいから。普通にしてくれ」
オーガスは俺の言葉に目をカッと開き、満面の笑みを浮かべた。
だから気持ち悪いってば……。
「おぉぉぉ! 今日は伝説に立ち会った素晴らしい日だ! みんな飲め! 俺のおごりだぁぁぁぁぁっ!!」
「マジかよ!?」
「オーガスが奢りなんて明日雪でも降るんじゃねぇか?」
「マスター酒だ! 酒もってきてくれ!」
「ささ、お嬢さん方こっちへ来て座って下さい!」
もう大騒ぎになってしまった。
俺達を席につかせてどんちゃん騒ぎをしたかったようだが、俺はそんなのに参加するつもりは……。
「んくっ、んくっ、んくっ、ぷはーっ! うんめぇぇぇぇぇっ! ちょっとミナト、早くこっちに来て一緒に飲もうよぉ?」
既にティアがテーブルの上に腰かけて酒のジョッキを空にしていた。
「お、おいティア!」
「いいじゃない私もミナトも未成年じゃないんだから~♪ 頭固いと損するだけだゾ♪」
こいつ……。
「ささ、姐さんもこっちきて一緒に飲んでくだせぇ! 酒代は俺が払いますんで!」
オーガスがその場に跪いて席につくよう大きな手ぶりで促した。
「……まったく、しょうがねぇな……そっちの二人にはジュースを用意してやってくれ。いいか?」
「勿論ですぜ! ささ、ユイシスお嬢さんとラムお嬢さんもこちらへどうぞ! おいテメェら道を開けろ! ラムお嬢さんが通りにくいだろうが!」
……なんだこれ。
オーガスってのは結構仕切りやだったようで、皆にテキパキ指示を飛ばしてるから何してるのかと思ったら、いつの間にか席に着いた俺達を取り囲むように人だかりができていて、オーガスがそれを「一人ずつ順番だ!」とか言ってる。
そこから何が始まるのかと思えば、まるでアイドルみたいな事をやらされた。
つまり握手会だ。
俺達全員と握手したいって皆が騒ぎ出したのでオーガスが列を整理したらしい。
なかなかの手腕だがそもそも握手を断ってくれよ。
その後夜遅くまで握手会は続き、皆からの質問攻めにあう羽目になった。
おやじは一人で静かにカウンターで飲んでいたが、しばらくするとこちらに手を振って「じゃああとは頑張れよ」と声をかけて出て行ってしまった。
そこは「そろそろ帰るぞ」だろうが!
せめてこの状況から抜け出したいのだが、握手や質問に答える事が楽しくなってしまったらしくて俺以外の連中が意外と乗り気なのが問題だった。
「はぁ……つかれた……」
閉店の時間になり店を追い出されたところで握手会が終了したので俺達はホールを使い、家に帰ってきた。
「しかしこれだけ目立てばすぐにでも声がかかるじゃろ♪」
「私だけレベル低いから浮いちゃってますぅ」
「職業勇者ってのはちょっと悪目立ちしすぎちゃったかなぁ?」
懐かしの我が家は埃が消えただけでかなり住み心地よくなっていた。
「いろいろ言いたい事はあるけどよぉ……今日の所はとにかく寝ようぜ……」
いくらなんでも疲れちまったよ。
どれだけ飲んでも酔う事は無かったけれど、今後の事を考えるといろいろ頭は痛い。
とりあえずギルドに登録ってミッションは終わった。
後は仕事を受けてこなしていくだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦国鍛冶屋のスローライフ!?
山田村
ファンタジー
延徳元年――織田信長が生まれる45年前。
神様の手違いで、俺は鹿島の佐田村、鍛冶屋の矢五郎の次男として転生した。
生まれた時から、鍛冶の神・天目一箇神の手を授かっていたらしい。
直道、6歳。
近くの道場で、剣友となる朝孝(後の塚原卜伝)と出会う。
その後、小田原へ。
北条家をはじめ、いろんな人と知り合い、
たくさんのものを作った。
仕事? したくない。
でも、趣味と食欲のためなら、
人生、悪くない。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中
あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。
結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。
定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。
だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。
唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。
化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。
彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。
現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。
これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる