★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
上 下
252 / 476

第244話:ミナトVSラム。

しおりを挟む
 
 ラムがついていくと言い出した時、俺の答えは勿論ノーだった。

 車椅子状態のラムをこれ以上危険な場所に連れていく気にはなれなかったし、正直に言うと戦力に数えるには荷が重いと思っていた。

 だって機動力も以前に比べて大分落ちてしまっている訳だし、いくら魔法に長けていたとしても……。
 それに彼女には街で平穏に暮らしてほしい。この街に居れば平和に暮らしていけるだろう。

 でも、俺達の街で彼女を守ってやろうなんてのはとんだ思い上がりだったらしい。

「ミナトはまさか足が動かない程度で儂が役立たずになったとでもいうつもりじゃなかろうな?」

「えっ、いや……それは……」

「よかろう……ミナトがどれだけ儂を見くびっているか教えてやるのじゃっ! 表へでろーっ!」

 ラムはニヤニヤ笑いながら玄関の方を指差す。

「お、おい……」

「なんじゃ? 儂が今どれだけできるか実際見せてやろうというんじゃ。もしそれで納得できないなら置いて行けばよかろう」

 ……この子は本当に前向きだな。
 それともこんな状態にしてしまった俺を気遣って元気に振舞っているんだろうか?

 だとしても、表へ出ろ、は言い過ぎだと思うが……。

「むぅ……表に出る気が無い、というのなら無理矢理にでも連れてってやるのじゃっ!」

 ラムが俺に向かって掌を向けると、一瞬にして世界がぐるぐる回転した。

 何事かと態勢を整え辺りを見渡すと、既に俺は家の外に居た。

 対象のみを転移させる魔法!?

「さー皆の者、一緒に来るのじゃーっ!」

 玄関からラムを先頭に皆がぞろぞろと出てくる。
 既に皆は俺達の戦いを観戦する気満々らしく、ぐるりと円を描くように俺を取り囲んでいく。

「お、おいラムちゃん……さすがにこれは……」

「なんじゃなんじゃ今更儂に遠慮などいらんのじゃ。ちなみに六竜の力はさすがに使ったらダメじゃぞ? そんなの誰も勝てんからのう」

 ラムは車椅子をキコキコと操りながら俺の前に出る。
 どうやら本当にやるつもりらしい。

 しかしどうしたもんか……いきなり切りかかる訳にはいかないし……いや、ラムなら俺のっ剣撃くらいは簡単に障壁魔法で防いでみせるだろうけれど。

 分かっててもちょっとやりにくい。
 そうなると……ラムの機動力の無さを分らせてやるのが一番だろうか。

「ほれほれ、かかってこんのならこっちからいくぞ?」

「……もう一度聞くけど、本当にこの街に残るつもりはないのか?」

「くどいのじゃ。もし儂を残らせたいのなら実力で示してみせよ」

 再びラムがにっこりと笑う。

「そっちがそのつもりならいいよ、分らせてやる……!」

 六竜の力を使わないにせよ、俺には記憶から引き出せるスキルが沢山ある。

 まずは残像を幾つも作り出す。レナのようにすべてが実体なんて仕様ではないが、目くらましには十分だろう。
 そして残像十二体で高速移動。ラムが攻撃対象を悩んでいるうちに俺は素早く後ろに回ってチェックメイトだ。

 ラムもさすがに街の中で、しかもギャラリーが取り囲んでいる中でまとめて吹っ飛ばすような魔法は使えないだろうしこれが一番だろう。

「はぁ……ミナト、お主が儂を舐めておるという事だけはよぉーっく分かったのじゃ」

 ラムがそんな事を言っている間にも俺は既に背後に回り込み、その頭をぽんぽんと叩いてやる。

 ……つもりだったのだが、俺の掌は見事に空を切った。

「あれっ? ……転移か!?」

 慌てて周りを見渡すが、ギャラリーがくすくすと笑っている姿ばかりが目に入り、どこにもラムが見当たらない。

 もしかして俺はからかわれたのか?
 今頃離れた所に転移して笑っているのだろうか?

「おいミナト、お前本当にボスが足が動かなくなっただけで無力になるとでも思っているのか?」

 そんな、笑うような馬鹿にするような声でヨーキスが言った。

 ……ラムは本気って言いたいのか?

「まさか上か!?」

 上空を見ると、そこには車椅子のまま宙に浮いてくすくす笑っているラムが居た。

「やっぱりミナトは素直じゃのう。儂が既に種を撒いていた事に気付いておらんとは……ふふっ可愛いのう♪」

「なっ……」

 俺は自分の足元を確認する。魔法による細工をしてあるという事なら少し集中すれば俺の目にも見えるはず……。

 しかし、何もあるようには見えない。トラップの類を仕掛けているという趣旨の発言だと思ったんだが……。

「あはははっ♪ 何もしとりゃせんよ。すぐに騙されおってミナトもまだまだじゃのう!」

 やっぱり俺はからかわれているのでは?

「おいたが過ぎるぞラム、そろそろ降りてこい」

「なんじゃつまらんのう。ではそろそろ降りるとするか」

 ラムがそう言った途端、俺の頭上の車椅子が物凄い勢いで落下してきた。

 避けるべきか受け止めるべきか一瞬悩んでしまったため反応が遅れる。

 結局、心配の方が勝ってしまって車椅子を受け止める事にした。

 がっちりとキャッチしたそこに、ラムの姿は無かった。

「……えっ?」

「この馬鹿者め」

 突然俺の身体を何かが物凄い力で締め付ける。
 魔法で出来たロープ? 大神殿でガングを締め上げたやつだ。

「儂はミナトが丈夫なのを知っておるからのう。手加減はせんぞ」

「ちょ、ちょっと待て……!」

「いや、待たん」

「いでーっ!」

 俺の背中に電撃の槍が突き刺さるのを感じた。
 身体が麻痺して力が入らない。

「儂を舐めた報いを受けるのじゃ」

 地面に転がった俺の視界に入ってきたのは宙に浮かぶラムが、いくつもの炎の矢を生み出して一斉に俺に放つ姿だった。

「お、おぉっ!?」

 ごろごろ転がりなんとか矢を交わし、気合で魔力の縄を引きちぎり、爆炎に紛れてラムに飛び掛かったが、彼女は悠々と空を自在に飛び回り俺をかわす。

「ほいっと♪」

 俺の身体が泡のような物に包まれる。

「こんなものっ!」

 内側から殴るも、びにょんと伸びるだけで割る事が出来ない。

 こうなったら……俺も少しマジにならないといけないかもしれない。

「おっと、させんのじゃ」

 再び俺の身体が魔力の縄に縛られる。
 しかし先程も千切れたのだから恐れるほどでは……。

「ちなみに儂が魔力を込めれば込めるほど強度は増すのじゃ。さっきはあえて千切れると思わせる為に弱くしてやったんじゃぞ?」

「……マジかよ」

「んで、まだ終わらんぞ」

 泡の中にどこからともなく水が大量に現れ、すぐに俺は水に飲み込まれる。

 縛られた上で水攻め……!?

 本気で縄を引きちぎろうとしたけれど今回はビクともしなかった。
 彼女は俺が思っていたよりもとんでもない女なのかもしれない。

 息を止めつつ試行錯誤するも、こんな状態では集中できずついに限界が来て大量に水を飲み込んでしまう。

「ぐごっ、ぐばばっ……」

 ついに俺は腕を竜化させ、縄を千切り泡をぶち破る。

「ふっふっふー♪ ついに使ってしもうたのう? それで、まだやるのじゃ?」

「……参りました」


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】帝国から追放された最強のチーム、リミッター外して無双する

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】  スペイゴール大陸最強の帝国、ユハ帝国。  帝国に仕え、最強の戦力を誇っていたチーム、『デイブレイク』は、突然議会から追放を言い渡される。  しかし帝国は気づいていなかった。彼らの力が帝国を拡大し、恐るべき戦力を誇示していたことに。  自由になった『デイブレイク』のメンバー、エルフのクリス、バランス型のアキラ、強大な魔力を宿すジャック、杖さばきの達人ランラン、絶世の美女シエナは、今まで抑えていた実力を完全開放し、ゼロからユハ帝国を超える国を建国していく。   ※この世界では、杖と魔法を使って戦闘を行います。しかし、あの稲妻型の傷を持つメガネの少年のように戦うわけではありません。どうやって戦うのかは、本文を読んでのお楽しみです。杖で戦う戦士のことを、本文では杖士(ブレイカー)と描写しています。 ※舞台の雰囲気は中世ヨーロッパ〜近世ヨーロッパに近いです。 〜『デイブレイク』のメンバー紹介〜 ・クリス(男・エルフ・570歳)   チームのリーダー。もともとはエルフの貴族の家系だったため、上品で高潔。白く透明感のある肌に、整った顔立ちである。エルフ特有のとがった耳も特徴的。メンバーからも信頼されているが…… ・アキラ(男・人間・29歳)  杖術、身体能力、頭脳、魔力など、あらゆる面のバランスが取れたチームの主力。独特なユーモアのセンスがあり、ムードメーカーでもある。唯一の弱点が…… ・ジャック(男・人間・34歳)  怪物級の魔力を持つ杖士。その魔力が強大すぎるがゆえに、普段はその魔力を抑え込んでいるため、感情をあまり出さない。チームで唯一の黒人で、ドレッドヘアが特徴的。戦闘で右腕を失って以来義手を装着しているが…… ・ランラン(女・人間・25歳)  優れた杖の腕前を持ち、チームを支える杖士。陽気でチャレンジャーな一面もあり、可愛さも武器である。性格の共通点から、アキラと親しく、親友である。しかし実は…… ・シエナ(女・人間・28歳)  絶世の美女。とはいっても杖士としての実力も高く、アキラと同じくバランス型である。誰もが羨む美貌をもっているが、本人はあまり自信がないらしく、相手の反応を確認しながら静かに話す。あるメンバーのことが……

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

外れスキル《コピー》を授かったけど「無能」と言われて家を追放された~ だけど発動条件を満たせば"魔族のスキル"を発動することができるようだ~

そらら
ファンタジー
「鑑定ミスではありません。この子のスキルは《コピー》です。正直、稀に見る外れスキルですね、何せ発動条件が今だ未解明なのですから」 「何てことなの……」 「全く期待はずれだ」 私の名前はラゼル、十五歳になったんだけども、人生最悪のピンチに立たされている。 このファンタジックな世界では、15歳になった際、スキル鑑定を医者に受けさせられるんだが、困ったことに私は外れスキル《コピー》を当ててしまったらしい。 そして数年が経ち……案の定、私は家族から疎ましく感じられてーーついに追放されてしまう。 だけど私のスキルは発動条件を満たすことで、魔族のスキルをコピーできるようだ。 そして、私の能力が《外れスキル》ではなく、恐ろしい能力だということに気づく。 そんでこの能力を使いこなしていると、知らないうちに英雄と呼ばれていたんだけど? 私を追放した家族が戻ってきてほしいって泣きついてきたんだけど、もう戻らん。 私は最高の仲間と最強を目指すから。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

【書籍化】パーティー追放から始まる収納無双!~姪っ子パーティといく最強ハーレム成り上がり~

くーねるでぶる(戒め)
ファンタジー
【24年11月5日発売】 その攻撃、収納する――――ッ!  【収納】のギフトを賜り、冒険者として活躍していたアベルは、ある日、一方的にパーティから追放されてしまう。  理由は、マジックバッグを手に入れたから。  マジックバッグの性能は、全てにおいてアベルの【収納】のギフトを上回っていたのだ。  これは、3度にも及ぶパーティ追放で、すっかり自信を見失った男の再生譚である。

処理中です...