★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
240 / 476

第234話:想定外の最悪。

しおりを挟む

 人の背丈ほどの柱四本に囲まれた魔法陣の中へ入り、魔力を流し込む。

 すると転移ヴェッセルが起動し、俺達は全く別の場所へと飛ばされた。

 ちょっと頭がクラクラする。

「ミナト……ここは、かなりヤバそうな場所じゃ。魔物の気配がゴロゴロあるのじゃ」

 警戒しつつ転移ヴェッセルのある小部屋から出ると、さっそく魔物とエンカウントした。

 というか尋常じゃない。
 大広間のような場所に出たのだが、そこだけで魔物が三十体は居る。

 そいつらがこちらに一斉に向き直り、それぞれのうめき声をあげながら飛び掛かってきた。

「とにかく殲滅だ」
「おうなのじゃっ!」

 ここにいる魔物共は大した強さではない。
 先程の司教たちよりも弱いくらいだ。

 俺とラムにかかればものの一分とかからず殲滅できた。
 というか俺が何かする前にラムちゃんがばっさばっさと風の刃を巻き散らして魔物を全て八つ裂きにしてしまったのだが。

「どーじゃ魔物どもめーっ!」
「やっぱり魔法使える仲間が居ると大分違うな」

 今まで魔法は俺の担当で、周りには基本的に近距離戦闘メインの奴等ばっかりだったから不思議な感覚だ。

「見直したかのう?」

 ラムちゃんがとてとてーっと俺の近くまで小走りでやってくるのがやけに可愛らしくてつい頭を撫でたくなってしまう。

「おう」
「惚れ直したかのう?」
「おう」
「うへへ~♪」

「……」

 いつもならママドラが俺に絡んでくる所だが、何故か妙におとなしい。

「さぁ、進軍なのじゃっ!」

 先程のラム一人でもなんとかなってしまうんじゃないかとすら思う。

 しかしここは何処なんだ?
 これだけの数の魔物が居る城というのも違和感がある。

「いづっ……」

「ミナト? どうしたのじゃ?」

 城の中を奥へと進んでいると、突然激しい頭痛が襲った。

「……だ、大丈夫だ。気にしないでくれ」

 何だったんださっきの頭痛は。今までこんな事なかったじゃないか。
 力の使い過ぎ……? いや、この城に入ってから今まで以上に力を使ったような覚えはない。
 それどころか大神殿ですら俺は大した力は使っていない。

 だとしたら……?

 おい、ママドラ。何か分からないか? さっきめちゃくちゃ痛かったんだけど……。

 ……ママドラ?

 嫌な予感がする。
 ママドラが反応しない。

 それどころか……これはまずいぞ。なんで気付かなかった?

 誰かの記憶を引き出そうとしても、何も出てこない。俺の中に俺以外何もないかのように。

 冗談だろ……?
 いつからだ? 大広間で魔物と戦った時か?
 それともヴェッセルと通ってきた時か?

 ……さっきの頭痛?
 何か特別な結界でも張られていた?

 だとしたら相手は俺の事を良く知っている奴の可能性が高い。
 完全に俺を狙い撃ちしたかのような対策だ。

 ……ギャルン、お前なのか?

「ラムちゃん、状況が変わった。ここはまずい、一度神殿に戻るぞ」

「な、なんじゃぁ? ここまで来てそれはなかろう」

「頼む。今は何もきかずに言う通りにしてくれ」

 ラムは怒ったような、がっかりしたような、悩むような複雑な表情をした後、「……分かったのじゃ」と小さく呟いた。

「ごめんな」

 彼女の小さな手をとり、元来た道を急ぎ足で進む。

 ごんっ!

「いでっ!」
「痛いのじゃっ!」

 何か見えない壁に激突した。来る時はこんな物無かった。

「くそっ! 最悪だ!!」

「ど、どうしたんじゃ? 帰れなくなった、とかなのかのう?」

 ラムが不安がっている。俺が慌てちゃだめだ。

「ラムちゃんの魔法でこれなんとかならないか?」

「こんなものミナトならすぐじゃろう?」

「……すまんが今の俺は力を封じられてる」

 身体は既に人間ではない。普通の人間よりは体力もあるし力も強い。魔力だってある。
 だが、それだけだった。

 今の俺には、俺の持つ力以上の何かは無い。

 高レベル冒険者としての力だけでギャルンと戦うのは危険すぎる。

 竜化も試してみたがアレはママドラの魔力、そして俺の中に六竜が居るからこそできた芸当で、俺だけの力ではこの右腕はうんともすんとも言わなかった。

「そういう事じゃったか……罠、なのかのう?」
「多分な」

「……うむ、儂でもこの術式はよう分らんのじゃ。何か特別なものかもしれんのう」

 ラムでも突破する事は不可能、か……。

 俺は力を封じられ、退路も塞がれた。
 ホールを使って移動するには俺の魔力が足りなすぎる。

「ラム、転移はどうだ?」

 ラムは目を瞑り、小さく口を動かす。
 そして、眉間にしわを寄せた。

「……ダメじゃな。今この障壁の向こう側へ行こうとしたのじゃが術式をかき消されてしもうた」

 こりゃ本格的に進むしかなくなってきやがったぞ……。

 覚悟を決めろ。
 何度も自分に言い続けて来た事だ。
 そう、やるべき事もやりたい事も変わらない。
 ただ、難易度が跳ね上がっただけ。

 明らかに俺を誘っている。
 この罠に乗っかるしかない。

「ラムちゃん、悪い……俺に命を預けてくれ」

「無論じゃ。儂は最初からそのつもりじゃったよ」

 そう言って彼女は八重歯を見せてにっこりと笑った。

 彼女の方がよほど、俺なんかよりもよほど覚悟が完了していた。

 まったく情けない。


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

転生したら『塔』の主になった。ポイントでガチャ回してフロア増やしたら、いつの間にか世界最強のダンジョンになってた

季未
ファンタジー
【書き溜めがなくなるまで高頻度更新!♡٩( 'ω' )و】 気がつくとダンジョンコア(石)になっていた。 手持ちの資源はわずか。迫りくる野生の魔物やコアを狙う冒険者たち。 頼れるのは怪しげな「魔物ガチャ」だけ!? 傷ついた少女・リナを保護したことをきっかけにダンジョンは急速に進化を始める。 罠を張り巡らせた塔を建築し、資源を集め、強力な魔物をガチャで召喚! 人間と魔族、どこの勢力にも属さない独立した「最強のダンジョン」が今、産声を上げる!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!

たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。 新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。 ※※※※※ 1億年の試練。 そして、神をもしのぐ力。 それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。 すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。 だが、もはや生きることに飽きていた。 『違う選択肢もあるぞ?』 創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、 その“策略”にまんまと引っかかる。 ――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。 確かに神は嘘をついていない。 けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!! そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、 神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。 記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。 それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。 だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。 くどいようだが、俺の望みはスローライフ。 ……のはずだったのに。 呪いのような“女難の相”が炸裂し、 気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。 どうしてこうなった!?

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

処理中です...