★完結!★【転生はもう結構です!】崖から落とされ死んだ俺は生き返って復讐を誓うけど困ってるドラゴン助けたら女になって娘が出来ました。

monaka

文字の大きさ
上 下
233 / 476

第227話:犯罪者の常套句。

しおりを挟む

「……ねぇミナト。何か言う事ある?」

 そんなレナの声に起こされた。

 寝ずにラムと話をしていた筈なのだが、うっかり居眠りをしてしまったらしい。
 出発の予定時刻はそこまでオーバーしていないようなので許容範囲だろう。

 それよりも今は問題が起きている。

「や、やぁおはようレナ」

「他に何か言う事あるんじゃないかな?」

 レナのジト目が怖い。

「むにゃ……みなとぉ……」

 ちょっとラムちゃん、今誤解を招くような寝言言うのやめて頂けませんか。

「……随分仲良くなったんだね」

「いや、ちが、これはだな……」

「うへへ……あったかいのじゃ……」

「へぇ、この状況って誰がどう見ても問題あると思うんだけどなぁ。帰ったらみんなに報告しなきゃね」

「待て、落ち着け……!」

 今俺は壁にもたれかかり、ラムを後ろから抱えているような姿勢である。
 二人で話していた時に少し肌寒くなってきたというのでぎゅっとしてやったらラムが思いのほか喜んだのでそのまま会話してたらいつの間にか眠ってしまったのだ。

 俺だってさすがにいろいろ問題あるかと思ったけど、ラムも親の愛にでも餓えてるのかと思ってほら、だから、そういう事だよ!

『その言い訳が通じると思うのなら私にじゃなくてレナに言いなさいよ』
 通じる訳ないじゃんよ!

『あら、それは分かってるのね』

「う……ん、うぬ? レナではないか。こんな夜更けにどうしたのじゃ?」

「どうしたのじゃ? じゃないよ。なんで二人で良い雰囲気になってるのか聞きたいんだけど。というか自分の年齢考えてよね? いくらミナトがロリコンだからってその若さを利用して迫るのは違くない?」

 なんで俺はレナにまでロリコン認定されてるんだ!?
『真実を見抜く力があるのね』

「な、なんじゃあ? ミナト、儂レナの言ってる事がよく分からんのじゃが」

 わからんでいいよ!

「すっとぼけて……ラム、貴女は今私と、拠点にいる何人もの女に宣戦布告をしたも同然だからね。それは覚えておいて」

「ミナト、こやつ怖いのじゃ……」

 ラムが俺の身体にひっついてくる。
 だからこの状況で誤解を招くような事はやめて頂けませんかお嬢様!

「良い度胸してんじゃないの……!」

「待てレナ! ほら、ラムもまだお子様なんだからさ、そんな目くじら立てるような事じゃ……」

「誰がお子様じゃーっ!」

 えっ、そっちからも怒られるの!?

「ミナト、私はラムがお子様だからこそ危険を感じてるんだけど」

「待て、待ってくれ! いろいろ誤解が錯綜している! 弁護士を呼べ!」

『はいはーい♪ ミナト君はろりこん! 死刑っ!』
 誰が裁判官呼べって言ったよ!

『君の世界の難しい話はよく分からないなぁ?』
 だったら嬉々として割り込んでくるのやめてくれない!?



 ……まったく。
 余計な事に時間を割いてしまった。
 結局あの後騒いでいたせいでイリスが起きてきて、寝ぼけながら俺に抱き着いてきたせいでレナまで「ずるい!」とか言ってひっついてきて身動き取れなくなってしまった。

 最終的にはレナが諦めたような声で、
「ほんとうにミナトは……もういいからちゃんと無事で帰ってきてよ……?」
 としんみりした事を言った事でこのドタバタは一件落着となった。

『多分一件落着ではないわよね』
 うっさい。

 レナと、寝ぼけたイリスに見送られて俺とラムの二人はランガム大神殿を目指す。

「そういえば場所は分かっているのか?」

「無論調査済みじゃ。転移で向かうかのう?」

 それもアリっちゃアリだが……。
 とりあえず俺はラムをお姫様抱っこした。

「な、なんじゃなんじゃっ!?」

「ラムちゃんは魔力温存しといた方がいいだろう。案内してくれ、走る」

「案内はするが……走ると言っても距離が……って、うわわわーっ!」

 話している時間がもったいないのでとにかくスキル全開で走り出す。
 ラムは怖かったのか涙目になりながら俺の身体にしがみ付いてきた。

『なるほどこれが目的だったのね……なかなかの策士!』
 だまらっしゃい!

「ラム、方角は?」

「と、ととととりあえずききき北へ向かうのじゃぁぁぁぁぁぁぁ」

 悲鳴をあげながらもちゃんと方角を教えてくれるあたりよく出来た子である。

「じゃあもっとスピード上げるから、怖かったら言えよ?」

「ほぇっ!? もっと早くなるのじゃ!? ちなみに怖かったらスピード落としてくれるのかのう……?」

「それはそれ、これはこれ」

「ミナトの嘘つきぃぃぃぃっ!!」

 別に嘘はついてないだろ……。

 ラムはぼろぼろと涙を流しながらも方向がズレてくると指で「あっち……」と示してくれる。

 やはりよく出来た子である。
 潤んだ目でこちらに何か訴えかけようとしてくるがぐっと我慢してるところもいじらしい。

『君が幼女を虐めて愉しむ趣味があったなんて新たな発見でドン引きよ』
 ちょっとだけそれは否定しにくい部分があるなぁ。

 実際今かなり楽しんでいる自分がいる。
 かわいそうだからこの辺にしておいた方がいいだろうけれど、ついやっちゃうんだよなぁ。

 無駄に急上昇したり急降下したり急旋回したりしながら目的地のランガム大神殿が視界に入るくらいまで到達。

「うっ、えぐっ……」

「ごめんなラムちゃん、やっぱり怖かったか?」

「こ、こわくなんか、ないもん」

 うへぇ……小さい頃のイリスとはまた違った可愛さの塊だなこの子は。

『……ちょっとだけだけど君に力を与えた事を後悔しちゃったわ』

 いやいや、こんな気持ちにさせる方が悪いんだって。

『……それ犯罪者の常套句よね?』


しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

『俺だけが知っている「隠しクラス」で無双した結果、女神に愛され続けた!』

ソコニ
ファンタジー
勇者パーティから「役立たず」として追放された冒険者レオン・グレイ。彼のクラスは「一般職」――この世界で最も弱く、平凡なクラスだった。 絶望の淵で彼が出会ったのは、青い髪を持つ美しき女神アステリア。彼女は驚くべき事実を告げる。 かつて「役立たず」と蔑まれた青年が、隠されたクラスの力で世界を救う英雄へと成長する物語。そして彼を導く女神の心には、ある特別な感情が芽生え始めていた……。 爽快バトル、秘められた世界の真実、そして禁断の恋。すべてが詰まった本格ファンタジー小説、ここに開幕!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜

霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!! 「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」 回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。 フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。 しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを…… 途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。 フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。 フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった…… これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である! (160話で完結予定) 元タイトル 「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

異世界で魔道具チートでのんびり商売生活

シマセイ
ファンタジー
大学生・誠也は工事現場の穴に落ちて異世界へ。 物体に魔力を付与できるチートスキルを見つけ、 能力を隠しつつ魔道具を作って商業ギルドで商売開始。 のんびりスローライフを目指す毎日が幕を開ける!

30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。

ひさまま
ファンタジー
 前世で搾取されまくりだった私。  魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。  とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。  これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。  取り敢えず、明日は退職届けを出そう。  目指せ、快適異世界生活。  ぽちぽち更新します。  作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。  脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...