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第179話:ひとでなし。
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はぁ……映像の配信はもう切れているとシルヴァが笑いながら言うのでやっと一息付けたのだが……。
「ねぇねぇミナト様、その……どう、ですか?」
「ど、どうって……何が」
「もう、いじわるしないで下さいまし……わたくしの本当の姿……ずっとミナト様に見てもらいたかったんですの。どう、です?」
ポコナが俺の腕に絡みついてそれなりのサイズのアレを押し付けてくるのが結構辛い。
『身体が女の子で良かったわね♪』
ほんとだよちくしょう。男のままだったら完全に軽蔑案件だぞこれは……!
『うわ、引くわ……』
お前が話振って来たんだろうが!
「あまりお好みでは……なかったでしょうか?」
「い、いや……そんな事はない。というかめちゃくちゃ可愛いと思う」
「ほんとですの!? ではこのまま挙式を……!」
こらこら! この世界じゃ王族の結婚ってそんなに若いうちからする物なのか? こいつどう見てもまだ十二~三歳なんだが……。
「ふむ……性別はともかく相手が英傑王ともなれば儂は一向にかまわんぞ」
王よ、出来ればこの猪突猛進娘の背中を押すのはやめてくれ……。
「だーかーらー、ミナトは渡さないゾ♪」
「お前絶対ふざけてるよね!?」
「そんな事ないんだゾ♪」
その喋り方と質の悪い笑顔は間違いなく俺とポコナをからかって遊んでるだけだ。
「おっと、ミナト、すまない」
シルヴァがボソリとそんな事を言った。笑いながら。
「お、おい……今のすまないはどういう意味だ……?」
嫌な予感がビンビンなんだけれど……。
「はっはっは。うっかり映像を切るのを忘れていてね。今の君達のやり取りも全て国中に中継されてしまったよ。失敬失敬」
「てんめぇ……絶対わざとだろうが!」
「わたくしは構いませんわ」
「別に私も気にしないよ?」
「俺が! 気に! するの!」
国中にこんな映像流されたら俺がただの女ったらしにしか見えないじゃないか! どうしてくれるんだシルヴァの野郎!
「はっはっは……しかし気にする事はない。君達の姿を見ている国民の反応は上々だ」
「……なんで?」
「美しい女性たちが戯れている姿を見て嫌悪感を持つ人のなんと少ない事か。どちらかというと皆温かい目で見守っているよ」
それはそれでどうなんだリリア帝国民よ……。
しかしこれで俺の持論はこの世界にも通用する事が判明したな。
『そんなに百合がいいのかしらねぇ?』
いい物なの! 譲れないからね!
『う、うん……そう、だから実戦していくスタイルなのね?』
それは違うんだって……。
「で、だミナト。そして聞け国民。今帝都に魔物の大群が迫っている」
「なんだと……? そういう事分かってんならもっと早く言えよ馬鹿野郎!」
なんでこいつはそんな状況でヘラヘラ笑ってられるんだ?
……まさか最初から分かっていてポコナの演説を急がせたのか?
「しかしながらこの帝都に今このタイミングで襲撃に来るとは愚かとしか言いようがない。何故なら……今ここには特別参加から決勝に上り詰めたティリスティア、そして同じく英傑王になったミナトがいる。そして……この帝都には勇敢な人間、そして獣人が沢山居る。負ける要素は正直ゼロと言っていいだろう」
……俺はやっと気付いた。
ポコナの演説を急がせた理由は、襲い来る魔物を人間と獣人が協力して倒すというお膳立ての為だったのだ。
「シルヴァ……お前って奴は……」
「ふふ、完璧だろう? ではミナト、ティア。二人とも頑張ってくれたまえ。二人の活躍は帝都の士気向上に役立つからね」
勝手な事ばかり言いやがって……。
「大変な状態ではあるが人間と獣人が手を取り合うきっかけとしては申し分ないだろう? 皆自分を、そして大切な人を守るのだ。この帝都を、国を守るのだ。その為には国民同士で争っている場合ではないぞ。魔物はおそらくあと数分で帝都へ到着するだろう。迎撃の準備を!」
きっとシルヴァは俺達が戦う様もそのまま中継で国中に垂れ流すつもりだろう。
正直言って俺はそこまで目立つ事はしたくなかったのだが、それがこの国にとって必要な事だというのなら甘んじて受け入れよう。
「ティア、行くぞ」
「おっけー♪」
二人でその場を後にしようとした時、ふいに服を引っ張られる。
「ミナト様……その、あの、えっと……」
ポコナが何か言いたそうにこちらを見上げていた。
「どうした? ポコナはここで俺達の活躍を見ててくれりゃいい。万が一があってもシルヴァが居れば安心だ」
「うむ、その際は任せてくれたまえ。しかしそんな事にならないようにするのがミナトの仕事というものだよ」
シルヴァは口元だけで微笑みながらそう言った。本当にどこまでが本心なのか全く分からない奴だ。
「あの……その、わたくし、ミナト様には本当に感謝しておりますわ。ただ、気持ちを言葉にしようとすると、その……上手く纏まらなくて……だから、その、ごめんなさい」
なんで謝ってんだこいつ。
そう思ったが、俺はすぐにその謝罪の理由を理解した。
「……ご、ごめんなさい。ではお気をつけてっ!」
ポコナはそう言うと顔を真っ赤にして俺から離れ、王の背中に隠れてしまう。
あまりに突然すぎてかわせなかった。
いや、何をされるかはすぐに分かった。でもかわさなかった。この状況でかわすのは失礼なのではと冷静に考えてしまった。
それが正しかったのかどうかは分からない。
ただ、避けられるはずだったのに避けたらダメだとか考えてるうちに……。
『なに必死にいいわけしてるのよ?』
唇に残った柔らかい感触にどういった感情を持っていいのか分からなかった。
『これだから君ってやつはめんどくさいのよね……』
いや、誰だって困惑するだろこんなの。相手は姫様だぞ?
『そんなの関係ないのよ。姫でもぽんぽこでもポコナでもいいけど、あの子はただの恋する少女でしょ?』
だからと言ってなぁ……。
『そうやってあれこれ悩みだすとか重い。あの子だってそんな思いさせるためにしたんじゃないわ』
じゃあどう思えって言うんだよ。
『ロリ美少女とキスしちゃったぜやったーっ!』
……えっ、それ人としてダメなやつじゃん。
『もう人間じゃないでしょ?』
……なるほどね。確かにそれもそうだ。
『やーいひとでなしー♪』
間違ってないのがなんとも辛い所である。
―――――――――――――――――――――――――――――
相変わらずミナト君はストレートな好意をまともに受け止められないのでした。
それもこれも誰かさんのせいで女性にトラウマがあるからかもしれませんね。
その誰かさんの愛情は誰よりも直接的で強い想いでしたから。
「ねぇねぇミナト様、その……どう、ですか?」
「ど、どうって……何が」
「もう、いじわるしないで下さいまし……わたくしの本当の姿……ずっとミナト様に見てもらいたかったんですの。どう、です?」
ポコナが俺の腕に絡みついてそれなりのサイズのアレを押し付けてくるのが結構辛い。
『身体が女の子で良かったわね♪』
ほんとだよちくしょう。男のままだったら完全に軽蔑案件だぞこれは……!
『うわ、引くわ……』
お前が話振って来たんだろうが!
「あまりお好みでは……なかったでしょうか?」
「い、いや……そんな事はない。というかめちゃくちゃ可愛いと思う」
「ほんとですの!? ではこのまま挙式を……!」
こらこら! この世界じゃ王族の結婚ってそんなに若いうちからする物なのか? こいつどう見てもまだ十二~三歳なんだが……。
「ふむ……性別はともかく相手が英傑王ともなれば儂は一向にかまわんぞ」
王よ、出来ればこの猪突猛進娘の背中を押すのはやめてくれ……。
「だーかーらー、ミナトは渡さないゾ♪」
「お前絶対ふざけてるよね!?」
「そんな事ないんだゾ♪」
その喋り方と質の悪い笑顔は間違いなく俺とポコナをからかって遊んでるだけだ。
「おっと、ミナト、すまない」
シルヴァがボソリとそんな事を言った。笑いながら。
「お、おい……今のすまないはどういう意味だ……?」
嫌な予感がビンビンなんだけれど……。
「はっはっは。うっかり映像を切るのを忘れていてね。今の君達のやり取りも全て国中に中継されてしまったよ。失敬失敬」
「てんめぇ……絶対わざとだろうが!」
「わたくしは構いませんわ」
「別に私も気にしないよ?」
「俺が! 気に! するの!」
国中にこんな映像流されたら俺がただの女ったらしにしか見えないじゃないか! どうしてくれるんだシルヴァの野郎!
「はっはっは……しかし気にする事はない。君達の姿を見ている国民の反応は上々だ」
「……なんで?」
「美しい女性たちが戯れている姿を見て嫌悪感を持つ人のなんと少ない事か。どちらかというと皆温かい目で見守っているよ」
それはそれでどうなんだリリア帝国民よ……。
しかしこれで俺の持論はこの世界にも通用する事が判明したな。
『そんなに百合がいいのかしらねぇ?』
いい物なの! 譲れないからね!
『う、うん……そう、だから実戦していくスタイルなのね?』
それは違うんだって……。
「で、だミナト。そして聞け国民。今帝都に魔物の大群が迫っている」
「なんだと……? そういう事分かってんならもっと早く言えよ馬鹿野郎!」
なんでこいつはそんな状況でヘラヘラ笑ってられるんだ?
……まさか最初から分かっていてポコナの演説を急がせたのか?
「しかしながらこの帝都に今このタイミングで襲撃に来るとは愚かとしか言いようがない。何故なら……今ここには特別参加から決勝に上り詰めたティリスティア、そして同じく英傑王になったミナトがいる。そして……この帝都には勇敢な人間、そして獣人が沢山居る。負ける要素は正直ゼロと言っていいだろう」
……俺はやっと気付いた。
ポコナの演説を急がせた理由は、襲い来る魔物を人間と獣人が協力して倒すというお膳立ての為だったのだ。
「シルヴァ……お前って奴は……」
「ふふ、完璧だろう? ではミナト、ティア。二人とも頑張ってくれたまえ。二人の活躍は帝都の士気向上に役立つからね」
勝手な事ばかり言いやがって……。
「大変な状態ではあるが人間と獣人が手を取り合うきっかけとしては申し分ないだろう? 皆自分を、そして大切な人を守るのだ。この帝都を、国を守るのだ。その為には国民同士で争っている場合ではないぞ。魔物はおそらくあと数分で帝都へ到着するだろう。迎撃の準備を!」
きっとシルヴァは俺達が戦う様もそのまま中継で国中に垂れ流すつもりだろう。
正直言って俺はそこまで目立つ事はしたくなかったのだが、それがこの国にとって必要な事だというのなら甘んじて受け入れよう。
「ティア、行くぞ」
「おっけー♪」
二人でその場を後にしようとした時、ふいに服を引っ張られる。
「ミナト様……その、あの、えっと……」
ポコナが何か言いたそうにこちらを見上げていた。
「どうした? ポコナはここで俺達の活躍を見ててくれりゃいい。万が一があってもシルヴァが居れば安心だ」
「うむ、その際は任せてくれたまえ。しかしそんな事にならないようにするのがミナトの仕事というものだよ」
シルヴァは口元だけで微笑みながらそう言った。本当にどこまでが本心なのか全く分からない奴だ。
「あの……その、わたくし、ミナト様には本当に感謝しておりますわ。ただ、気持ちを言葉にしようとすると、その……上手く纏まらなくて……だから、その、ごめんなさい」
なんで謝ってんだこいつ。
そう思ったが、俺はすぐにその謝罪の理由を理解した。
「……ご、ごめんなさい。ではお気をつけてっ!」
ポコナはそう言うと顔を真っ赤にして俺から離れ、王の背中に隠れてしまう。
あまりに突然すぎてかわせなかった。
いや、何をされるかはすぐに分かった。でもかわさなかった。この状況でかわすのは失礼なのではと冷静に考えてしまった。
それが正しかったのかどうかは分からない。
ただ、避けられるはずだったのに避けたらダメだとか考えてるうちに……。
『なに必死にいいわけしてるのよ?』
唇に残った柔らかい感触にどういった感情を持っていいのか分からなかった。
『これだから君ってやつはめんどくさいのよね……』
いや、誰だって困惑するだろこんなの。相手は姫様だぞ?
『そんなの関係ないのよ。姫でもぽんぽこでもポコナでもいいけど、あの子はただの恋する少女でしょ?』
だからと言ってなぁ……。
『そうやってあれこれ悩みだすとか重い。あの子だってそんな思いさせるためにしたんじゃないわ』
じゃあどう思えって言うんだよ。
『ロリ美少女とキスしちゃったぜやったーっ!』
……えっ、それ人としてダメなやつじゃん。
『もう人間じゃないでしょ?』
……なるほどね。確かにそれもそうだ。
『やーいひとでなしー♪』
間違ってないのがなんとも辛い所である。
―――――――――――――――――――――――――――――
相変わらずミナト君はストレートな好意をまともに受け止められないのでした。
それもこれも誰かさんのせいで女性にトラウマがあるからかもしれませんね。
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