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同じ高校の一年女子

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 いっけなーい。遅刻遅刻ー。私の名前は霹靂ヘキレキ モモ。今はピチピチの高校一年生。16歳。って冗談は置いといて、いま私は本当に遅刻ギリギリで教室へと着いた。
 今日は文化祭一般公開の日だ。私達のクラスは教室で女装カフェを開く。昨日の学内開催では面白がった人達が沢山来てくれたけど、今日は私達の知り合い以外で来てくれる人は少ないような気がする。ただ、近くの教室で開かれている占いの店にかなりの人数が押し寄せる予感がしているので、そのついでで客が増えるのではないかとも思っている。
 その占いの店だが、昨日公開されたPR動画がかなりバズっていて、私も行くつもりだ。そして、午前中に店番の予定はないので早速その教室へと向かったが、それでも30分近く待つことになった。占いの値段設定だが、1人10分以内で、1つの質問につき100円掛かる。10分経ったら強制退出されるらしいが、予め質問内容を考えておくように言われるので、そこまで時間は掛からないだろう。というか、案内の女子生徒、可愛すぎない?この人、一個上の先輩だよね?凄い格好の衣装着てるけど、少し恥ずかしがりながら対応するもんだから男子の目線がすごいことになってる。

 あ、私の順番が来た。凄い。とても本格的。宣伝用の看板から気合の入り方が違ったが、占いをする場所はもう本物の店みたいな雰囲気が出てる。文化祭レベルじゃない。

「よろしくお願いします」

「よろしくお願いします。では早速ですが、本当に知りたいことを質問してください」

 本当に知りたい事。そう、この占いは普通とは違って、本当に知りたいと思う事を質問してくれれば全て答えます、というキャッチコピー?的な感じでやっている。宝くじとか人のプライバシーに関わるようなグレーな質問は禁止されているが、倫理的に答えても大丈夫そうな質問なら全てに答えてくれるらしい。まあ、そんな事言われても信じない人が殆どだと思うけど、PR動画での出来事があるため、私もこうやって客として来た。

「はい」
「えーと、私の母親が再婚しようとしてるのですが、その相手と本当に結婚しても大丈夫なのか教えてください」

「なるほど。少し質問が抽象的ですので、結婚しても大丈夫というものの基準を教えてもらえませんか?」

「では、結婚したら母は幸せになれますか?」

「それは、貴女の母親が幸せだと感じるかどうかということでよろしいですか?それとも、貴女の基準で幸せになれるかどうかでしょうか?」

「あ、そうですよね。幸せって言っても人によって違いますから・・・」
「では、その相手が不倫をしたり何か母親を悲しませるような事はしますか?」

「します」

「え?」

「先程の質問にも答えると、不倫をしますがバレないので貴女の母親は基本的には幸せに生きていけると思います。ただ、知らなければ幸せなんて事を貴女は思っていないので、貴女の基準では幸せにはなれない」
「これが質問への答えになりますね」

「・・・そうなんですね」
「じゃあ、相手が不倫するって事を母親に分かってもらえる方法はありませんか?母親が再婚を諦めるようにする方法でも構いません」

 自分で言ってても無茶苦茶だということは分かる。それでもお母さんには幸せになってもらいたい。

「ありますよ」
「では、今から言う言葉をそのまま何処かにメモしてください。スマホのメモ機能とか使っていただければ」

「あ、はい!分かりました」

 そして、スマホでメモを書く準備をし、次の言葉を待った。伝えられた内容は、とても懐疑的になってしまうような話だったが、それでもその言葉をメモに残し、これを実行しようと決心した。

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