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テレフォンおしがま
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しんと静まり返ったひとりぼっちの部屋。ベッドの上、虚空を見つめながらそわそわしていたところに、デジタル時計のアラーム音が鳴り響く。21時59分にセットしたそれを止めると、急に心臓がばくばくと忙しなく音を立て始めた。
約束の夜10時。そろそろだ。俺はスマホをじっと見つめて身構える。
時計の表示が22:00に変わった、その数秒後。軽快な着信音と共にぱっとスマホの画面が光る。その画面に表示されているのは先輩——もとい恋人のLINE名だ。俺は光の速さで電話マークのボタンをタップし、スピーカーをつける。
「もしもし」
『もしもし、お疲れ』
「お疲れ様です!」
その声を聴いた途端、俺は思わず口元がだらしなく綻んだ。
久し振りの先輩の声だ。1週間以上振り、かな。自分でも分かるくらいあからさまにテンションが上がっていて、でも先輩もどこか嬉しそうな声色をしているから、こっちもつられて余計に嬉しくなってしまう。無意識に顔がニヤニヤしてしまって、今日はビデオ通話じゃなくて良かった、と心底思った。
「地方どうですか?」
『今のところ特に問題ないよ。予定通り明後日には帰れそう』
「マジすか!やった、嬉しい」
先輩が地方出張に行って早2週間。その前もお互いに忙しくてなかなか会えていなかったから、実際にはもっと長いこと顔を合わせていない。電話はちょくちょくしていたけれど、繁忙期が始まってしまえばそれも難しくなっていった。だから、こうやって話をすること自体が久し振りだった。そんなお預け期間も、明後日にはついに終わる。明後日は二人とも仕事が休みで、ようやく会う時間が作れそうなのだ。
『会いたいね、早く』
色っぽい声でそう言われ、どきり、と胸が高鳴る。
会いたい、俺も。
「うん」と小さく呟くと、へへ、と先輩が恥ずかしそうに笑ってくれた。
それから、最近あった出来事をお互いぼちぼち話し始めた。今やってる仕事のこと、仕事仲間のこと、昨日食べたもの、こないだ買った服、お互いの趣味の話……。何てことのない、他愛のない会話だ。でもこうやって、何てことのない会話をする時間がどんなに幸せか。慌ただしい毎日を過ごす中で荒んでいった心が、先輩と話すことで自然に、すぅっと潤いを取り戻す。
胸いっぱいに広がる多幸感。ずっと声を聴けていなかったから、その反動もあるのだろう。この時間は大切にしたい。俺は心の中で、手放してはいけないこの幸せをゆっくりと噛み締めた。
(っ、……!)
お腹の中にたっぷりとおしっこを溜めながら。
*
約束の時間がやって来るまでにたくさんの水分を摂取した。それも、なるべく利尿作用があるものを選んで。たまたまじゃない。出来るだけおしっこが溜まるように「自分で」そう仕向けたのだ。
理由はただ一つ、この通話中に限界まで尿意を我慢するため。
頭がおかしいと思われるだろうか。実際、自分でもそう思う。好きな人の声を聴きながら尿意を我慢するのが気持ち良いなんて、どう考えてもイカれてる。
元々俺はおしっこを我慢するのが好きだ。我慢すれば我慢するほど気持ちが良くて、漏れる一歩手前くらいの限界点に到達した時にいちばん快感を覚える。でも、それだけじゃもう満足出来なかった。もっと刺激が欲しい。願わくば、好きな人からの刺激が。好奇心なんて可愛らしいものじゃないけど、「欲求不満の解消」という目的は俺を突き動かすのには十分すぎる理由になった。
大丈夫。ギリギリまで攻めて、本当にヤバくなったら適当に通話を終わらせる。さじ加減は自分が一番よく分かっているから。
『で、結局そういうことになったんよ。ヤバくない?』
「えー、それはマジでないっす」
『ないよなぁ』
あぁ、おしっこしたい。
先輩の声が膀胱に響いて中を揺する。先輩の声は明るくて張りがあるのに、ちょっとハスキーなのがエロくて好きだ。スピーカーじゃなくて耳元で聴けばよかったかな、とか思ったりもしたけれど、多分これからそんな余裕なくなる。だって今でさえお腹の奥がきゅんきゅんと疼いて、ますますじっとしていられなくなってきているのだから。
あくまでも「普通」を装いながら尿意を我慢する——その背徳感こそが俺の求める刺激だ。
『そんでさぁ、アイツが……』
「っ!!」
(やば、急に……!)
きゅうう、と膀胱が縮こまって、その中をたっぷりと満たしているおしっこが暴れ狂う感覚。
俗に言う、尿意の波だ。
今までは軽く貧乏揺すりする程度だったのが一変、上半身を前後に大きく揺らして、ストレッチするみたいに身を斜めに捩る。思わず熱い息が漏れ出てしまうが、温度が電話の向こう側に伝わることはないから問題ない。
(トイレいきたい、といれ、おしっこ……っ!)
頭の中が一気に「おしっこ」で埋め尽くされる。深呼吸したいけどお腹に力を入れられないので、浅い鼻息を反復してしまう。ごめんなさい先輩、鼻息めっちゃうるさくて。
『……ねえ?』
「え、っ、はい!」
『どうした?大丈夫?』
「えっ!?いや、何でもないです、はい!」
『そう?なら良いけど』
いけない。会話が疎かになってしまった。会話に集中しないと。そう思うのに、ちんこの先がひくひく!と震えて、腰が砕けそうになるのが止まらない。
俺はそんなにトイレが近いわけでもなければ特別遠いわけでもなく、たぶん人並みくらいの膀胱容量なんだと思う。しかし一度強い尿意を感じたらそれが最後、そこからは長く我慢できないタイプだ。特に、大きい波を何回も低スパンで繰り返してしまう。つまりここからは、いかに尿意をいなしていくかの勝負だ。
だけど会話はちゃんとしないと。先輩と話せる貴重な時間を無駄にしたくないし、何より、バレたら終わる。
『それでさあ、その後ね……』
「はい、っ」
(おしっこしたい、おしっこ、おしっこ、うぅ……)
先輩がお喋り上手な人で本当に良かった。全然話が途切れない。逆を言えばトイレを切り出すタイミングも無さそうだけど。
通話を終わらせる時間を決めているわけではないが、明日もお互い仕事があるし、日付が変わる頃には切り上げる流れになるだろう。ちょうどいま10時半だから、あと1時間半くらいか。ワンチャン乗り切れるかもしれない。
一時は高まっていた尿意の波も、何とか落ち着きを取り戻した。頑張れ俺、限界まで。
(あーーーもう、おしっこしたいぃ……、でも我慢、我慢する……っ!)
「そ、っすね……はい」
(~~~~~っ!やばい、また波がっ!)
「っ、へえ……」
(むり、ちんこ押さえたい、あ、あっ、あ、ちんこ震えて、……っ!!もう我慢できない!)
「んっ♡ はは、ウケる、っ♡」
(やばい俺、先輩の声聞きながらちんこ揉んでる……♡)
「っ、ん、はぁ……っ♡ ね、そうですよね……っ♡」
(ああぁっ、やばい、無理だ……っ!ちんこ揉むの止まんないって♡ トイレしたい、トイレ、おしっこおしっこおしっこ)
『……』
胡座をかいて脚をバタつかせたり、正座になって根元をぐりぐり踵に押し付けたり。数秒だってじっとしていられない。最初は少し躊躇いがちにちんこを揉むくらいだった手も、今や股間にがっちり固定されている。もみもみ♡もみもみ♡と小刻みに摘み続けないと尿道口の疼きに耐えられず、スウェットの中心部分はすっかりシワだらけ。当然、もう会話の内容なんてこれっぽっちも頭に入ってこなかった。
またいつも通り「ねえ」と呼び掛けられ、曖昧な相槌を打った、次の瞬間だった。
『お前さぁ、なんか俺に隠してることない?』
「っ!?」
(え、……?)
何、急に。
一瞬、思考が停止して、あんなに切迫していた尿意が吹っ飛ぶ。
「な、なにがすか」
『いや、今日変な感じっつーか。なんか隠してない?』
……マズい。
絶っっっっっ対これ、怪しまれてる。
(いやいやいやいや、嘘だろ!?)
ヤバい、どうしよう。先輩は「何か」を勘づいている。その「何か」の核心には触れられていないものの。
一気に顔が青ざめた。
とにかくこの場を凌ぐべく、適当に「電波のせいじゃないすか?」とか「風邪ひいたんですかね」とか何とかペラペラ言ってみるも、こういう時の先輩の勘の鋭さと頑固さ……いや粘り強さを俺は舐めていた。「そういう感じじゃなくて」「うーん、ていうか……」と一歩も主張を譲らないと言ったような相槌しか返って来ず、だんだんこっちの誤魔化しが言い訳がましくなってきてしまう。先輩は全然逃がしてくれなくて、どうにかして俺が何を隠しているのか聞き出そうとしてくる。
『どうしたの、言ってみ』
諭すような優しい言い方。
これは、「絶対に言い聞かせてやる」という意志の表れだ。
ああもう、言い逃れ出来ない。
そしてそんな動揺する俺を狙ったかのように、身体がぶるりと震える。まずい、次の波が来てしまう。
(もういっそ電話切っちゃおうかな……)
……それは駄目だ。せっかく先輩が、恋人が貴重な時間を割いてくれたんだ。その想いを無下にするのは違う。
これは自分で蒔いた種だ。覚悟を決めろ、俺。
生唾をごくりと飲み込む。意を決した俺は、締まり切った喉を無理矢理こじ開けて声を絞り出した。
「トイレ、行きたくて……」
てん、てん、てん、まる。……まるで漫画みたいな沈黙。
そりゃそうだ。何言ってんだこいつ、ってなるよな。先輩がとぼけ声で「ん?」と言うので、俺は諦めたように「トイレに行きたいんです……!」ともう一度告げると、途端に顔がぶわぁぁっと真っ赤になった。改めて口にするとヤバい、恥ずかしすぎる!
なんて言われるだろう。トイレ行ってきなよとか、そんなに我慢してたの?とかかな。いや逆にそれ以外言うことないか。許可されないとトイレにも行けないなんて、小学生みたいな奴だって思われたかな。心臓がドッドッドッドッと激しく脈打つ。さっきおしっこをこっそり我慢していた時より何倍も激しい鼓動。うわ、は、吐きそう。
(なんだよ、なんか言えよ!)
たぶん先輩は何を言おうか考え込んでいたのだと思う。するとふと、何か閃いたように「もしかして」と呟いた。
『俺と電話する時間に合わせて我慢してた?』
「っ!!」
先輩の声色が変わる。……まるでセックスをする時のような甘い声。
それってつまり。
(ど、しよ……っ、頭くらくら、して……♡)
ドンピシャで答えを当てられた俺は、雷に打たれたような衝撃と図星で「あ、あ」と情けない声しか出なかった。そんな間抜けな様子に先輩がふふっと笑う。
『おしっこ我慢するの気持ち良い?』
「や、苦しい……です」
『嘘。気持ち良さそうな声してる。おかしいと思ったんだよねぇ、今日ずっと声可愛かったし、どんどんエロくなってくからさ』
「や、やだ、いわないで……っ♡」
『俺の声聞きながらおしっこ我慢して、気持ち良くなっちゃうんだ?』
「~~~~~っっ♡」
———ぞわぁ……♡
何これ、やばい。
(おしっこ、も、やばい……っ!!♡ このままじゃ漏れる!)
直接的な言葉をわざと投げかけられて、今にも決壊を許してしまいそうな膀胱が、今にも溢れそうなおしっこが、きゅん♡きゅん♡と大袈裟に反応して暴れ出す。身体の芯が震えて、排泄を促している。とうとう2回目の波が頂点に達したのだ。俺は咄嗟に背中を弓なりに反らし、尻を思い切り後ろへ突き出した。じっと身を固くし、息を詰まらせる。そんな俺を察したのか、先輩は少し意地悪そうな笑い声を吐いた。
『ね、どれくらいおしっこ溜まってるか教えて』
「いっぱい、です、っ♡ いっぱい、溜まってます」
『お水いっぱい飲んだから?』
「水も、だし……っコーヒーとか、っ♡ モンエナ、っ、とか、2杯ずつ」
『じゃあもうおしっこしたくて堪らないね』
相手に顔は見えていないのに、俺は首をこくこく上下に振った。
俺がボキャ貧であんまり上手く説明できないのを逆手に取って、先輩が全部聞き出してくれる。言語化することで改めて自分がどういう状況に立たされているかを実感し、ますますお腹の中で熱を帯びる液体の存在を意識させられる。そっか、俺の中には今、何百ミリリットルものおしっこが渦巻いていて、今でも次々と新しいものが生成されているんだ。
(もれる、~~~~っ♡♡ やだ、がまん、っ♡ もれる、だめっ♡)
先輩の誘導尋問によって紡がれた自分の言葉が、ますます尿意を高める。自分で自分の首を締めていて、バカみたいだ。でも先輩の声を聴き逃したくないから、ずっと聴いていたいから、反射で質問に答えてしまう。
『どんな格好で我慢してるの?』
格好。自分の姿を顧みる。
「教えて。どんな格好?」
「ベッドの上で胡坐かいてて……」
「それだけ?他には?」
「ま、前、手で押さえてます」
本当は押さえてるなんて生易しいもんじゃない。がっちり鷲掴みだ。しかも両手で。片方の手は先っぽを摘まむようにして細かく揉み、もう片方の手もちんこの中間あたりをぎゅっと握り込んでいる。
『そっかあ、ちんこ揉んでないともう漏れそうなんだ。大人なのにそんなところ揉んでるんだ?』
「うぅぅ……♡」
『布が擦れる音めっちゃ聞こえる。いっぱいもじもじしてんの』
ずっともじもじそわそわしてたのも、どうやら最初から先輩には筒抜けだったらしい。少しぼやかして伝えたけど、きっとそれもお見通しなのだろう。そう分かった途端、もう抑えが効かなかった。
胡座じゃ上手く我慢ができない。正座に体勢を切り替え、内股をぴったり閉じる。その間に両手をねじ込み、両膝は擦り合わせるように上下する。多分ノイズが電話口の向こうにも届いているはずだけど、そんなこと気にしていられなかった。
「し、してる……っ♡ だっ、て、動かないと、……っ」
『動かないと、何?』
「っ!」
(なんでそんなこと聞くの……♡)
なんでって、聞かなくても分かるじゃん。でも、ちゃんと言わなきゃ……♡
「も、もれそう、だから……」
聞こえるか聞こえない程度の音量で発した言葉に、ふふ、先輩の嬉しそうな笑い声が小さく聞こえる。先輩が満足そうで何よりだけど、一方の俺はこれまでにないほど顔が熱くて仕方なかった。そんな俺の心など知る由もなく、先輩は「じゃあさ」とウキウキな様子で話を切り出す。
『お水、手元にある?』
「はい、っ、ペットボトル、500の、あります」
これはさっき、おしっこを蓄える時に飲めなかった分だ。飲もうと思ったら尿意を感じて、やめたやつ。
『じゃあその水飲んで』
「……っ!」
(嘘、でしょ……!?)
もう体内に水分が入る隙間なんて一ミリもない。なのに、500ミリリットルなんて。そんなの絶対無理だ。飲んだ水が一瞬で尿になるとは思っていないけど、こんな状態で更に水分を摂取するという行為自体が尿意を加速させるに違いない。手にしたペットボトルの水面が揺れるのを見るだけで、背中からぞくぞくとしてしまう。
拒否したい。頭ではそう思っているのに、先輩に「できる?」と甘い声で尋ねられれば、「できます」と答えてしまうのが俺だ。
「ん、……♡」
ペットボトルに口をつける。喉から管を伝って、胃の中にじわぁと広がる冷たい感覚。身体に水が入ってきてる。そう思ったら、一気に全身がぶるりと震えた。直後、お腹の奥底で膀胱が縮こまって、中の液体が一斉に出口へ押し寄せる。
(あっ、あ、あ、~~~~~~~っ♡ もれる、漏れる漏れる漏れる漏れる、いやだ……ッ♡♡)
一人だったら確実にトイレに駆け込んでいる。それくらい、もう漏れる寸前だった。
でも、もう少しだけ。先輩に見られながらおしっこを我慢していたい。だから頑張らないと。
(我慢、だめ、まだ我慢……っ♡ あっ、あ、あぁっ、おしっこでる、だめっ♡)
———じゅっ、じゅうぅ……♡
ちんこの先が、かっと熱くなる。その直後、パンツがじわぁ♡と水気を帯びた。咄嗟に、握り潰す勢いで股間を強く揉みしだいて、これ以上の放出を何とか堰き止める。
「ん、んっ、~~~~っ♡♡」
『っはは、めっちゃ衣擦れの音するね。すっごいもじもじしてる?』
「だ、って、も、……っ!!」
『いいよ、いっぱい我慢してるもんね』
お願いするみたいに「続けて?」と言われれば、そうするしかない。まだペットボトルの中身は半分も減ってない。ちょっとずつ水が体内に入る度、既に大量のおしっこで占領されている膀胱がずくん♡ずくん♡とざわつく。腰を前後左右にくねくね揺らしていないと、おしっこの圧で尿道が開いてしまいそうだ。
その後たっぷり時間をかけて、何度も何度もじわぁ♡と下着に染みを作りながら500ミリリットルの水を全て飲み切った。
(さすがにもう無理……っ!)
何回もちびってしまったせいで、薄手のスウェットにも10円玉サイズの染みが浮かび上がってしまっている。次にこの尿道口から放出される時は、それはもう「ちびり」じゃなくなるな、というのは感覚でわかってた。
「せんぱい、……♡ もぉ限界……っ、もれる……♡」
『もう少し、ね』
「むり、限界だからぁ……っ♡ あ、あっ、また、でるっ♡」
———じゅうぅぅ……♡
(う゛うぅ……♡ もうげんかいっ、我慢できないって!)
まだ一応「ちびり」の範囲で収めることが出来た。でももう、ダム崩壊は時間の問題だ。涙声でこっちが訴えるもんだから、先輩は「そっかぁ」と納得の返事をしてくれた。
よかった、これでトイレに行ける!
結構頑張った方だよなあ。うう、早くおしっこだしたい……♡
……なんて、呑気に考え始めた時だった。
『そしたらさ。洗面所、いこっか』
「え、……?」
洗面所?なんだろう。
よく分からないけど、「……?はい」と返事をし、とりあえずスマホを持ってベットから降りる。
「う、~~~~~っ♡」
(立ったら、急に……!♡)
立ったことで、おしっこが急に下ってくる感覚。締まりの悪くなったちんこがきゅううん♡とわななき、身体をくの字に折り曲げ、脚をきつくクロスさせる。突き出た尻をゆら♡ゆら♡と揺するのを止められない。スマホを片手に持ってしまったことで、ちんこを両手で押さえることが出来なくなってしまった。空いた左手でもみくちゃに先端を刺激して、強い大波に耐える。
「はあ、はあぁ、はー……っ♡」
(やだ、もれる、おしっこもれる、もれる……!♡ あ、っ、あっ、もぉ我慢できない……っ!!)
もうここから一歩も歩けない。そう思ったけれど、先輩が言うから。俺は小股とすり足を駆使して洗面所を目指した。はぁはぁうるさく呼吸してるのも、耳元に当てたスマホを通じて全部聞こえてるんだろうな。
「き、来ました、っ」
『うん。じゃあ……』
瞬間。
顔は見えないのに、先輩が意地悪な笑みを浮かべたのがはっきりと感じられた。
『水道の水、流して?』
ひ、と喉が引き攣る。
「まって、そ、れは」
『いいから。ね?』
(そんなことしたら、俺……っ!)
絶対、漏らす。無理に決まってる。
流石に断らないと。そう思うのに、言葉が口から出て来ない。いや、そうじゃない。言うのを躊躇っているんだ。
(もらしたく、ない……けど)
……もし、もう少しだけ頑張ったら。もっと気持ち良くなれるのかな。限界だと思っていたところ、越えられるのかな。
先輩、いっぱい褒めてくれるかな。
「……っ」
股間からそっと手を離す。押さえを失った先端はすぐにむずむずし始め、耐え切れず交差させた脚を擦り合わせる。
そして震える手を水道のレバーに乗せ、上に押し上げる。
———ジャーーーーーーーッ!!!
「あ゛あぁ……っ!!」
(あ、っあ、ああぁっ、だめ、おしっこ、おしっこ、もれるもれるもれる!!!!)
———じょおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!
身体の中心から、思い切り噴き出る。
「や、やだ、やだぁ……っ!♡」
すぐに手を股間に戻してぎゅうぎゅう押さえつける。しかし一度大崩壊を起こしたそこに、効果はひとつもなかった。手の平に熱い液体が勢いよくぶつかり、滝のように落ちていく。
———じょおおおおおぉぉぉぉぉぉ、じょろろろろろろっ!!!!!!
「あああ……っ、あ゛ぁぁ、っ~~~~~~~~♡♡」
(とまんな、やだ、がまんしないと、がまん、うううぅ……っ♡)
———じょおおおぉぉおぉおおおおおお…………!!!
我慢しないと。この期に及んでまだ諦めきれていない俺は、もっと高速でちんこを揉んで、めちゃくちゃに腰を振った。でも、全然おしっこは止まってくれない。スウェットには何本も水の筋が描かれている。
最悪だ、俺。
トイレまで間に合わなかった。おもらししてる。最悪すぎる。
なのに。
(おしっこきもちい……♡)
腰が砕けて、へろへろと床に座り込んでしまう。自分がおもらしした液体の海にぺしゃりと尻をつくと、スウェットが全部おしっこまみれになってしまった。
それでもなお、水溜まりは広がり続ける。水道からジャージャー流れる音が、おしっこを止めることを許してくれなかった。それでも俺は悪足掻きで、ちんこの先っぽを絶え間なくもみもみ♡する。
「あ、っ♡ あぁ……っ♡ っ、はあぁ、ああぁ……っ♡」
ぴく、ぴく、と腰が跳ねる。おもらしの勢いは最初より落ち着いたとはいえ、まだまだ放尿が終わる気配はなかった。
『おもらししちゃった……?ほんっと、お前かわいいなぁ……♡』
さっきから電話の向こうで先輩が何か言ってる気がする。けど、全っ然聞き取れなかった。まあいいか、また後で聞けば。
俺はじょろじょろおしっこを垂れ流しながら、ぼうっとする頭の中でこう思った。
(今度からはワイヤレスイヤホン使おう……♡)
おわり
約束の夜10時。そろそろだ。俺はスマホをじっと見つめて身構える。
時計の表示が22:00に変わった、その数秒後。軽快な着信音と共にぱっとスマホの画面が光る。その画面に表示されているのは先輩——もとい恋人のLINE名だ。俺は光の速さで電話マークのボタンをタップし、スピーカーをつける。
「もしもし」
『もしもし、お疲れ』
「お疲れ様です!」
その声を聴いた途端、俺は思わず口元がだらしなく綻んだ。
久し振りの先輩の声だ。1週間以上振り、かな。自分でも分かるくらいあからさまにテンションが上がっていて、でも先輩もどこか嬉しそうな声色をしているから、こっちもつられて余計に嬉しくなってしまう。無意識に顔がニヤニヤしてしまって、今日はビデオ通話じゃなくて良かった、と心底思った。
「地方どうですか?」
『今のところ特に問題ないよ。予定通り明後日には帰れそう』
「マジすか!やった、嬉しい」
先輩が地方出張に行って早2週間。その前もお互いに忙しくてなかなか会えていなかったから、実際にはもっと長いこと顔を合わせていない。電話はちょくちょくしていたけれど、繁忙期が始まってしまえばそれも難しくなっていった。だから、こうやって話をすること自体が久し振りだった。そんなお預け期間も、明後日にはついに終わる。明後日は二人とも仕事が休みで、ようやく会う時間が作れそうなのだ。
『会いたいね、早く』
色っぽい声でそう言われ、どきり、と胸が高鳴る。
会いたい、俺も。
「うん」と小さく呟くと、へへ、と先輩が恥ずかしそうに笑ってくれた。
それから、最近あった出来事をお互いぼちぼち話し始めた。今やってる仕事のこと、仕事仲間のこと、昨日食べたもの、こないだ買った服、お互いの趣味の話……。何てことのない、他愛のない会話だ。でもこうやって、何てことのない会話をする時間がどんなに幸せか。慌ただしい毎日を過ごす中で荒んでいった心が、先輩と話すことで自然に、すぅっと潤いを取り戻す。
胸いっぱいに広がる多幸感。ずっと声を聴けていなかったから、その反動もあるのだろう。この時間は大切にしたい。俺は心の中で、手放してはいけないこの幸せをゆっくりと噛み締めた。
(っ、……!)
お腹の中にたっぷりとおしっこを溜めながら。
*
約束の時間がやって来るまでにたくさんの水分を摂取した。それも、なるべく利尿作用があるものを選んで。たまたまじゃない。出来るだけおしっこが溜まるように「自分で」そう仕向けたのだ。
理由はただ一つ、この通話中に限界まで尿意を我慢するため。
頭がおかしいと思われるだろうか。実際、自分でもそう思う。好きな人の声を聴きながら尿意を我慢するのが気持ち良いなんて、どう考えてもイカれてる。
元々俺はおしっこを我慢するのが好きだ。我慢すれば我慢するほど気持ちが良くて、漏れる一歩手前くらいの限界点に到達した時にいちばん快感を覚える。でも、それだけじゃもう満足出来なかった。もっと刺激が欲しい。願わくば、好きな人からの刺激が。好奇心なんて可愛らしいものじゃないけど、「欲求不満の解消」という目的は俺を突き動かすのには十分すぎる理由になった。
大丈夫。ギリギリまで攻めて、本当にヤバくなったら適当に通話を終わらせる。さじ加減は自分が一番よく分かっているから。
『で、結局そういうことになったんよ。ヤバくない?』
「えー、それはマジでないっす」
『ないよなぁ』
あぁ、おしっこしたい。
先輩の声が膀胱に響いて中を揺する。先輩の声は明るくて張りがあるのに、ちょっとハスキーなのがエロくて好きだ。スピーカーじゃなくて耳元で聴けばよかったかな、とか思ったりもしたけれど、多分これからそんな余裕なくなる。だって今でさえお腹の奥がきゅんきゅんと疼いて、ますますじっとしていられなくなってきているのだから。
あくまでも「普通」を装いながら尿意を我慢する——その背徳感こそが俺の求める刺激だ。
『そんでさぁ、アイツが……』
「っ!!」
(やば、急に……!)
きゅうう、と膀胱が縮こまって、その中をたっぷりと満たしているおしっこが暴れ狂う感覚。
俗に言う、尿意の波だ。
今までは軽く貧乏揺すりする程度だったのが一変、上半身を前後に大きく揺らして、ストレッチするみたいに身を斜めに捩る。思わず熱い息が漏れ出てしまうが、温度が電話の向こう側に伝わることはないから問題ない。
(トイレいきたい、といれ、おしっこ……っ!)
頭の中が一気に「おしっこ」で埋め尽くされる。深呼吸したいけどお腹に力を入れられないので、浅い鼻息を反復してしまう。ごめんなさい先輩、鼻息めっちゃうるさくて。
『……ねえ?』
「え、っ、はい!」
『どうした?大丈夫?』
「えっ!?いや、何でもないです、はい!」
『そう?なら良いけど』
いけない。会話が疎かになってしまった。会話に集中しないと。そう思うのに、ちんこの先がひくひく!と震えて、腰が砕けそうになるのが止まらない。
俺はそんなにトイレが近いわけでもなければ特別遠いわけでもなく、たぶん人並みくらいの膀胱容量なんだと思う。しかし一度強い尿意を感じたらそれが最後、そこからは長く我慢できないタイプだ。特に、大きい波を何回も低スパンで繰り返してしまう。つまりここからは、いかに尿意をいなしていくかの勝負だ。
だけど会話はちゃんとしないと。先輩と話せる貴重な時間を無駄にしたくないし、何より、バレたら終わる。
『それでさあ、その後ね……』
「はい、っ」
(おしっこしたい、おしっこ、おしっこ、うぅ……)
先輩がお喋り上手な人で本当に良かった。全然話が途切れない。逆を言えばトイレを切り出すタイミングも無さそうだけど。
通話を終わらせる時間を決めているわけではないが、明日もお互い仕事があるし、日付が変わる頃には切り上げる流れになるだろう。ちょうどいま10時半だから、あと1時間半くらいか。ワンチャン乗り切れるかもしれない。
一時は高まっていた尿意の波も、何とか落ち着きを取り戻した。頑張れ俺、限界まで。
(あーーーもう、おしっこしたいぃ……、でも我慢、我慢する……っ!)
「そ、っすね……はい」
(~~~~~っ!やばい、また波がっ!)
「っ、へえ……」
(むり、ちんこ押さえたい、あ、あっ、あ、ちんこ震えて、……っ!!もう我慢できない!)
「んっ♡ はは、ウケる、っ♡」
(やばい俺、先輩の声聞きながらちんこ揉んでる……♡)
「っ、ん、はぁ……っ♡ ね、そうですよね……っ♡」
(ああぁっ、やばい、無理だ……っ!ちんこ揉むの止まんないって♡ トイレしたい、トイレ、おしっこおしっこおしっこ)
『……』
胡座をかいて脚をバタつかせたり、正座になって根元をぐりぐり踵に押し付けたり。数秒だってじっとしていられない。最初は少し躊躇いがちにちんこを揉むくらいだった手も、今や股間にがっちり固定されている。もみもみ♡もみもみ♡と小刻みに摘み続けないと尿道口の疼きに耐えられず、スウェットの中心部分はすっかりシワだらけ。当然、もう会話の内容なんてこれっぽっちも頭に入ってこなかった。
またいつも通り「ねえ」と呼び掛けられ、曖昧な相槌を打った、次の瞬間だった。
『お前さぁ、なんか俺に隠してることない?』
「っ!?」
(え、……?)
何、急に。
一瞬、思考が停止して、あんなに切迫していた尿意が吹っ飛ぶ。
「な、なにがすか」
『いや、今日変な感じっつーか。なんか隠してない?』
……マズい。
絶っっっっっ対これ、怪しまれてる。
(いやいやいやいや、嘘だろ!?)
ヤバい、どうしよう。先輩は「何か」を勘づいている。その「何か」の核心には触れられていないものの。
一気に顔が青ざめた。
とにかくこの場を凌ぐべく、適当に「電波のせいじゃないすか?」とか「風邪ひいたんですかね」とか何とかペラペラ言ってみるも、こういう時の先輩の勘の鋭さと頑固さ……いや粘り強さを俺は舐めていた。「そういう感じじゃなくて」「うーん、ていうか……」と一歩も主張を譲らないと言ったような相槌しか返って来ず、だんだんこっちの誤魔化しが言い訳がましくなってきてしまう。先輩は全然逃がしてくれなくて、どうにかして俺が何を隠しているのか聞き出そうとしてくる。
『どうしたの、言ってみ』
諭すような優しい言い方。
これは、「絶対に言い聞かせてやる」という意志の表れだ。
ああもう、言い逃れ出来ない。
そしてそんな動揺する俺を狙ったかのように、身体がぶるりと震える。まずい、次の波が来てしまう。
(もういっそ電話切っちゃおうかな……)
……それは駄目だ。せっかく先輩が、恋人が貴重な時間を割いてくれたんだ。その想いを無下にするのは違う。
これは自分で蒔いた種だ。覚悟を決めろ、俺。
生唾をごくりと飲み込む。意を決した俺は、締まり切った喉を無理矢理こじ開けて声を絞り出した。
「トイレ、行きたくて……」
てん、てん、てん、まる。……まるで漫画みたいな沈黙。
そりゃそうだ。何言ってんだこいつ、ってなるよな。先輩がとぼけ声で「ん?」と言うので、俺は諦めたように「トイレに行きたいんです……!」ともう一度告げると、途端に顔がぶわぁぁっと真っ赤になった。改めて口にするとヤバい、恥ずかしすぎる!
なんて言われるだろう。トイレ行ってきなよとか、そんなに我慢してたの?とかかな。いや逆にそれ以外言うことないか。許可されないとトイレにも行けないなんて、小学生みたいな奴だって思われたかな。心臓がドッドッドッドッと激しく脈打つ。さっきおしっこをこっそり我慢していた時より何倍も激しい鼓動。うわ、は、吐きそう。
(なんだよ、なんか言えよ!)
たぶん先輩は何を言おうか考え込んでいたのだと思う。するとふと、何か閃いたように「もしかして」と呟いた。
『俺と電話する時間に合わせて我慢してた?』
「っ!!」
先輩の声色が変わる。……まるでセックスをする時のような甘い声。
それってつまり。
(ど、しよ……っ、頭くらくら、して……♡)
ドンピシャで答えを当てられた俺は、雷に打たれたような衝撃と図星で「あ、あ」と情けない声しか出なかった。そんな間抜けな様子に先輩がふふっと笑う。
『おしっこ我慢するの気持ち良い?』
「や、苦しい……です」
『嘘。気持ち良さそうな声してる。おかしいと思ったんだよねぇ、今日ずっと声可愛かったし、どんどんエロくなってくからさ』
「や、やだ、いわないで……っ♡」
『俺の声聞きながらおしっこ我慢して、気持ち良くなっちゃうんだ?』
「~~~~~っっ♡」
———ぞわぁ……♡
何これ、やばい。
(おしっこ、も、やばい……っ!!♡ このままじゃ漏れる!)
直接的な言葉をわざと投げかけられて、今にも決壊を許してしまいそうな膀胱が、今にも溢れそうなおしっこが、きゅん♡きゅん♡と大袈裟に反応して暴れ出す。身体の芯が震えて、排泄を促している。とうとう2回目の波が頂点に達したのだ。俺は咄嗟に背中を弓なりに反らし、尻を思い切り後ろへ突き出した。じっと身を固くし、息を詰まらせる。そんな俺を察したのか、先輩は少し意地悪そうな笑い声を吐いた。
『ね、どれくらいおしっこ溜まってるか教えて』
「いっぱい、です、っ♡ いっぱい、溜まってます」
『お水いっぱい飲んだから?』
「水も、だし……っコーヒーとか、っ♡ モンエナ、っ、とか、2杯ずつ」
『じゃあもうおしっこしたくて堪らないね』
相手に顔は見えていないのに、俺は首をこくこく上下に振った。
俺がボキャ貧であんまり上手く説明できないのを逆手に取って、先輩が全部聞き出してくれる。言語化することで改めて自分がどういう状況に立たされているかを実感し、ますますお腹の中で熱を帯びる液体の存在を意識させられる。そっか、俺の中には今、何百ミリリットルものおしっこが渦巻いていて、今でも次々と新しいものが生成されているんだ。
(もれる、~~~~っ♡♡ やだ、がまん、っ♡ もれる、だめっ♡)
先輩の誘導尋問によって紡がれた自分の言葉が、ますます尿意を高める。自分で自分の首を締めていて、バカみたいだ。でも先輩の声を聴き逃したくないから、ずっと聴いていたいから、反射で質問に答えてしまう。
『どんな格好で我慢してるの?』
格好。自分の姿を顧みる。
「教えて。どんな格好?」
「ベッドの上で胡坐かいてて……」
「それだけ?他には?」
「ま、前、手で押さえてます」
本当は押さえてるなんて生易しいもんじゃない。がっちり鷲掴みだ。しかも両手で。片方の手は先っぽを摘まむようにして細かく揉み、もう片方の手もちんこの中間あたりをぎゅっと握り込んでいる。
『そっかあ、ちんこ揉んでないともう漏れそうなんだ。大人なのにそんなところ揉んでるんだ?』
「うぅぅ……♡」
『布が擦れる音めっちゃ聞こえる。いっぱいもじもじしてんの』
ずっともじもじそわそわしてたのも、どうやら最初から先輩には筒抜けだったらしい。少しぼやかして伝えたけど、きっとそれもお見通しなのだろう。そう分かった途端、もう抑えが効かなかった。
胡座じゃ上手く我慢ができない。正座に体勢を切り替え、内股をぴったり閉じる。その間に両手をねじ込み、両膝は擦り合わせるように上下する。多分ノイズが電話口の向こうにも届いているはずだけど、そんなこと気にしていられなかった。
「し、してる……っ♡ だっ、て、動かないと、……っ」
『動かないと、何?』
「っ!」
(なんでそんなこと聞くの……♡)
なんでって、聞かなくても分かるじゃん。でも、ちゃんと言わなきゃ……♡
「も、もれそう、だから……」
聞こえるか聞こえない程度の音量で発した言葉に、ふふ、先輩の嬉しそうな笑い声が小さく聞こえる。先輩が満足そうで何よりだけど、一方の俺はこれまでにないほど顔が熱くて仕方なかった。そんな俺の心など知る由もなく、先輩は「じゃあさ」とウキウキな様子で話を切り出す。
『お水、手元にある?』
「はい、っ、ペットボトル、500の、あります」
これはさっき、おしっこを蓄える時に飲めなかった分だ。飲もうと思ったら尿意を感じて、やめたやつ。
『じゃあその水飲んで』
「……っ!」
(嘘、でしょ……!?)
もう体内に水分が入る隙間なんて一ミリもない。なのに、500ミリリットルなんて。そんなの絶対無理だ。飲んだ水が一瞬で尿になるとは思っていないけど、こんな状態で更に水分を摂取するという行為自体が尿意を加速させるに違いない。手にしたペットボトルの水面が揺れるのを見るだけで、背中からぞくぞくとしてしまう。
拒否したい。頭ではそう思っているのに、先輩に「できる?」と甘い声で尋ねられれば、「できます」と答えてしまうのが俺だ。
「ん、……♡」
ペットボトルに口をつける。喉から管を伝って、胃の中にじわぁと広がる冷たい感覚。身体に水が入ってきてる。そう思ったら、一気に全身がぶるりと震えた。直後、お腹の奥底で膀胱が縮こまって、中の液体が一斉に出口へ押し寄せる。
(あっ、あ、あ、~~~~~~~っ♡ もれる、漏れる漏れる漏れる漏れる、いやだ……ッ♡♡)
一人だったら確実にトイレに駆け込んでいる。それくらい、もう漏れる寸前だった。
でも、もう少しだけ。先輩に見られながらおしっこを我慢していたい。だから頑張らないと。
(我慢、だめ、まだ我慢……っ♡ あっ、あ、あぁっ、おしっこでる、だめっ♡)
———じゅっ、じゅうぅ……♡
ちんこの先が、かっと熱くなる。その直後、パンツがじわぁ♡と水気を帯びた。咄嗟に、握り潰す勢いで股間を強く揉みしだいて、これ以上の放出を何とか堰き止める。
「ん、んっ、~~~~っ♡♡」
『っはは、めっちゃ衣擦れの音するね。すっごいもじもじしてる?』
「だ、って、も、……っ!!」
『いいよ、いっぱい我慢してるもんね』
お願いするみたいに「続けて?」と言われれば、そうするしかない。まだペットボトルの中身は半分も減ってない。ちょっとずつ水が体内に入る度、既に大量のおしっこで占領されている膀胱がずくん♡ずくん♡とざわつく。腰を前後左右にくねくね揺らしていないと、おしっこの圧で尿道が開いてしまいそうだ。
その後たっぷり時間をかけて、何度も何度もじわぁ♡と下着に染みを作りながら500ミリリットルの水を全て飲み切った。
(さすがにもう無理……っ!)
何回もちびってしまったせいで、薄手のスウェットにも10円玉サイズの染みが浮かび上がってしまっている。次にこの尿道口から放出される時は、それはもう「ちびり」じゃなくなるな、というのは感覚でわかってた。
「せんぱい、……♡ もぉ限界……っ、もれる……♡」
『もう少し、ね』
「むり、限界だからぁ……っ♡ あ、あっ、また、でるっ♡」
———じゅうぅぅ……♡
(う゛うぅ……♡ もうげんかいっ、我慢できないって!)
まだ一応「ちびり」の範囲で収めることが出来た。でももう、ダム崩壊は時間の問題だ。涙声でこっちが訴えるもんだから、先輩は「そっかぁ」と納得の返事をしてくれた。
よかった、これでトイレに行ける!
結構頑張った方だよなあ。うう、早くおしっこだしたい……♡
……なんて、呑気に考え始めた時だった。
『そしたらさ。洗面所、いこっか』
「え、……?」
洗面所?なんだろう。
よく分からないけど、「……?はい」と返事をし、とりあえずスマホを持ってベットから降りる。
「う、~~~~~っ♡」
(立ったら、急に……!♡)
立ったことで、おしっこが急に下ってくる感覚。締まりの悪くなったちんこがきゅううん♡とわななき、身体をくの字に折り曲げ、脚をきつくクロスさせる。突き出た尻をゆら♡ゆら♡と揺するのを止められない。スマホを片手に持ってしまったことで、ちんこを両手で押さえることが出来なくなってしまった。空いた左手でもみくちゃに先端を刺激して、強い大波に耐える。
「はあ、はあぁ、はー……っ♡」
(やだ、もれる、おしっこもれる、もれる……!♡ あ、っ、あっ、もぉ我慢できない……っ!!)
もうここから一歩も歩けない。そう思ったけれど、先輩が言うから。俺は小股とすり足を駆使して洗面所を目指した。はぁはぁうるさく呼吸してるのも、耳元に当てたスマホを通じて全部聞こえてるんだろうな。
「き、来ました、っ」
『うん。じゃあ……』
瞬間。
顔は見えないのに、先輩が意地悪な笑みを浮かべたのがはっきりと感じられた。
『水道の水、流して?』
ひ、と喉が引き攣る。
「まって、そ、れは」
『いいから。ね?』
(そんなことしたら、俺……っ!)
絶対、漏らす。無理に決まってる。
流石に断らないと。そう思うのに、言葉が口から出て来ない。いや、そうじゃない。言うのを躊躇っているんだ。
(もらしたく、ない……けど)
……もし、もう少しだけ頑張ったら。もっと気持ち良くなれるのかな。限界だと思っていたところ、越えられるのかな。
先輩、いっぱい褒めてくれるかな。
「……っ」
股間からそっと手を離す。押さえを失った先端はすぐにむずむずし始め、耐え切れず交差させた脚を擦り合わせる。
そして震える手を水道のレバーに乗せ、上に押し上げる。
———ジャーーーーーーーッ!!!
「あ゛あぁ……っ!!」
(あ、っあ、ああぁっ、だめ、おしっこ、おしっこ、もれるもれるもれる!!!!)
———じょおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっ!!!!!
身体の中心から、思い切り噴き出る。
「や、やだ、やだぁ……っ!♡」
すぐに手を股間に戻してぎゅうぎゅう押さえつける。しかし一度大崩壊を起こしたそこに、効果はひとつもなかった。手の平に熱い液体が勢いよくぶつかり、滝のように落ちていく。
———じょおおおおおぉぉぉぉぉぉ、じょろろろろろろっ!!!!!!
「あああ……っ、あ゛ぁぁ、っ~~~~~~~~♡♡」
(とまんな、やだ、がまんしないと、がまん、うううぅ……っ♡)
———じょおおおぉぉおぉおおおおおお…………!!!
我慢しないと。この期に及んでまだ諦めきれていない俺は、もっと高速でちんこを揉んで、めちゃくちゃに腰を振った。でも、全然おしっこは止まってくれない。スウェットには何本も水の筋が描かれている。
最悪だ、俺。
トイレまで間に合わなかった。おもらししてる。最悪すぎる。
なのに。
(おしっこきもちい……♡)
腰が砕けて、へろへろと床に座り込んでしまう。自分がおもらしした液体の海にぺしゃりと尻をつくと、スウェットが全部おしっこまみれになってしまった。
それでもなお、水溜まりは広がり続ける。水道からジャージャー流れる音が、おしっこを止めることを許してくれなかった。それでも俺は悪足掻きで、ちんこの先っぽを絶え間なくもみもみ♡する。
「あ、っ♡ あぁ……っ♡ っ、はあぁ、ああぁ……っ♡」
ぴく、ぴく、と腰が跳ねる。おもらしの勢いは最初より落ち着いたとはいえ、まだまだ放尿が終わる気配はなかった。
『おもらししちゃった……?ほんっと、お前かわいいなぁ……♡』
さっきから電話の向こうで先輩が何か言ってる気がする。けど、全っ然聞き取れなかった。まあいいか、また後で聞けば。
俺はじょろじょろおしっこを垂れ流しながら、ぼうっとする頭の中でこう思った。
(今度からはワイヤレスイヤホン使おう……♡)
おわり
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