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女子へのコンタクト!
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一週間後。俺達は各々の行動を報告することになった。
「はい!はい!俺から」
真水はもう既に教室の教卓にいた。
チョークで、でかでかと黒板に文字を書いていく。
そこまでスペース取らなくてもいいのでは?と俺は後ろの方から黒板を見ていた。
「お、は、よ、う?」
尾藤が一字ずつ読み上げる。
「朝、下駄箱で最初に会った女子に挨拶した!」
真水なら突然デートに誘うこともあり得ると思っていたので、挨拶でコンタクトを取った方法は意外だった。
「挨拶いいな!」
と夏樹が真水に親指を立てる。
「次は、日高」
真水が俺を指名する。
どうやら、今回も前回と同じ流れになるらしい。
「俺はシュシュの落とし物拾って、持ち主に心当たりがあったから届けたかな」
落とし物は偶然であったが、これもコンタクトに入るだろう。実際、少しだけ話せたし。
「優しいな、日高!」
と夏樹が俺に親指を立てた。
「土浦」
今日はスマホゲームをしていないので、俺は土浦を指名した。
しかし、土浦は机で何かを必死に書き写していた。
「土浦?」
尾藤が土浦に呼びかける。
「何?お前らしりとりしてんの?俺、宿題書き写してるから無視して」
土浦は俺達がしりとりをしていると勘違いしていた。
誰のノートを書き写しているか知らないが、自分でやれよ、と思う。
「尾藤」
俺は尾藤に指名し直した。
「俺は結構話せたな」
と言う尾藤に真水が驚いた。
「ビトー凄いじゃん!」
「お前らこそ、一週間あってそれってどうなの?」
尾藤の言葉に俺も、自身のことが情けなくなる。
「この前、女子が好きなものは何か話しただろ?だから、女子に直接聞いてみた」
流石、副部長。あの有耶無耶で終わった話をここに活かすとは。
尾藤って実は頭が切れる凄いやつなんじゃないか?と今頃になって俺は気づく。
「女子が答えやすいように三択問題にした。1、ぬいぐるみ。2、インスタ映えのコラボメニュー。3、金」
「で、どれが多かったんだよ?」
夏樹が興味津々になって聞く。
尾藤は、俺たちを焦らすように間をおいた。
俺は2のインスタ映えのコラボメニューであるよう、祈りを込めた。俺が見つけた情報はまだ古くはないはずだ。それに、このクラスにいる女子の大半が、好きなものが金だなんて認めたくなかった。
尾藤が親指と人差し指を合わせて丸を作る。
それが示していたのは、円。つまり、3のお金だった。
「金の次はぬいぐるみだよな!」
真水が教卓から大声で聞く。
「そうだな。金、ぬいぐるみ、コラボメニューの順だった」
俺は更に落ち込んだ。最下位になった上に、ぬいぐるみに負けたのだ。
コラボメニューではなく、タピオカであったら、まだ一位になれたのかもしれない。
「金、だな!」
と夏樹が納得したように尾藤に親指を立てた。
「夏樹」
尾藤が最後に夏樹を指名する。
「俺はゴミ捨ててきてって、女子に渡されたから、ゴミ箱に捨てに行った」
それって、コンタクトじゃなくて……パシられたんじゃ?
俺は夏樹を不憫に思い、慰めるつもりで親指を立てた。
尾藤が小柄な夏樹の背中をポンポンと軽く叩く。
その意味をわかっていない夏樹が首を傾げる。
「どうしたんだよ?尾藤」
「いや、コンタクトとれて良かったな、と」
それを褒めていると勘違いした真水が、手を振ってアピールした。
「ビトー俺も褒めて!俺も毎朝、頑張ったんだぜ」
尾藤は真水の言葉なんか無視すると思っていた。しかし、尾藤が教卓へ向かって行ったので驚いた。
そして、赤いチョークを手にすると、おはようの文字の上に花丸を書いた。
「よくできました」
尾藤は真水を褒めた。
褒められた真水は「だろ?」と嬉しそうにする。
これで、彼女をつくりたい部の活動は終わりだと思いきや、夏樹はまた新たな作戦を命じた。
「次は、最低でも一人の女子と連絡先交換をすること!」
「いつまでに?」
教卓から尾藤が聞く。
「まあ、一週間くらい?」
いくら何でも、いきなりハードルが高いだろ?!と俺は内心の焦りを感じていた。
「はい!はい!俺から」
真水はもう既に教室の教卓にいた。
チョークで、でかでかと黒板に文字を書いていく。
そこまでスペース取らなくてもいいのでは?と俺は後ろの方から黒板を見ていた。
「お、は、よ、う?」
尾藤が一字ずつ読み上げる。
「朝、下駄箱で最初に会った女子に挨拶した!」
真水なら突然デートに誘うこともあり得ると思っていたので、挨拶でコンタクトを取った方法は意外だった。
「挨拶いいな!」
と夏樹が真水に親指を立てる。
「次は、日高」
真水が俺を指名する。
どうやら、今回も前回と同じ流れになるらしい。
「俺はシュシュの落とし物拾って、持ち主に心当たりがあったから届けたかな」
落とし物は偶然であったが、これもコンタクトに入るだろう。実際、少しだけ話せたし。
「優しいな、日高!」
と夏樹が俺に親指を立てた。
「土浦」
今日はスマホゲームをしていないので、俺は土浦を指名した。
しかし、土浦は机で何かを必死に書き写していた。
「土浦?」
尾藤が土浦に呼びかける。
「何?お前らしりとりしてんの?俺、宿題書き写してるから無視して」
土浦は俺達がしりとりをしていると勘違いしていた。
誰のノートを書き写しているか知らないが、自分でやれよ、と思う。
「尾藤」
俺は尾藤に指名し直した。
「俺は結構話せたな」
と言う尾藤に真水が驚いた。
「ビトー凄いじゃん!」
「お前らこそ、一週間あってそれってどうなの?」
尾藤の言葉に俺も、自身のことが情けなくなる。
「この前、女子が好きなものは何か話しただろ?だから、女子に直接聞いてみた」
流石、副部長。あの有耶無耶で終わった話をここに活かすとは。
尾藤って実は頭が切れる凄いやつなんじゃないか?と今頃になって俺は気づく。
「女子が答えやすいように三択問題にした。1、ぬいぐるみ。2、インスタ映えのコラボメニュー。3、金」
「で、どれが多かったんだよ?」
夏樹が興味津々になって聞く。
尾藤は、俺たちを焦らすように間をおいた。
俺は2のインスタ映えのコラボメニューであるよう、祈りを込めた。俺が見つけた情報はまだ古くはないはずだ。それに、このクラスにいる女子の大半が、好きなものが金だなんて認めたくなかった。
尾藤が親指と人差し指を合わせて丸を作る。
それが示していたのは、円。つまり、3のお金だった。
「金の次はぬいぐるみだよな!」
真水が教卓から大声で聞く。
「そうだな。金、ぬいぐるみ、コラボメニューの順だった」
俺は更に落ち込んだ。最下位になった上に、ぬいぐるみに負けたのだ。
コラボメニューではなく、タピオカであったら、まだ一位になれたのかもしれない。
「金、だな!」
と夏樹が納得したように尾藤に親指を立てた。
「夏樹」
尾藤が最後に夏樹を指名する。
「俺はゴミ捨ててきてって、女子に渡されたから、ゴミ箱に捨てに行った」
それって、コンタクトじゃなくて……パシられたんじゃ?
俺は夏樹を不憫に思い、慰めるつもりで親指を立てた。
尾藤が小柄な夏樹の背中をポンポンと軽く叩く。
その意味をわかっていない夏樹が首を傾げる。
「どうしたんだよ?尾藤」
「いや、コンタクトとれて良かったな、と」
それを褒めていると勘違いした真水が、手を振ってアピールした。
「ビトー俺も褒めて!俺も毎朝、頑張ったんだぜ」
尾藤は真水の言葉なんか無視すると思っていた。しかし、尾藤が教卓へ向かって行ったので驚いた。
そして、赤いチョークを手にすると、おはようの文字の上に花丸を書いた。
「よくできました」
尾藤は真水を褒めた。
褒められた真水は「だろ?」と嬉しそうにする。
これで、彼女をつくりたい部の活動は終わりだと思いきや、夏樹はまた新たな作戦を命じた。
「次は、最低でも一人の女子と連絡先交換をすること!」
「いつまでに?」
教卓から尾藤が聞く。
「まあ、一週間くらい?」
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