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第十一話
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「世衣加ちゃ~ん」
本田さんがポテポテと走ってくる。(ぶりっ子かよ)
「創ちゃん! お昼はどうするの~?」
優しくお昼について話し掛ける私をガン無視して創ちゃんは続ける。
「そんな事よりも! 蒼太くんと陽太くんが居なくなっちゃったのぉ!」
え……でも、やっぱり……。
「二人が!?」
私は推測出来ていながらも初めて知った風に驚いた。
「そうなの。私、探し回ってるんだけど見つけなくてぇ……」
成程、皆は昼食と言いつつも消えて居なくなった人を探しに行ってたのか。
いや、この人の場合は違うんだろうけどね。
「そうなの……じゃあ残りは私達だけね」
私は二人だけと言う事に対して大きなチャンスを抱いた。
うん、これは事件の進展に対して絶好のチャンスだわ。
「他に人は居ないしねぇ~」
相変わらずタラタラした口調。こんな事言っちゃいけないって事は分かってるんだけど。
「ねぇ、本田さん。正直に言わせてもらうわ」
私は勢い良く彼女に向かって指を差す。
「何よぉ!?」と『私、可愛い子』をしている本田創に向けて。
「貴方、この無人島クラスメイト大失踪事件に関係しているわよね!」
彼女の顔は驚きと不思議とバカにした表情が混ざった様だ。
「なっ、何よ! その、無人島クラスメイトなんちゃらってのは! バカバカしいっ!」
あ、そこは気にしないで……私が勝手に考えただけだから。
「無人島クラスメイト大失踪事件……それは、貴方が起こした私達の存在を消し去ろうとした事件の事よ! 私が考えたの、その名前!」
名前の由来は無人島で起こったクラスメイトが疾走する大っきな事件って事~!
ま、気にしないで。
「否、私が聞きたいのはそう言う事じゃあ無くて、何で私が事件の犯人にされてるのよ!」
彼女は頭にカッと来たみたいで顔を赤くして起こった様だ。
「バカバカしいも何も全てが計画性のある貴方が起こした事件だもの。概要を説明するわね。まず私が貴方が犯人だと特定した理由」
彼女は私の言葉に目元をキリッと上げて私を見る。
「普通に考えて、誰かに誘拐される以外、自分から消える人なんてこうも沢山居るわけない。つまり誰かが皆を消している可能性がある」
私の推理の途中に本田さんが口を挟む。
「待ってよ、それなら私じゃ無くても良いんじゃ無いかしら? 誘拐なんて私以外でも誰だって出来る! ほら、後半に残ってた司とか蒼太とかが犯人だって! 皆を消すって人を連れて行かないといけないから女子の私よりも体が大きい彼らの方が全然可能性としては高いわよね! ゆかりだって私より色々考えてそうだったし……!」
随分と言葉が焦ってる。って言わない方がいっか。
「ううん、貴方、今までの私の推理を全く聞いてなかったの?」
今までの推理? と彼女は首を傾げる。
「そう、今まで私はこの島についての考察を何度か皆に伝えて来た。それで私、気付いちゃったのよ。『この島が絶対存在しない』って事よ」
「こ、この島が絶対存在しない……?」と彼女は血相を変えて呆然としている。
「私の今までの考えを合わせればある事に辿り着く。それがこの島が絶対に存在しないって事……いいえ、この島は存在してはいけないのよ」
彼女は説明しろと言わんばかりの顔だ。
「ちょっと!? さっきからあんたが何言ってんのか全く意味分かんないんだけど!?」
うん、ほらね。
「この島に存在しないってどういう事っ……!? 痛みを感じるなら夢でも無いんでしょ!? それにお腹が空いたりって言うのも感じてるじゃ無い! じゃあ何だってのよ!?」
彼女は息切れで言葉が止まった。
「貴方分かってるはずでしょ? だって貴方が仕組んだ世界だもの」
そう言うと彼女はすごく動揺した。
「わ、私が仕組んだ? それに世界!? そんな事っ!」
逃げても無駄無駄。
思い知らせてやらないと……。
「ここは存在する世界では無い……。だけど夢じゃないし痛みも感じる……。つまりここは、『VRの世界』よ」
「ブ、VR!? そんなぁっ!」
うん、トリックを見破られた犯人の反応だな、これは。
「トリックを見破られた!? こんなふ、普通の女に、この私の最高傑作がぁっ!?」
彼女は掻き乱し泣きわめている。
「事件のトリックって何よ? 教えて頂戴」
私は床に崩れ落ちている彼女に話し掛ける。
「は?」
彼女は手で顔を覆いながらも指の隙間から目を覗かせる。
「否、トリックなんて分かっててVRの世界だって言ったんでしょ?」
目を吊り上げて私を睨んでくる。
「え? ううん。VRの世界だって分かってて貴方が怪しいなって思って問い詰めたら貴方が自白してくれたから……」
私はこっちのトリックも明かさないとね~と思っていた事を思い出した。
「ちょっと待ってよ! それならあんたは犯人の確証も無いような人を怪しいって思っただけで追い詰めたの!? 有り得ない! それなら私、事件と全く関係ないんですけどぉ! って言いたいわよ……」
それで言わなかったって事はもう自分の罪を認めたって事よね。
「さ、早速なんだけど質問に答えてよ」
「その質問に私が答えた所でお互いに得は有るの? 私はただ面倒なんだけど」
うーん、やっぱり答えてくれないかなぁ。
「ならしょうが無い、力尽くで吐かせてみようか」
どうやら力尽くという言葉に反応して言う気に成ってくれたみたい。
「分かったわよ、話すわ……」
彼女が言うには、自分の父が経営しているVR会社で学校の修学旅行が決定した事によって事件を起こす事を考えたそうだ。
それで班を決めて先生に提出したプリントを放課後に自分の仲良しメンバーに改竄したと。だけどその場面を司くんに見られて自分が嫌いな人を入れて怖がらせてあげようとしてまた再改竄。
「ん? 何で改竄されたのを皆は覚えていないの? 自分の班くらいこの人数なら覚えてるはずだよね?」
「いや、それも親の会社が開発した記憶改竄スプレーで記憶を紛らわせたの。隅田司だけは思い出したみたいだけど」
だから司くんは焦ってたのか。
で、旅行予定のVRまでも改竄して修学旅行に挑んだと。
改竄どんだけするんだよ。
その改竄先が無人島で後は皆も知っての通りと……。
「待ってよ! それじゃあ皆はどこに!?」
私は聞き終えて取り乱した。
「それは――VR世界上のどこか……とでも言えば良いのかしら」
創ちゃんは自分でも良く分かんないと悲しげに首を振った。
「VR世界上のどこかって……? どういう事なのか分かる範囲で良いから説明してくれる?」
悲しげにしていた創ちゃんが少しでも力に成りたいと口を開く。
心を改めてくれたんだね。改竄ばっかしてた奴が。
本田さんがポテポテと走ってくる。(ぶりっ子かよ)
「創ちゃん! お昼はどうするの~?」
優しくお昼について話し掛ける私をガン無視して創ちゃんは続ける。
「そんな事よりも! 蒼太くんと陽太くんが居なくなっちゃったのぉ!」
え……でも、やっぱり……。
「二人が!?」
私は推測出来ていながらも初めて知った風に驚いた。
「そうなの。私、探し回ってるんだけど見つけなくてぇ……」
成程、皆は昼食と言いつつも消えて居なくなった人を探しに行ってたのか。
いや、この人の場合は違うんだろうけどね。
「そうなの……じゃあ残りは私達だけね」
私は二人だけと言う事に対して大きなチャンスを抱いた。
うん、これは事件の進展に対して絶好のチャンスだわ。
「他に人は居ないしねぇ~」
相変わらずタラタラした口調。こんな事言っちゃいけないって事は分かってるんだけど。
「ねぇ、本田さん。正直に言わせてもらうわ」
私は勢い良く彼女に向かって指を差す。
「何よぉ!?」と『私、可愛い子』をしている本田創に向けて。
「貴方、この無人島クラスメイト大失踪事件に関係しているわよね!」
彼女の顔は驚きと不思議とバカにした表情が混ざった様だ。
「なっ、何よ! その、無人島クラスメイトなんちゃらってのは! バカバカしいっ!」
あ、そこは気にしないで……私が勝手に考えただけだから。
「無人島クラスメイト大失踪事件……それは、貴方が起こした私達の存在を消し去ろうとした事件の事よ! 私が考えたの、その名前!」
名前の由来は無人島で起こったクラスメイトが疾走する大っきな事件って事~!
ま、気にしないで。
「否、私が聞きたいのはそう言う事じゃあ無くて、何で私が事件の犯人にされてるのよ!」
彼女は頭にカッと来たみたいで顔を赤くして起こった様だ。
「バカバカしいも何も全てが計画性のある貴方が起こした事件だもの。概要を説明するわね。まず私が貴方が犯人だと特定した理由」
彼女は私の言葉に目元をキリッと上げて私を見る。
「普通に考えて、誰かに誘拐される以外、自分から消える人なんてこうも沢山居るわけない。つまり誰かが皆を消している可能性がある」
私の推理の途中に本田さんが口を挟む。
「待ってよ、それなら私じゃ無くても良いんじゃ無いかしら? 誘拐なんて私以外でも誰だって出来る! ほら、後半に残ってた司とか蒼太とかが犯人だって! 皆を消すって人を連れて行かないといけないから女子の私よりも体が大きい彼らの方が全然可能性としては高いわよね! ゆかりだって私より色々考えてそうだったし……!」
随分と言葉が焦ってる。って言わない方がいっか。
「ううん、貴方、今までの私の推理を全く聞いてなかったの?」
今までの推理? と彼女は首を傾げる。
「そう、今まで私はこの島についての考察を何度か皆に伝えて来た。それで私、気付いちゃったのよ。『この島が絶対存在しない』って事よ」
「こ、この島が絶対存在しない……?」と彼女は血相を変えて呆然としている。
「私の今までの考えを合わせればある事に辿り着く。それがこの島が絶対に存在しないって事……いいえ、この島は存在してはいけないのよ」
彼女は説明しろと言わんばかりの顔だ。
「ちょっと!? さっきからあんたが何言ってんのか全く意味分かんないんだけど!?」
うん、ほらね。
「この島に存在しないってどういう事っ……!? 痛みを感じるなら夢でも無いんでしょ!? それにお腹が空いたりって言うのも感じてるじゃ無い! じゃあ何だってのよ!?」
彼女は息切れで言葉が止まった。
「貴方分かってるはずでしょ? だって貴方が仕組んだ世界だもの」
そう言うと彼女はすごく動揺した。
「わ、私が仕組んだ? それに世界!? そんな事っ!」
逃げても無駄無駄。
思い知らせてやらないと……。
「ここは存在する世界では無い……。だけど夢じゃないし痛みも感じる……。つまりここは、『VRの世界』よ」
「ブ、VR!? そんなぁっ!」
うん、トリックを見破られた犯人の反応だな、これは。
「トリックを見破られた!? こんなふ、普通の女に、この私の最高傑作がぁっ!?」
彼女は掻き乱し泣きわめている。
「事件のトリックって何よ? 教えて頂戴」
私は床に崩れ落ちている彼女に話し掛ける。
「は?」
彼女は手で顔を覆いながらも指の隙間から目を覗かせる。
「否、トリックなんて分かっててVRの世界だって言ったんでしょ?」
目を吊り上げて私を睨んでくる。
「え? ううん。VRの世界だって分かってて貴方が怪しいなって思って問い詰めたら貴方が自白してくれたから……」
私はこっちのトリックも明かさないとね~と思っていた事を思い出した。
「ちょっと待ってよ! それならあんたは犯人の確証も無いような人を怪しいって思っただけで追い詰めたの!? 有り得ない! それなら私、事件と全く関係ないんですけどぉ! って言いたいわよ……」
それで言わなかったって事はもう自分の罪を認めたって事よね。
「さ、早速なんだけど質問に答えてよ」
「その質問に私が答えた所でお互いに得は有るの? 私はただ面倒なんだけど」
うーん、やっぱり答えてくれないかなぁ。
「ならしょうが無い、力尽くで吐かせてみようか」
どうやら力尽くという言葉に反応して言う気に成ってくれたみたい。
「分かったわよ、話すわ……」
彼女が言うには、自分の父が経営しているVR会社で学校の修学旅行が決定した事によって事件を起こす事を考えたそうだ。
それで班を決めて先生に提出したプリントを放課後に自分の仲良しメンバーに改竄したと。だけどその場面を司くんに見られて自分が嫌いな人を入れて怖がらせてあげようとしてまた再改竄。
「ん? 何で改竄されたのを皆は覚えていないの? 自分の班くらいこの人数なら覚えてるはずだよね?」
「いや、それも親の会社が開発した記憶改竄スプレーで記憶を紛らわせたの。隅田司だけは思い出したみたいだけど」
だから司くんは焦ってたのか。
で、旅行予定のVRまでも改竄して修学旅行に挑んだと。
改竄どんだけするんだよ。
その改竄先が無人島で後は皆も知っての通りと……。
「待ってよ! それじゃあ皆はどこに!?」
私は聞き終えて取り乱した。
「それは――VR世界上のどこか……とでも言えば良いのかしら」
創ちゃんは自分でも良く分かんないと悲しげに首を振った。
「VR世界上のどこかって……? どういう事なのか分かる範囲で良いから説明してくれる?」
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