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第十話

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 昼――。
 僕、隅田司は失踪したゆかりさん、陽太を探して島を回っている。
もう一度状況を確認してみよう。

 まず一日目。
明け方頃に無人島に居る事に気がついて起きた。
陽太としばらく島を回っていたら蒼太と本田さんに会った。
食料調達をそれぞれする事になって陽太と魚を釣っていたら、蒼太達がゆかりさんと世衣加さんを連れて来た。

 ん? 待てよ、このメンバー、何か覚えがある気がするが……。
いつだ? このメンバー……。
……そうか! 修学旅行の班だ!

 いや、正確には本田創が作った班のメンバーなのだ。
思い出せ。
修学旅行の班決めは男女三人ずつで僕はこのメンバーとは全く違う人物と組んだ。
なのに何故このメンバーが修学旅行の班だと思ったんだ? それに本田創が作ったグループだと。
 いや、思い出した。

 班決めをした日は生徒会で遅くなった。
一人下駄箱に上靴を入れ、靴を履こうとした。だが忘れ物がある事に気が付き下駄箱からもう人の居ない教室に戻った。
その時、本田創がメンバー資料を改竄しているのを見たんだ。
教卓に置いてある修学旅行ファイルをペンで書き換えしている所だった。
だがもう遅いし改竄したと言うのも何かの間違いか、また、戻すかもと思い帰った。
教室の中には結局入らず忘れ物は取られなかったのに何で忘れていたんだ?

 待てよ、今日は何月何日だ?
修学旅行に行く日時は十一月十一日から十三日までの二泊三日。
その出来事に遭ったのが十一月八日。
一番最近学校に行った時の記憶だ。
土日を挟んでの修学旅行だったから金曜か。
だとしたら今日は昨日を飛ばして日曜日?
明日は修学旅行じゃないか!?

 いや、それもおかしい。
だって土日は陽太と遊んだし日曜日に毎週放送のドラマだって見てから就寝した覚えはある。

 なら今日は修学旅行二日目の十一月十二日だ!
 だが何故今更この記憶が蘇ったんだ?
そもそも記憶力が学年の中でも相当良い僕が三日分の記憶を忘れていたりなんて有り得無い。
 
 まさかまたあの人物が干渉していると言う事か?
そんな事信じたく無いが可能性は十分だ。
 これで結論が出た。

 僕の思考が脳内を回った時。
「ねぇ、司くん」
後ろから声が聞こえる。

「本田創……」
僕は振り返って本田さんの顔をしっかりと見る。

 本田さんの顔は名前を呼ばれて一瞬強張ったがすぐにニッコリと笑顔を作った。
僕もそれに合わせて無理矢理笑顔を作る。

「司くんはお昼、本当に食べるのぉ~? 世衣加ちゃんはお腹に溜まらないご飯を用意するのは無駄ってゆっくり寛いでるけど」

「僕? 僕が出掛けたのは本田さんが消した人達を探しに行ったからだけど?」
僕の一言で彼女の顔が一変する。

「何言ってるの? 否、そもそもそんな事、した覚え無いんだけどなぁ?」
本田さんは顔を左に向く。

 ふん、よく言うよ。陽太やゆかりさんを消しておいて。

「そうかい? しっかりとした証拠も有るんだけどなぁ。それにさっきから本田さんの口調、変わってるよね。ゆかりさんや陽太の時も、そんな感じだったのかな?」

「そんな事っ!」
いや、いつもの小さいあいうえおが無いじゃん。伸ばし棒も。(小さいつは増えたけど)

「それに血相変えて汗掻いてるじゃん。暑さのせいかな? いや、世衣加さんの言う通りであれば暑さは感じてないんだったね」
僕もちょっと我慢が効か無く成るかもね。怒りが頂点に達しそうだ。

「はぁ、気付かれたと見て間違い無いのね」
そう言って今度は強張った顔から明らかに起こった顔に成る。
こんな顔見たこと無い。

「やっぱり一番に貴方を殺しておくべきだったんだわ!」
彼女は怒鳴り続ける。

 消しておくなんちゃらって自白しちゃってる。

「私がどうしてこの順で皆を消したかも貴方は分かっているみたいね。私がどうして班のメンバーをこうしたのかも」
その問に僕はコクっと頷く。

「メンバーの方はただの想像だったんだけどね」

 でも……と僕は続ける。
「僕が貴方を止める」
ふうん、と彼女は興味の無さそうに言う。

「で、どうやって? 貴方の大事にして居るクラスメイトの命が危ないってのにそんなにカッコ良い事言えるんだぁ?」

 クラスメイト!?
「まさか蒼太か!?」

「さぁ? 自分で確認したらどうかしら?」
と言って彼女は手を横にする。
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