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第九話
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「何も深く考える必要は無かったの。ここでは痛いと感じているけど遺体見は無いんだから。いいえ、それは間違っていたわね。ここは存在しない――。だけど私は私達は存在する」
皆は難しそうに頷く。
「だから頬を抓った時は痛かった。だけど創ちゃんが木の棒を拾って頭を叩いた時は痛くなかったのは木の棒なんて存在しなかったから。つまり自分の手とかで居た意味を感じられるという事」
おお~! と歓声が上がる。
「でも……」と私は続ける。
「創ちゃん、ごめんねっ!」
私は創ちゃんの顔を勢い良く抓る。
「ヒィッ、い、痛っ……くない?」
一瞬驚いていたが痛くは無い様子。
やっぱり私の考えは正しかった!
「そう。この様に自分が自分を攻撃すること以外の怪我や痛みを感じる事は無いって事」
「成程。この島にはこんな特色があったのか」
司くんは論理的に理解した様。
「よく知らなかったわぁ。だって人の事抓ろうとした人なんて誰かさん以外に居なかったものぉ」
創ちゃんは皮肉に言う。
「で、それに何が関係しているのか?」
司くんは理解が完全では無い様。
「えっとね、だから痛みを感じないって事は私達はそれぞれ、別の場所に居ると言えるのではないのか」
皆はまたはっと何かに気がついたみたい。
「まさか……」と呟く蒼太くんの声が微かに聞こえる。
私はそれ以上の回答までに到達する事は出来なかったけど皆に聞いてみて、新しい考えが出る事はあるのかな?
「皆は何か思い付く事、無い? 今までの事に関係する事」
私は考え込んでいる皆の顔を一人ずつ見返す。
「そもそもこの島が存在していないと言うのなら、僕達はどこに居るのかという問題になるのでは?」
司くんはピンと来たようだ。
「そう。でもそこが私は分かんなかったの。皆に相談したのはそういう事。何か案はある?」
私は今の所これ以上の考えに至れなかった。
「うーん、分かんないなぁ」
創ちゃんは頭を振る。
「思い当たる事……」
蒼太くんは言い掛けた事を途中で辞めた。
何を言おうとしてたんだろう。
そんな事を考えていると創ちゃんのお腹からグーッと大きいな音がした。
私はつい、「ふふっ」と吹き出してしまう。
「やっぱりお腹は空いている様だね。一度昼食にするかい?」
司くんは創ちゃんのお腹の空き具合を見て昼食の時間を取ろうとしているみたい。
私もかなりお腹が空いている……。
まぁどうせ食べた所でお腹に溜まらない事は分かってるんだけど、なるべくお腹が溜まっていると思いたいから架空でも昼食のお時間は大事なのかな。
ん?
架空の? と、架空と言う言葉に私は引っかかった。
架空。何か思い当たる事がある気がするんだけどなぁ……何だか思い出せない。
最近どこかで関する事を見た気がする。分かんない。
まぁいっか、お腹が空いたことだし。
まぁいっか! お腹が空いた事だし。
私達はお昼ご飯の用意に取り掛かっていく。
これから何が起こるかも知らずに……。
「じゃあまずは食料調達かな?」
司くんが言う。
これからは昼食の時間だ。
まぁ昼食と言ってもどうせ食べてないんだけど。
「じゃあ各自、果物とかぁ、取ってこよっか~」
創ちゃんはそう言ってトコトコとどこかへ歩いて行く。
私はどうせお腹に溜まりやしないんだしもう諦めてここに座っておこう。
司くんは創ちゃんと同じ方へ、蒼太くんは二人と真反対の方へ歩いて行く。
皆は何を持ってくるのかと思いきや十分後。
どうしたんだろう?
司くんが激しい勢いで帰ってくる。
額や手には汗が滲んでいて足はどこか震えている様に見える。
「どうしたの? 司くん」
やはり声はいつもの何倍にも増して震えている。
「そ、蒼太はどこに居るか?」
「蒼太くん? ならあっちに行ったよ。司くんと創ちゃんが行った真反対」
私は日が差し込んでいる方を指で差す。
「本当なのか? 僕、この島を一周した筈なんだけど合わなかったよ……」
そうなの? と言うか十分で一周? それなら全速力で走ってやっとって感じだね。だから手足に汗を掻いてたんだ。
うーん、何かおかしい気がする。
「ねぇ、司くん。回答では無く質問をして申し訳無いんだけど、貴方、どうして震えているの?」
この異常までの震えはどこから? と言う思いが勝ってしまい、司くんの質問より自分の意見を優先して聞いてしまう。
私がそう言うと司くんの体が頭からブルブルッと震えが流れていく。
「い、いや、特に何って訳じゃ無い、きっと、島を走って来たからその時の汗が乾いて風邪気味とかじゃ無いか?」
いいえ、それもおかしいわね。
十分間も走っていてもう汗が乾いて風邪を引くなんてあんまりにも速くないかしら? そんなもの?
「なら私が答えるけど一周してる間に蒼太くんを見なかったってそんなのただ見過ごしてしまっただけじゃない? それと創ちゃんは?」
創ちゃんと言う名前を聞くと震えがまた蘇ってきた様だ。
どうして何だろうか? 本田創、彼女に対して何か感じている?
「本田さんの話は……しないでくれ」
してほしくない? 何でだろ?
まぁ気にしないでおこう。
「それで司くんは何を言いたいの? お昼の用意をしてたんじゃ無かった?」
私がそう言うと司くんは冷静さを欠いた様に張った声を出す。
「それどころじゃ無いんだ! 陽太だけじゃなく、蒼太まで危ない……速く探し出さないと!」
司くんは血相を変えて走って行く。
何だったんだろう。
ん……? 陽太くんだけじゃなく、蒼太くんまで危ない?
それと創ちゃんへの異常な震え。
この事件の真相が見えてきた気がするわ……。
皆は難しそうに頷く。
「だから頬を抓った時は痛かった。だけど創ちゃんが木の棒を拾って頭を叩いた時は痛くなかったのは木の棒なんて存在しなかったから。つまり自分の手とかで居た意味を感じられるという事」
おお~! と歓声が上がる。
「でも……」と私は続ける。
「創ちゃん、ごめんねっ!」
私は創ちゃんの顔を勢い良く抓る。
「ヒィッ、い、痛っ……くない?」
一瞬驚いていたが痛くは無い様子。
やっぱり私の考えは正しかった!
「そう。この様に自分が自分を攻撃すること以外の怪我や痛みを感じる事は無いって事」
「成程。この島にはこんな特色があったのか」
司くんは論理的に理解した様。
「よく知らなかったわぁ。だって人の事抓ろうとした人なんて誰かさん以外に居なかったものぉ」
創ちゃんは皮肉に言う。
「で、それに何が関係しているのか?」
司くんは理解が完全では無い様。
「えっとね、だから痛みを感じないって事は私達はそれぞれ、別の場所に居ると言えるのではないのか」
皆はまたはっと何かに気がついたみたい。
「まさか……」と呟く蒼太くんの声が微かに聞こえる。
私はそれ以上の回答までに到達する事は出来なかったけど皆に聞いてみて、新しい考えが出る事はあるのかな?
「皆は何か思い付く事、無い? 今までの事に関係する事」
私は考え込んでいる皆の顔を一人ずつ見返す。
「そもそもこの島が存在していないと言うのなら、僕達はどこに居るのかという問題になるのでは?」
司くんはピンと来たようだ。
「そう。でもそこが私は分かんなかったの。皆に相談したのはそういう事。何か案はある?」
私は今の所これ以上の考えに至れなかった。
「うーん、分かんないなぁ」
創ちゃんは頭を振る。
「思い当たる事……」
蒼太くんは言い掛けた事を途中で辞めた。
何を言おうとしてたんだろう。
そんな事を考えていると創ちゃんのお腹からグーッと大きいな音がした。
私はつい、「ふふっ」と吹き出してしまう。
「やっぱりお腹は空いている様だね。一度昼食にするかい?」
司くんは創ちゃんのお腹の空き具合を見て昼食の時間を取ろうとしているみたい。
私もかなりお腹が空いている……。
まぁどうせ食べた所でお腹に溜まらない事は分かってるんだけど、なるべくお腹が溜まっていると思いたいから架空でも昼食のお時間は大事なのかな。
ん?
架空の? と、架空と言う言葉に私は引っかかった。
架空。何か思い当たる事がある気がするんだけどなぁ……何だか思い出せない。
最近どこかで関する事を見た気がする。分かんない。
まぁいっか、お腹が空いたことだし。
まぁいっか! お腹が空いた事だし。
私達はお昼ご飯の用意に取り掛かっていく。
これから何が起こるかも知らずに……。
「じゃあまずは食料調達かな?」
司くんが言う。
これからは昼食の時間だ。
まぁ昼食と言ってもどうせ食べてないんだけど。
「じゃあ各自、果物とかぁ、取ってこよっか~」
創ちゃんはそう言ってトコトコとどこかへ歩いて行く。
私はどうせお腹に溜まりやしないんだしもう諦めてここに座っておこう。
司くんは創ちゃんと同じ方へ、蒼太くんは二人と真反対の方へ歩いて行く。
皆は何を持ってくるのかと思いきや十分後。
どうしたんだろう?
司くんが激しい勢いで帰ってくる。
額や手には汗が滲んでいて足はどこか震えている様に見える。
「どうしたの? 司くん」
やはり声はいつもの何倍にも増して震えている。
「そ、蒼太はどこに居るか?」
「蒼太くん? ならあっちに行ったよ。司くんと創ちゃんが行った真反対」
私は日が差し込んでいる方を指で差す。
「本当なのか? 僕、この島を一周した筈なんだけど合わなかったよ……」
そうなの? と言うか十分で一周? それなら全速力で走ってやっとって感じだね。だから手足に汗を掻いてたんだ。
うーん、何かおかしい気がする。
「ねぇ、司くん。回答では無く質問をして申し訳無いんだけど、貴方、どうして震えているの?」
この異常までの震えはどこから? と言う思いが勝ってしまい、司くんの質問より自分の意見を優先して聞いてしまう。
私がそう言うと司くんの体が頭からブルブルッと震えが流れていく。
「い、いや、特に何って訳じゃ無い、きっと、島を走って来たからその時の汗が乾いて風邪気味とかじゃ無いか?」
いいえ、それもおかしいわね。
十分間も走っていてもう汗が乾いて風邪を引くなんてあんまりにも速くないかしら? そんなもの?
「なら私が答えるけど一周してる間に蒼太くんを見なかったってそんなのただ見過ごしてしまっただけじゃない? それと創ちゃんは?」
創ちゃんと言う名前を聞くと震えがまた蘇ってきた様だ。
どうして何だろうか? 本田創、彼女に対して何か感じている?
「本田さんの話は……しないでくれ」
してほしくない? 何でだろ?
まぁ気にしないでおこう。
「それで司くんは何を言いたいの? お昼の用意をしてたんじゃ無かった?」
私がそう言うと司くんは冷静さを欠いた様に張った声を出す。
「それどころじゃ無いんだ! 陽太だけじゃなく、蒼太まで危ない……速く探し出さないと!」
司くんは血相を変えて走って行く。
何だったんだろう。
ん……? 陽太くんだけじゃなく、蒼太くんまで危ない?
それと創ちゃんへの異常な震え。
この事件の真相が見えてきた気がするわ……。
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