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第九話

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「まだまだ有るから沢山食べて下さいね~! 今日食べちゃわ無いと悪く成るので~」

「は、はい……」

 本当に山の様に有るな。

 僕だけで食べ切るのは無理だがソフィーさんは一向に手を貸す気は無いらしい。
 
 ここではドブブが出来役だと思うのだが……。

「おはようドブ~」

 ドブブが眠そうに目を擦りながら起きて来た。

「あら、ドブブちゃんおはよう」

「ソフィーさんおはようございますドブよ」

 今更だが本当にドブブは謎の言葉を喋るなぁ。
おはようございますドブよって何だよ……。

「実はドブブ、変な夢を見たんだドブよ」

 変な夢?
嫌な予感しかしないぞ……。

「変な夢ってどんな夢なの? 詳しく教えて頂戴」

 何故かソフィーさんはドブブが見たと言う変な夢に興味津々だ。

 何だか聞かない方が良い気がする……。

「湊とソフィーさんがこの可愛いドブブと言う猫を一人にしてお喋りしたり美味しい物を食べたりしている夢を見たんだドブよ!」

 ギクリ……。

「え、えっと……す、凄い夢ね……?」

 凄い夢……。
実際事実なのでは有るがドブブの謎の能力が開花した気がして来た気が……。

「ホントドブよ。不快だったドブ~。それに嫌な事はまだ続くドブよ!」

 ソフィーさんは「まだ有るのぉ?」と面倒くさそう。

「問題は湊ドブ!」

「えぇ、僕? 何かしたかな……」

 ソフィーさんはドブブの言う事を素直に信じたのか僕の方をチラリと見て来る。

 こっちの方が嫌な事が起こるかもしれない……。

「湊はドブを無視したんだドブ!」

 無視!?
した覚えは無いけどなぁ……。
 
 ソフィーさんもドブブの言った事をいい加減疑う様に成った。

「ドブブは朝起きてベッドに入ったまま夢の話を湊にしてたんだドブ」

 してたの?

「そしたらうんともすんとも言わなかったんだドブ」

 僕、そんな薄情な奴じゃ無いし気付いて無かっただけじゃ……。

 ソフィーさんにも白い目で見られそうで怖いよ……。
ドブブ、もう辞めて……。

「それでドブは湊の様子がおかしいのかと湊のベッドを見たらもぬけの殻だったんだドブ!」

 ソフィーさんは「まぁっ……」と驚いて居るが僕は不信感を覚えた。

 僕は夜、トイレにも行って無いからそれは朝の出来事だ。
朝はソフィーさんに起こして貰った時にドブブは寝ていた。

 つまりこの出来事は僕がソフィーさんに起こされた後の出来事に成る訳だ。

 だから勝手に寝坊したドブブが変な夢を独り言で語って居たと言うだけの話だね。

 全く人騒がせな……。

「そ、そんな話は良いからドブブちゃんもパンはどう? 美味しく出来たから是非食べて欲しいと思うんだけど~」

 困り果てた僕をソフィーさんはドブブを食べ物で釣ってフォローしてくれた。

 ナイスソフィーさん!

「今日は街に行くんだドブよね~?」 

 やっと僕に対する愚痴を辞めてくれたドブブが聞いてくる。

「うん、土地を買いに行きたいから」

 僕がそう言うとソフィーさんが首を傾げる。

「土地を買うの? どうして?」

「大っきな家を作る為ドブよ!」

 パンを口に詰めたドブブが苦しそうに言う。

「家を?」
 
「はい、前も大きな家を作ったんですけど貴族に国外追放されたから新しいのを作ろうかなって思ってて」

 ソフィーさんは「成程」と頷いて居る。

「実は実はドブブの魔法で家が作れるんだドブよ~!」

「ドブブちゃんの魔法で~!? 凄い! 作る時見せて頂戴~!」

 魔法と言うワードを聞いた瞬間ソフィーさんの目が輝いた。
魔法が好きなのかな?

「ソフィーさんは魔法って使えたりします?」

 僕は魔法についても情報が沢山欲しいから情報収集だ。

「えっと……まぁ使えるよ。一応」

「そうかドブ~!」

 ドブブは仲間を見つけて嬉しそうだ。

「でも街に行こうにもどう言ったら良いか分かん無いんですよね……」

 僕がそう言うとソフィーさんは言った。

「なら私が案内しましょうか?」

「良いんですか?」

 案内してくれるとソフィーさんは言ってくれるがこの人の予定も把握しきれて居ないからすぐにありがとうございますとは言えない。

「勿論! 私もそろそろ街に行こうかなって思ってたから」

「なら一緒に行きたいドブ~!」

 ドブブは遠慮せずに我儘な子供みたいにソフィーさんにスリスリする。

「ドブブちゃんもこう言ってるし一緒に行って良いですか?」

「是非お願いします!」

 僕は遠慮無くソフィーさんにお願いする。

「じゃあ早速街へ行きましょうか!」

「行くドブ~!」
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