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第五話
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「出来たかドブ~?」
丁度料理が出来上がった頃にドブブが上がって来た。
「うん、丁度ね」
僕がそう言うとドブブは「どれどれドブ~?」とこっちに向かって来た。
「サラダドブか~!」
ドブブは嬉しそうに僕の作ったサラダを眺める。
「ドブブは肉が好きかと思ったけど火を使えなかったから今日はサラダにしてみたんだ」
「早速食べても良いドブ!?」
ドブブは目をキラキラと輝かせて居る。
「勿論。どうぞ」
「戴きますドブ~!」
そう言って手を合わせるとドブブは野菜に食い付いた。
こう見ると猫と言うよりドッグフードを食べている犬に見えて来た……。
「そんなに焦って食べなくても良いよ。誰が取って食う訳でも無いし」
「美味しいドブ~! おかわりドブ!」
ドブブは皿を僕に渡しておかわりをせがんで来た。
「美味しいならいくらでもおかわりは有るけど気持ち悪く成ら無い様にしなよ」
僕はお皿にサラダを盛り付けながらドブブに言う。
ドブブは僕の話を聞いて居ない様だ。
「はい、次はゆっくり食べなよ」
僕がコトンとドブブの前に皿を置くと、また犬みたくサラダに食い付いた。
「ゆっくりって言ったろ……」
ドブブがここまで美味しいと言うなら僕も食べてみるか。
うん、この世界での初料理にしては中々の出来では無いのだろうか。
「ご馳走様でしたドブ~!」
ドブブは満足気に手を合わせて言った。
「美味しかったドブね~! ご飯を食べた後はゆっくりするか外で遊びたいドブ……」
「そうだね。そうしようか……」
僕がそう言い掛けると突然大きな音が屋敷に響いた。
ガンガン!
「なっ、何だドブ!?」
ドブブは大きな音にビックリして飛び上がった。
「何が有ったんだろう?」
この音は多分玄関のドアを叩いている音だ。
つまり目指すは玄関だ。
「玄関に急ぐドブ」
本当に何が有ったんだ。
まだこの家が建ってすぐなのに事件発生?
「ふぅ、やっと着いた」
二階分の階段を駆け下りて玄関に着いた。
「ドアを開けるドブよ」
ドブブの言う通り僕はそろっとドアを開けた。
そのドアの向こうには豪華な服を身に着けた女性が居た。
「ど、どうしました……?」
僕は突然の出来事におろおろとその女性に尋ねる。
何で金持ちそうな女性がこんな所に来てるんだ?
「どうしたじゃ無いわよ!」
いかつい声を女性が上げた。
「な、何だドブ?」
ドブブは大きな声に驚いて居る。
「は、ドブって何? あたしをバカにしてるの!?」
急に女性はキレて僕達を指差した。
「あ、あの、この家に何か用ですか?」
僕は凄くキレている女性を落ち着かせようと話し掛ける。
「用も何あんた達がここに居るって事に文句が有るのよ!」
あぁ、どうやら落ち着くどころか更に怒らせてしまった様だ。
「ドブと湊がここに居る事の何に文句が有るのかドブ?」
「大有りよ!」
あぁ、ドブブが更に火に油を注いでしまった様だ。
「ここら一帯は全て私の物なのよ! す、べ、て!」
そんなに全てを強調しなくても聞こえます……。
「私はこの国の貴族なのよ! 貴族の私に従わなければ貴方達の命はすぐにでもこの世から消え去るわよ!」
お貴族様だったのか……。
彼女に従わなければ本当に命の保証は無いようだ。
「わ、分かりました。従います。そ、それで僕達は何をすれば良いんでしょうか?」
僕は震えで上手く声が出ない。
「すぐにここから去りなさい! 命だけは見逃してやっても良いわ! ただし絶対にこの国の中には一生出入りを禁止するわ!」
ここから出て行けと……。
「そ、そんなのいやドブよ! せっかく湊と楽しく過ごそうって成ってたのに……」
ドブブがまた貴族に反対している。
「黙りなさい!」
ひぃ、僕にまで被害が……。
「う……分かったドブ……」
ドブブも抵抗を辞めたようだ。
「いい加減目障りね! さっさと出ていけ出ていけ!」
そう言って彼女は僕達を蹴ってきた。
「ひぃっ!」
どうやら後ろに従者が控えて居た様だ。
彼らは完全装備で槍の様な物を手にしている。
ドブブがいくら強いと言っても彼らには勝てるか分から無いし僕は戦えると思えないし戦えるとしても戦いたく無い。
それに貴族相手に反抗したら本当に命が危ない。
「ドブブ、逃げるよ」
僕はドブブを担いで大急ぎで彼女から逃げた。
丁度料理が出来上がった頃にドブブが上がって来た。
「うん、丁度ね」
僕がそう言うとドブブは「どれどれドブ~?」とこっちに向かって来た。
「サラダドブか~!」
ドブブは嬉しそうに僕の作ったサラダを眺める。
「ドブブは肉が好きかと思ったけど火を使えなかったから今日はサラダにしてみたんだ」
「早速食べても良いドブ!?」
ドブブは目をキラキラと輝かせて居る。
「勿論。どうぞ」
「戴きますドブ~!」
そう言って手を合わせるとドブブは野菜に食い付いた。
こう見ると猫と言うよりドッグフードを食べている犬に見えて来た……。
「そんなに焦って食べなくても良いよ。誰が取って食う訳でも無いし」
「美味しいドブ~! おかわりドブ!」
ドブブは皿を僕に渡しておかわりをせがんで来た。
「美味しいならいくらでもおかわりは有るけど気持ち悪く成ら無い様にしなよ」
僕はお皿にサラダを盛り付けながらドブブに言う。
ドブブは僕の話を聞いて居ない様だ。
「はい、次はゆっくり食べなよ」
僕がコトンとドブブの前に皿を置くと、また犬みたくサラダに食い付いた。
「ゆっくりって言ったろ……」
ドブブがここまで美味しいと言うなら僕も食べてみるか。
うん、この世界での初料理にしては中々の出来では無いのだろうか。
「ご馳走様でしたドブ~!」
ドブブは満足気に手を合わせて言った。
「美味しかったドブね~! ご飯を食べた後はゆっくりするか外で遊びたいドブ……」
「そうだね。そうしようか……」
僕がそう言い掛けると突然大きな音が屋敷に響いた。
ガンガン!
「なっ、何だドブ!?」
ドブブは大きな音にビックリして飛び上がった。
「何が有ったんだろう?」
この音は多分玄関のドアを叩いている音だ。
つまり目指すは玄関だ。
「玄関に急ぐドブ」
本当に何が有ったんだ。
まだこの家が建ってすぐなのに事件発生?
「ふぅ、やっと着いた」
二階分の階段を駆け下りて玄関に着いた。
「ドアを開けるドブよ」
ドブブの言う通り僕はそろっとドアを開けた。
そのドアの向こうには豪華な服を身に着けた女性が居た。
「ど、どうしました……?」
僕は突然の出来事におろおろとその女性に尋ねる。
何で金持ちそうな女性がこんな所に来てるんだ?
「どうしたじゃ無いわよ!」
いかつい声を女性が上げた。
「な、何だドブ?」
ドブブは大きな声に驚いて居る。
「は、ドブって何? あたしをバカにしてるの!?」
急に女性はキレて僕達を指差した。
「あ、あの、この家に何か用ですか?」
僕は凄くキレている女性を落ち着かせようと話し掛ける。
「用も何あんた達がここに居るって事に文句が有るのよ!」
あぁ、どうやら落ち着くどころか更に怒らせてしまった様だ。
「ドブと湊がここに居る事の何に文句が有るのかドブ?」
「大有りよ!」
あぁ、ドブブが更に火に油を注いでしまった様だ。
「ここら一帯は全て私の物なのよ! す、べ、て!」
そんなに全てを強調しなくても聞こえます……。
「私はこの国の貴族なのよ! 貴族の私に従わなければ貴方達の命はすぐにでもこの世から消え去るわよ!」
お貴族様だったのか……。
彼女に従わなければ本当に命の保証は無いようだ。
「わ、分かりました。従います。そ、それで僕達は何をすれば良いんでしょうか?」
僕は震えで上手く声が出ない。
「すぐにここから去りなさい! 命だけは見逃してやっても良いわ! ただし絶対にこの国の中には一生出入りを禁止するわ!」
ここから出て行けと……。
「そ、そんなのいやドブよ! せっかく湊と楽しく過ごそうって成ってたのに……」
ドブブがまた貴族に反対している。
「黙りなさい!」
ひぃ、僕にまで被害が……。
「う……分かったドブ……」
ドブブも抵抗を辞めたようだ。
「いい加減目障りね! さっさと出ていけ出ていけ!」
そう言って彼女は僕達を蹴ってきた。
「ひぃっ!」
どうやら後ろに従者が控えて居た様だ。
彼らは完全装備で槍の様な物を手にしている。
ドブブがいくら強いと言っても彼らには勝てるか分から無いし僕は戦えると思えないし戦えるとしても戦いたく無い。
それに貴族相手に反抗したら本当に命が危ない。
「ドブブ、逃げるよ」
僕はドブブを担いで大急ぎで彼女から逃げた。
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