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8.おウチに帰ろう。というか帰って来ました。
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長い間お待たせして申し訳ありませんでした。
ようやく元気になりました。
少しずつ書き進めていきたいと思います。
遅筆な為、皆様をお待たせするとは思いますが、これからも、よろしくお願いします!
これは、クマジローを退治した直後のお話し。
温かくて少しだけ硬い腕の中に横抱きにされながら、私は1人 顔を赤らめて俯いている。
美し過ぎるお顔があまりにも近くて…。
黒髪の美丈夫は、自らを「魔王」と名乗った。
艶やかな黒髪にアメジスト色の瞳、鍛え上げられた体躯とある意味不釣り合いな程に整った美しい顔立ち。
ともすると冷たい印象を受けかねないのに、時折向けられる視線は常に優しくて何故か甘い。
クマジローに襲われた恐怖から腰が抜けてしまった私と未だ私に抱えられている娘を軽々と抱き上げ家へと向かっていた。
その際、森の中を全力疾走した為に
汚れてしまった私達に浄化魔法もかけてくれる。
人見知りなど全くしない我が娘は、
突如として現れた久しぶりに見る母親以外の人物に興味津々だ。
どうやって此処に来たのか、
此処には何をしに来たのか、
いつまでいられるのか、
他にも色々な事を聞いていた。
娘はとてもお話しが好きで 幼い時から
良く喋っていた。
話し出したら止まらない…親の私でも時折ウンザリする、まさにマシンガントークだ。
私が若干引く位の言葉の猛攻にも関わらず 魔王さんは、少しも嫌な顔をせず
時折笑顔まで向けて、
幼子のつたない質問に1つ1つ丁寧に答えてくれていた。
魔王さんは、優しくてとても良い人なのだなぁと
ほんわかした温かい気持ちになった。
程なくして家に到着した私達。
中に入り、居間にあるソファへと優しく降ろされた。
私の少し乱れた髪を流れる様な動作で
優しく撫でつけ、耳にかけてくれる。
もちろん極上の笑顔で。
とくん、と胸の奥でもう随分前にしまい込んだままになっていた感情が動き出した様な気がして、顔が熱を持つ。
道すがら、すっかり魔王さんに懐いてしまった我が子は、家に着いてからも
魔王さんにくっついたまま仕切りに話し掛けている。
森の中では、産まれたての子鹿の様だった私の脚もすでに回復していた。
恐らく真っ赤になっている顔を落ち着かせる為キッチンへ行き、精霊さん達とお茶を入れて来た。
子供を私の横に座らせて 2人で助けてくれた事に何度もお礼を述べると、
魔王さんは優しく微笑んで頷いてくれた。
「貴女達が無事で良かった。
私は、神達から2人の護衛を任された。
これからは、私が必ず貴女達親子を守ると誓おう。」
一瞬前まで向かい側に座っていたはずの魔王さんは、いつの間にか私のそばに跪いて私の手を取り、指先に軽く口付けると美しい顔にトロけるような笑みを浮かべている。
先程からずっと魔王さんから漂う甘い雰囲気…少しも隠す事なく、真摯に向けられる思い…幾ら私が鈍くてもさすがに、気付いてしまう。
魔王さんの瞳の中にある「愛しい」という感情に。
(でも、魔王様は、無自覚です。というか、ママ殿への愛は、おそらくデフォルトです。標準装備です。)
ようやく元気になりました。
少しずつ書き進めていきたいと思います。
遅筆な為、皆様をお待たせするとは思いますが、これからも、よろしくお願いします!
これは、クマジローを退治した直後のお話し。
温かくて少しだけ硬い腕の中に横抱きにされながら、私は1人 顔を赤らめて俯いている。
美し過ぎるお顔があまりにも近くて…。
黒髪の美丈夫は、自らを「魔王」と名乗った。
艶やかな黒髪にアメジスト色の瞳、鍛え上げられた体躯とある意味不釣り合いな程に整った美しい顔立ち。
ともすると冷たい印象を受けかねないのに、時折向けられる視線は常に優しくて何故か甘い。
クマジローに襲われた恐怖から腰が抜けてしまった私と未だ私に抱えられている娘を軽々と抱き上げ家へと向かっていた。
その際、森の中を全力疾走した為に
汚れてしまった私達に浄化魔法もかけてくれる。
人見知りなど全くしない我が娘は、
突如として現れた久しぶりに見る母親以外の人物に興味津々だ。
どうやって此処に来たのか、
此処には何をしに来たのか、
いつまでいられるのか、
他にも色々な事を聞いていた。
娘はとてもお話しが好きで 幼い時から
良く喋っていた。
話し出したら止まらない…親の私でも時折ウンザリする、まさにマシンガントークだ。
私が若干引く位の言葉の猛攻にも関わらず 魔王さんは、少しも嫌な顔をせず
時折笑顔まで向けて、
幼子のつたない質問に1つ1つ丁寧に答えてくれていた。
魔王さんは、優しくてとても良い人なのだなぁと
ほんわかした温かい気持ちになった。
程なくして家に到着した私達。
中に入り、居間にあるソファへと優しく降ろされた。
私の少し乱れた髪を流れる様な動作で
優しく撫でつけ、耳にかけてくれる。
もちろん極上の笑顔で。
とくん、と胸の奥でもう随分前にしまい込んだままになっていた感情が動き出した様な気がして、顔が熱を持つ。
道すがら、すっかり魔王さんに懐いてしまった我が子は、家に着いてからも
魔王さんにくっついたまま仕切りに話し掛けている。
森の中では、産まれたての子鹿の様だった私の脚もすでに回復していた。
恐らく真っ赤になっている顔を落ち着かせる為キッチンへ行き、精霊さん達とお茶を入れて来た。
子供を私の横に座らせて 2人で助けてくれた事に何度もお礼を述べると、
魔王さんは優しく微笑んで頷いてくれた。
「貴女達が無事で良かった。
私は、神達から2人の護衛を任された。
これからは、私が必ず貴女達親子を守ると誓おう。」
一瞬前まで向かい側に座っていたはずの魔王さんは、いつの間にか私のそばに跪いて私の手を取り、指先に軽く口付けると美しい顔にトロけるような笑みを浮かべている。
先程からずっと魔王さんから漂う甘い雰囲気…少しも隠す事なく、真摯に向けられる思い…幾ら私が鈍くてもさすがに、気付いてしまう。
魔王さんの瞳の中にある「愛しい」という感情に。
(でも、魔王様は、無自覚です。というか、ママ殿への愛は、おそらくデフォルトです。標準装備です。)
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