上 下
60 / 62
第二部 第九章 初夜

初夜5 R18

しおりを挟む
 どうせ脱ぐのだから、と言った悟空だったが、玄奘は何も着ないのは落ち着かないと言ってバスローブを羽織った。磁路から誕生日プレゼントにもらった代物である。悟空は下半身にタオルを巻きつけたままの半裸である。

 普段の二人が一番長い時間を過ごすリビングで、今から二人でとっておきのことをする。玄奘にはまだ知らないこと、したことのないことがたくさんある。すべての秘密を悟空と一緒に解き明かしていくのだと思うと玄奘の心は踊った。

「悟空、ここに座って」

 玄奘が手を引いて悟空をソファに座らせた。床に座った玄奘は悟空の脚の間に身体を入れる。

「そんなところにいたらキスできませんよ」

 悟空にはこれからなにが起こるのか半ば予想がついているが、自分でも気づかないふりをしている。期待してから落胆するのは避けたいのだ。

「キスはあとでしよう。私も悟空を気持ちよくさせたいから、その……舐めてもいいだろうか」

 上目遣いにこちらを伺ってきた推しの威力はすさまじかった。手は悟空の膝に置かれ、バスローブの合わせ目からはちらりと乳首が覗いている。お願いの形式をとってはいても断られることは想定していない推しのおねだりに、悟空のそれは一気に充血する。

「え……っと……、おれは、あの……いいんですけど、玄奘は本当に良いんですか」

「良いに決まってるだろう?好きな人に気持ち良くなってもらいたいだけなんだから」

 好きな人、ということばを言う時に呟くようにして照れた玄奘に、悟空の心臓はどっどっどっと象の足踏みのような大きな音を立て始める。

「こんなに明るいが恥ずかしくないか?」

 タオルに手をかける前に玄奘が尋ねた。リビングの電気は煌々とついている。

「どちらかというと、舐める玄奘の顔がはっきり見えた方が……その……興奮します」

 言いながら恥ずかしくなった悟空は肘で顔を隠した。

「うん……じゃあ、見てて」

 つられるように頬を染めた玄奘であったが、タオルを外す手つきにためらいはなかった。すでに膨張したそれの頂点に口付ける。

「……っ」

 玄奘は亀頭の部分を口に含んだ。ぎこちなくだが頭をゆっくりと揺らしている。

「っく……」

「気持ち良いだろうか?」

「っいいです……すごく……」

 触覚の快感よりも視覚による快感の方が大きい気もするが、悟空のそれは今までに見たこともないほど膨れている。

「もう少し奥まで舐めた方がいいのか?」

「のどの奥まで入れると苦しいですから、全部口に入れなくてもいいです。根元の方は、あの、手で擦ってもらえたら……」

「わかった」

 にっこりした玄奘は言われるがままに、手と口で刺激を続けた。おずおずとした手つきと口の動きによる刺激自体はぎこちないが、その初々しさに悟空は身もだえしながら自分の中心を晒している。

「んっ、っく……」

「はぁ……あぁ……」

 清浄な玄奘の口の中を自分の陰部が侵している、という背徳感で悟空の興奮はみるみるうちに高まった。

 玄奘は口いっぱいに頬張りながら息を荒げている。悟空の屹立は何度かびくんと跳ねて、玄奘の頬を内側から押した。まだ舐められ始めてから数十秒ほどしか経っていないというのに限界が近い。

 悟空は手を伸ばして玄奘の赤い突起を弄りはじめた。

「ぁあっ、……悟空、……はぁ……舐められなくなるじゃないか」

 思わず一旦口を離してしまった玄奘が、艶を帯びた瞳で睨んでくるのがたまらない。

「一緒に……んっ、あっ……」

 悟空は玄奘の胸への刺激をやめない。もう舐められない玄奘は悟空のそれに熱い息を吹きかけながら手での刺激を続ける。

「ぁあっ、あぁっ……」

 悟空は達した。玄奘の顔にかからないようにとっさに避けたところ、胸元にねっちょりとした液がついた。

「あぁ、……すみません」

「私にも悟空をイかせることができて良かった……」

 安心したように言った玄奘は、胸元の液体を人差し指ですくって口に入れてみた。

「あっ、玄奘?」

 途端に玄奘は顔をしかめた。

「苦い……というか生ぐさい……のだな」

「……すみません」

「謝らなくていい。その……前に悟空は私のを飲んでいたから、どんな味がするのか気になっただけだ。妙な味のものを飲ませていたのだな。こちらこそ申し訳ない」

「そんなことっ。おれ、玄奘のものなら……なんでも飲めます」

 玄奘は優しく笑った。

「ふふ、ありがとう」

「ここ、拭きますね」

 悟空は腰元を隠していたタオルで玄奘の胸を拭いた。







 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?

名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。 そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________ ※ ・非王道気味 ・固定カプ予定は無い ・悲しい過去🐜 ・不定期

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

精霊の港 飛ばされたリーマン、体格のいい男たちに囲まれる

風見鶏ーKazamidoriー
BL
 秋津ミナトは、うだつのあがらないサラリーマン。これといった特徴もなく、体力の衰えを感じてスポーツジムへ通うお年ごろ。  ある日帰り道で奇妙な精霊と出会い、追いかけた先は見たこともない場所。湊(ミナト)の前へ現れたのは黄金色にかがやく瞳をした美しい男だった。ロマス帝国という古代ローマに似た巨大な国が支配する世界で妖精に出会い、帝国の片鱗に触れてさらにはドラゴンまで、サラリーマンだった湊の人生は激変し異なる世界の動乱へ巻きこまれてゆく物語。 ※この物語に登場する人物、名、団体、場所はすべてフィクションです。

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

日本一のイケメン俳優に惚れられてしまったんですが

五右衛門
BL
 月井晴彦は過去のトラウマから自信を失い、人と距離を置きながら高校生活を送っていた。ある日、帰り道で少女が複数の男子からナンパされている場面に遭遇する。普段は関わりを避ける晴彦だが、僅かばかりの勇気を出して、手が震えながらも必死に少女を助けた。  しかし、その少女は実は美男子俳優の白銀玲央だった。彼は日本一有名な高校生俳優で、高い演技力と美しすぎる美貌も相まって多くの賞を受賞している天才である。玲央は何かお礼がしたいと言うも、晴彦は動揺してしまい逃げるように立ち去る。しかし数日後、体育館に集まった全校生徒の前で現れたのは、あの時の青年だった──

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

処理中です...