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第二部 第二章 秘薬安駝駝
秘薬安駝駝5 R15
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玄奘と紅害嗣の手は無事に離れた。紅害嗣は逃げないよう納多に後ろ手に歯がいじめにされ、玄奘は悟空の胸に抱きしめられた。
「はあ、一件落着であるな」
胸を撫で下ろした磁路に、納得のいかない悟空はわめいた。
「一件落着がきいて呆れらぁ。おれは許すつもりはないぞ。玄奘を攫うような奴と音楽なんかやれるかよ!新曲はもうあいつ抜きでやるからなっ。そもそもジャニ西の楽曲に他の奴が入ってくんなって話なんだよ」
磁路と納多は、悟空を必死に宥める。
「紅害嗣に二度としないと誓わせる故、ここは大聖殿が大人になってはどうか」
「私も監視の目を強めるので、許してはいただけないか?プロジェクトが頓挫してはジャニ西にとっても紅害嗣にとっても損にしかならぬ」
それでも腕組みする悟空に、寄り添ったのは玄奘だった。
「悟空、あの者が紳士的だったのは本当だ。悟空が来る前に何も妙なことはされなかった」
でもおれが来てからキスしやがった、と悟空は内心むくれているが、あまりにもガキくさくて口には出せないでいる。
悟浄は感心したように言った。
「催淫効果のある媚薬でも盛るのではという心配が杞憂で安堵しておる。それにしても安駝駝とはな……。お主にしては控えめな選択である」
玉竜はうずくまる紅害嗣の肩に手を置いて言った。
「ねえ、紅害嗣。アンタはダメ人間だけどさ、ジャニ西の新曲に対しては真面目に取り組んでたじゃん。なんで全部だめにしちゃうような選択すんの」
紅害嗣は拗ねた瞳でぽつりと言った。
「俺は玄奘の心が欲しい……。無理に身体をつなごうとしても意味がない」
玄奘はその言葉にほろりとしたようだった。
紅害嗣の頭に優しく手を置こうとした玄奘だったが、悟空が手首をつかんで止めた。
「こんなやつに情けをかける必要なんてありません」
「情けではないよ」
玄奘は膝を折り、紅害嗣と視線を合わせて説いた。
「好ましい相手の心が欲しくなるのは人の性だ。しかし、それを願うならまず自分が努力をせねば。たとえば悟空は格好良くて優しくていつも私を助けてくれるだろう?こんなに魅力的な悟空の心が欲しくなるのは当然だ。しかし欲しい欲しいと駄々をこねていても話にならぬ。まず悟空に選ばれるのに相応しい人物にならねばならぬ。わかるな?」
玄奘はまるで尊い経典を読み解くように説諭しているが、酔っぱらいなので微妙に論点がずれている。それでも紅害嗣は頷いた。
「おれは別に猿の心は欲しくねえけど言いたいことはわかった」
「よしよし、わかれば良い。悟空は格好いいことがわかれば良い」
隣で聞いている悟空は尻の穴が痒くなり始めている。
(玄奘、もしかしておれのこと好きなんだろうか。)と一瞬思ったものの、そんなはずはないと打ち消す。
よく見れば、玄奘は頭の天辺まで赤くなっていた。
「玄奘……、身体が真っ赤じゃないですか。酔いが回ったんですね。冷やしましょうか?」
悟空が身体の熱を測ろうと玄奘の首元に手を当てると「……ぅん……」と悩ましげな声を出した。潤んだ瞳でまっすぐに悟空を見つめてくる。
「……悟空。……熱い。そなたの濡れた身体で私を冷ましてほしい……」
うぐっ、と悟空は思わず直立不動で立ち尽くした。こんなに色気のある瞳で見つめられてはたまらない。
玄奘はぎゅっと距離を詰め、慣れた様子で悟空と唇を合わせた。美しい推しの唇が近づいてくれば悟空も避けるわけにはいかない。
一度合わせてしまえばもう歯止めは効かなかった。全神経が唇に集中する。キスに慣れてきた玄奘の唇は、ためらいと戸惑いからは無縁だった。何度も角度を変えて唇を合わせるうちに、ついに悟空の唇が玄奘のそれを食んだ。
柔らかい。
桃の果実のように柔らかく潤った玄奘の唇を食んでいると、この世にこれ以上の幸せなどない気がして、周りに人がいることも忘れてしまう。悟空の手は玄奘の頰を包みこみ、玄奘は悟空の首に両手を巻きつけた。
「んっ…………んふぅ……」
ゆるんだ玄奘の唇から悟空の舌が口内に滑り込んだ。玄奘の舌を刺激するようにゆっくりと絡めあわせる。玄奘にとっては初めての快感である。
「……ぁふぁ……んはぁ……」
悔しそうに目を逸らす紅害嗣以外は全員二人の濃厚なキスを目に焼きつけた。
「んんっ…………んぁはぁ……」
まだまだキスを続けたいのは山々だったがそろそろ悟空の下半身は主張を始めてきた。衆人の前でこれ以上するわけにはいかない。
悟空は大変な覚悟を持って、唇を離した。玄奘は物足りなそうに「悟空……もっと……」と言いながら再び顔を近づけようとしたが、悟空は優しくしかし決然として玄奘を自分の肩に押しつけるように抱きしめ、キスには応じなかった。
「続きは素面のときにしましょう。これ以上は……だめです」
「絶対だぞ?約束を忘れたら許しはすまい。ほら、ゆびきりげんまんをしよう?」
明日起きてその約束を覚えていないのはおそらく玄奘の方だろうと思いながら、悟空は無の境地で玄奘と小指を絡ませた。
「はあ、一件落着であるな」
胸を撫で下ろした磁路に、納得のいかない悟空はわめいた。
「一件落着がきいて呆れらぁ。おれは許すつもりはないぞ。玄奘を攫うような奴と音楽なんかやれるかよ!新曲はもうあいつ抜きでやるからなっ。そもそもジャニ西の楽曲に他の奴が入ってくんなって話なんだよ」
磁路と納多は、悟空を必死に宥める。
「紅害嗣に二度としないと誓わせる故、ここは大聖殿が大人になってはどうか」
「私も監視の目を強めるので、許してはいただけないか?プロジェクトが頓挫してはジャニ西にとっても紅害嗣にとっても損にしかならぬ」
それでも腕組みする悟空に、寄り添ったのは玄奘だった。
「悟空、あの者が紳士的だったのは本当だ。悟空が来る前に何も妙なことはされなかった」
でもおれが来てからキスしやがった、と悟空は内心むくれているが、あまりにもガキくさくて口には出せないでいる。
悟浄は感心したように言った。
「催淫効果のある媚薬でも盛るのではという心配が杞憂で安堵しておる。それにしても安駝駝とはな……。お主にしては控えめな選択である」
玉竜はうずくまる紅害嗣の肩に手を置いて言った。
「ねえ、紅害嗣。アンタはダメ人間だけどさ、ジャニ西の新曲に対しては真面目に取り組んでたじゃん。なんで全部だめにしちゃうような選択すんの」
紅害嗣は拗ねた瞳でぽつりと言った。
「俺は玄奘の心が欲しい……。無理に身体をつなごうとしても意味がない」
玄奘はその言葉にほろりとしたようだった。
紅害嗣の頭に優しく手を置こうとした玄奘だったが、悟空が手首をつかんで止めた。
「こんなやつに情けをかける必要なんてありません」
「情けではないよ」
玄奘は膝を折り、紅害嗣と視線を合わせて説いた。
「好ましい相手の心が欲しくなるのは人の性だ。しかし、それを願うならまず自分が努力をせねば。たとえば悟空は格好良くて優しくていつも私を助けてくれるだろう?こんなに魅力的な悟空の心が欲しくなるのは当然だ。しかし欲しい欲しいと駄々をこねていても話にならぬ。まず悟空に選ばれるのに相応しい人物にならねばならぬ。わかるな?」
玄奘はまるで尊い経典を読み解くように説諭しているが、酔っぱらいなので微妙に論点がずれている。それでも紅害嗣は頷いた。
「おれは別に猿の心は欲しくねえけど言いたいことはわかった」
「よしよし、わかれば良い。悟空は格好いいことがわかれば良い」
隣で聞いている悟空は尻の穴が痒くなり始めている。
(玄奘、もしかしておれのこと好きなんだろうか。)と一瞬思ったものの、そんなはずはないと打ち消す。
よく見れば、玄奘は頭の天辺まで赤くなっていた。
「玄奘……、身体が真っ赤じゃないですか。酔いが回ったんですね。冷やしましょうか?」
悟空が身体の熱を測ろうと玄奘の首元に手を当てると「……ぅん……」と悩ましげな声を出した。潤んだ瞳でまっすぐに悟空を見つめてくる。
「……悟空。……熱い。そなたの濡れた身体で私を冷ましてほしい……」
うぐっ、と悟空は思わず直立不動で立ち尽くした。こんなに色気のある瞳で見つめられてはたまらない。
玄奘はぎゅっと距離を詰め、慣れた様子で悟空と唇を合わせた。美しい推しの唇が近づいてくれば悟空も避けるわけにはいかない。
一度合わせてしまえばもう歯止めは効かなかった。全神経が唇に集中する。キスに慣れてきた玄奘の唇は、ためらいと戸惑いからは無縁だった。何度も角度を変えて唇を合わせるうちに、ついに悟空の唇が玄奘のそれを食んだ。
柔らかい。
桃の果実のように柔らかく潤った玄奘の唇を食んでいると、この世にこれ以上の幸せなどない気がして、周りに人がいることも忘れてしまう。悟空の手は玄奘の頰を包みこみ、玄奘は悟空の首に両手を巻きつけた。
「んっ…………んふぅ……」
ゆるんだ玄奘の唇から悟空の舌が口内に滑り込んだ。玄奘の舌を刺激するようにゆっくりと絡めあわせる。玄奘にとっては初めての快感である。
「……ぁふぁ……んはぁ……」
悔しそうに目を逸らす紅害嗣以外は全員二人の濃厚なキスを目に焼きつけた。
「んんっ…………んぁはぁ……」
まだまだキスを続けたいのは山々だったがそろそろ悟空の下半身は主張を始めてきた。衆人の前でこれ以上するわけにはいかない。
悟空は大変な覚悟を持って、唇を離した。玄奘は物足りなそうに「悟空……もっと……」と言いながら再び顔を近づけようとしたが、悟空は優しくしかし決然として玄奘を自分の肩に押しつけるように抱きしめ、キスには応じなかった。
「続きは素面のときにしましょう。これ以上は……だめです」
「絶対だぞ?約束を忘れたら許しはすまい。ほら、ゆびきりげんまんをしよう?」
明日起きてその約束を覚えていないのはおそらく玄奘の方だろうと思いながら、悟空は無の境地で玄奘と小指を絡ませた。
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