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極上 クリスマス編「欲しいものはきっと」 

8 い

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 いよいよインスタライブも間近に迫り、ジャニ西の面々は衣装合わせとしてパジャマを試着している。

 凛々しさを引き立てるような紅のパジャマを着た悟空は、そのパジャマの色にも劣らぬほど顔を赤くして怒っていた。

「なぁんで、サイズがこんなに合わねーんだよっ」

 問題となっているのは八戒である。きちんと身長と体重を申告させて作成したアバターでサイズ確認して購入したにもかかわらず、その布地はぴったりと身体に張りついている。緑の地に華やかな柄が入ったパジャマはもこもこツリー風のイメージで八戒に見立てたのであるが、身体の線があらわになりすぎてもはやダイビングスーツのようである。

「アバターの着用イメージとだいぶ……違う」

 玄奘がショックを隠しきれず口に手をあててうめいた。

「あれぇ?買いに行った時から少し太っちまったかな」

 すっとぼける八戒の頭に、悟空が拳を落とす。

「そんなわけねーだろ。なんでお前正直に体重を言わねえんだよ。おれたちにうそついたって仕方ねえだろう」

「そんなこと言ったって、ちょっとでも自分をよく見せたいと思う俺のいじらしい乙女心をわかってくれよ。そういうところを踏まえて、申告よりも少し大きめを買ってくるのが兄貴分としての配慮じゃねえのかよ」

「オメーの面の厚さは百科事典並みだよ」 

 マネージャーの磁路は終わらない諍いを見ていられず、二人を押し留めながら言った。

「今からサイズ変更してきてもよいのだぞ。私がひとっ走り行ってこようか」

「いや、もうそれ着とけよ。オメーが自分で蒔いた種だろ?」 

 悟空は腕を組み、おかんむりである。彼としては玄奘がせっかくいろいろ考えて選んだパジャマが無駄になるのが許せないのだ。

「いやだいやだ。窮屈だしこんなんじゃ何にも食べられないじゃないか。じゃあ自前のジャージでいいよ。このパジャマは視聴者プレゼントにでもすればいいじゃん。限定一名様に俺の汗と匂いつきパジャマを差し上げましょう!」

「誰も欲しがらねえだろ」と悟空は言ったが、磁路は
「ええい、この際仕方なかろう。クリスマスゆえ、プレゼント企画というのも、らしくてまた良い。悟浄のサイズは問題ないのだな?」と受け流す。

 悟浄は立ち上がってくるりとその場で回る。パジャマは派手な柄だが、悟浄の陰気な顔に不思議とマッチしている。

「温かくて軽い生地だな。寝巻きにしておくのがもったいないくらいでござる」

「気に入ってくれて良かった、悟浄。それとサイズもぴったりで安心した。よく似合っているぞ」

 玄奘の誉め言葉に、悟浄は子どものように無邪気な笑顔を向けた。本当にパジャマが気に入ったらしい。

「なんだよなんだよ、玄奘。おれも似合ってるって褒めて欲しかったなあ」

 八戒は地団駄を踏むが、
「自業自得だ」と悟空にぺしっと頭をはたかれた。
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