40 / 49
四月二十七日(水)午後 喫茶店
しおりを挟む
麗華は立ち並ぶ高層ビル群を眩しそうに見上げた。
指定された場所は、駅の西口ビル街にある地下の喫茶店だった。
待ち合わせ時間丁度に、麗華は喫茶店のドアを開けた。ランチタイムを終えた店内は空席が目立った。
ジャズが聞こえる。
そして、一番奥のテーブルに、その人だとすぐにわかるシルエットが見えた。
黒いジャケットに黒い髪。細身の身体。
こちらに背を向けていたが、間違いなく白井だろう。
麗華はテーブルに近づき、向かいのイスに回り込みながら挨拶をした。
「こんにちは。お待たせしました。白井さん」
面と向かうと、やはり白井だったが、その顔は少し呆けた表情を見せた。
「麗華さんですか」
「はい」
麗華は苦笑いした。
夜の自分しか知らない人間には驚かれるだろう。
麗華はグレーのスーツを着ていた。
化粧も薄く、眼鏡をしている。
どこにでもいる普通の四十歳の女だ。
「あのメイクと服装は仕事だけ。普段はこういう女なの。ガッカリした?」
麗華は、白井と同じくコーヒーを注文した。
しばらく、食器の音だけが二人の間に流れる。
白井はいつもの薄い表情を取り戻し、唐突に言った。
「でも、それが自然で良いんだと思います」
「え?」
それが、薄化粧についての感想なのだとわかるまで少し時間がかかった。
麗華は昨日のやりとりを思い出してみた。
この男は、平然と心を揺さぶってくる。
それは一瞬とても嬉しくなるものだけど、真意がわからず結局はやきもきする。
だから麗華は少し意地悪く答えた。
「自然のアラフォーだって言いたいのね。良いわ自覚してるの」
「はあ」
「けど、オバサンもそれなりに頑張っているのよ。若作りと言われようとね」
白井はコーヒーをすすった。
「僕は女性のことはよくわからないですが、頑張って若作りすることが悪いとも思わないです。健康的であれば」
白井が麗華にシュガーポットを差し出した。
湯気が立つコーヒーの闇を麗華は見つめた。
「白井さん」
「はい」
「あなたが優しい人なのはわかっているわ。それがお世辞なのも」
あの仕事をしている自分が、一番わかる。
「お世辞?」
白井は首をかしげる。
「そう思わせましたか」
「だって、私はあなたより十歳は上なのよ」
「はあ」
白井の表情は前髪でよく見えなかったが、口元に少し戸惑いが見て取れた。
そして、小さく息を吐いた。
「僕は口下手でして」
「いいのよ。気にしないで」
麗華が話を打ち切ろうとした時、
「麗華さんは、夜の姿だと若く見えますが、僕は今の方が話しやすいです。少し安心しました」
白井は小さく頭を垂れた。
――。
今度は麗華が戸惑う番だった。
話しやすい、そんなこと言われたことがあっただろうか。
麗華は、無言でブラウンシュガーを一つ、コーヒーに落とした。
「ところでご用件は何ですか」
白井は腕時計を確認した。
仕事の合間に来ていることを思い出した。
自分の用向きを伝えなくては。
しかし、それが不可能なことはわかっていた。
単純に、この男に会いたかった。
白井と話がしたかったのだ。
その低く穏やかな声を聞いていたくて、昨夜わがままを言った。
「白井さん」
「はい」
その声を。
シュガーポットを引っ込めようとした白井の手に触れた。
温かい。
――この人はどうして。
「れ、麗華さん?」
「私の……何が気にかかるの?」
この聞き方は正しくない。
私をどう思っているのか――。
しかし、手を掴まれ硬直したままの白井を見て、麗華は我に返った。
「ごめんなさい。あの、私、何を言っているのかしら」
麗華は慌てて手を離し、何もしゃべらない白井を恐る恐る見上げた。
すると、白井も麗華の顔を恐る恐る見ていた。
「……確かに気になります」
ため息とともに白井は言った。
「僕は人と話すのが下手ですし、言葉を飾るのも苦手なので直接的にしか言えませんが、聞きたいことが二つあります」
「平気よ」
「では……まず一つ」
白井は小さく息を吐いた。
「あなたは、アヤメさんというホステスが嫌いなのですか」
麗華は思わず身を震わせた。
目の前の男は微動だにしない。
「白井さん……」
「以下、僕の感想です」
表情が読めない。
「昨晩、アヤメさんの様子がおかしくなりました。急に具合が悪くなったのだと思いますけど、リナさんが三田興産の社長のテーブルについた時から不思議でした」
「どういうこと?」
「あなたが、アヤメさんのことを少しも心配する様子がなかったので」
麗華はコーヒーの渦を見つめる。
白井はかまわず続けた。
「その後、同席していた藤石はやたらとアヤメさんを気にしていましたが」
「そうね」
「それが、あなたも気になっていたようですね。突然、若さや美貌について語り出した」
麗華は顔を上げることができなかった。
確かに、昨夜の自分はどうかしていた。
「そしてもう一つは」
白井の声が苦しそうに聞こえた。
「あの男は、あなたの何ですか」
胸が波打った。
もう、見透かされているのか。
「僕は、このことが気になり始めてからずっと」
鼓動が早くなる。
「なぜだか、あなたの声が泣きそうに聞こえてくるんですよ」
――。
麗華は、無意識に手を伸ばしていた。
何かを捕まえたくて彷徨う右手。
――どうかしている。
その時、白井が戸惑いながらも自分の手を差し出した。
――温かい。
麗華はもう止められなかった。
涙がこぼれる。
今まで塞き止めていたものが、一気に溢れ出した。
「逃げられたのよ……っ」
テーブルに置かれた、もう一方の手に力がこもり、血管が強く浮き出て小刻みに震えた。
「私に心配するなとか言って卑怯な男よ。一度は結婚を迫ってきたのに、人を守銭奴呼ばわりして、見せしめのように他の女とじゃれ合っては私の様子を見て楽しんでる。私は何もかも失ったのに。一人で耐えて」
にわかに脱力した左手で腹をさする。
ここに、存在した命。
静かに――逝った命。
「あの人の子を」
「麗華さん」
手が包まれる。
白井の両手の中で、自分の右手が別の生き物のように脈打った。
「すみません。もう、いいです」
そして両手を離した。
「待って」
「……」
白井は水色のハンカチを差し出した。
受け取ったものの、麗華は下を向きなおも泣き続けた。
お互い、しばらく何も話さなかった。
麗華は必死に平静さを取り戻そうとした。
店の人間すら知らない事実。
それを初めて店に来ただけの客に――。
けれど、麗華はわかっていた。
ずっと誰かに聞いて欲しかったのだ。
それが、白井でよかったのかもしれない。
麗華は自分のハンドバックからハンカチを取り出すと、水色のハンカチを白井に返した。特に何も言うことなく、白井も受け取る。
「ごめんなさい。呆れたでしょ」
何とか微笑んでみせる。
「水商売なんてこんなものよ」
「……は、あ……」
「いちいち悲観していたら生きていけないものね」
「……」
麗華はうつむく白井を見つめた。
前髪で完全に顔を覆われている。
その細身の身体は微動だにしない。
「余計な詮索でした。すみませんでした」
低い声が小さく聞こえた。
――どうして。
どうして、あなたは。
白井が顔を上げた。
いつもの、白く何の感情も見えない顔だ。
麗華は、突然泣いてしまったことに、急に恥ずかしさと悔しさが込み上げてきた。この沈黙を破るためにも、どうにか自分を奮い立たせた。
「こっちこそ、ごめんなさいね」
自分でも無理をしているのがわかる。
「白井さんの言うとおり、私は三田にもアヤメにも変な敵対心があると思う。でも、だから何かしてやりたいわけじゃないわ。どうにも出来ないんだから」
「はあ」
白井はそれ以上食い下がらなかったが、どこか納得できないような相槌にも思えた。
表情が読めない相手への当て推量かもしれないけれど――。
店のBGMがピアノ曲に変わっていた。
指定された場所は、駅の西口ビル街にある地下の喫茶店だった。
待ち合わせ時間丁度に、麗華は喫茶店のドアを開けた。ランチタイムを終えた店内は空席が目立った。
ジャズが聞こえる。
そして、一番奥のテーブルに、その人だとすぐにわかるシルエットが見えた。
黒いジャケットに黒い髪。細身の身体。
こちらに背を向けていたが、間違いなく白井だろう。
麗華はテーブルに近づき、向かいのイスに回り込みながら挨拶をした。
「こんにちは。お待たせしました。白井さん」
面と向かうと、やはり白井だったが、その顔は少し呆けた表情を見せた。
「麗華さんですか」
「はい」
麗華は苦笑いした。
夜の自分しか知らない人間には驚かれるだろう。
麗華はグレーのスーツを着ていた。
化粧も薄く、眼鏡をしている。
どこにでもいる普通の四十歳の女だ。
「あのメイクと服装は仕事だけ。普段はこういう女なの。ガッカリした?」
麗華は、白井と同じくコーヒーを注文した。
しばらく、食器の音だけが二人の間に流れる。
白井はいつもの薄い表情を取り戻し、唐突に言った。
「でも、それが自然で良いんだと思います」
「え?」
それが、薄化粧についての感想なのだとわかるまで少し時間がかかった。
麗華は昨日のやりとりを思い出してみた。
この男は、平然と心を揺さぶってくる。
それは一瞬とても嬉しくなるものだけど、真意がわからず結局はやきもきする。
だから麗華は少し意地悪く答えた。
「自然のアラフォーだって言いたいのね。良いわ自覚してるの」
「はあ」
「けど、オバサンもそれなりに頑張っているのよ。若作りと言われようとね」
白井はコーヒーをすすった。
「僕は女性のことはよくわからないですが、頑張って若作りすることが悪いとも思わないです。健康的であれば」
白井が麗華にシュガーポットを差し出した。
湯気が立つコーヒーの闇を麗華は見つめた。
「白井さん」
「はい」
「あなたが優しい人なのはわかっているわ。それがお世辞なのも」
あの仕事をしている自分が、一番わかる。
「お世辞?」
白井は首をかしげる。
「そう思わせましたか」
「だって、私はあなたより十歳は上なのよ」
「はあ」
白井の表情は前髪でよく見えなかったが、口元に少し戸惑いが見て取れた。
そして、小さく息を吐いた。
「僕は口下手でして」
「いいのよ。気にしないで」
麗華が話を打ち切ろうとした時、
「麗華さんは、夜の姿だと若く見えますが、僕は今の方が話しやすいです。少し安心しました」
白井は小さく頭を垂れた。
――。
今度は麗華が戸惑う番だった。
話しやすい、そんなこと言われたことがあっただろうか。
麗華は、無言でブラウンシュガーを一つ、コーヒーに落とした。
「ところでご用件は何ですか」
白井は腕時計を確認した。
仕事の合間に来ていることを思い出した。
自分の用向きを伝えなくては。
しかし、それが不可能なことはわかっていた。
単純に、この男に会いたかった。
白井と話がしたかったのだ。
その低く穏やかな声を聞いていたくて、昨夜わがままを言った。
「白井さん」
「はい」
その声を。
シュガーポットを引っ込めようとした白井の手に触れた。
温かい。
――この人はどうして。
「れ、麗華さん?」
「私の……何が気にかかるの?」
この聞き方は正しくない。
私をどう思っているのか――。
しかし、手を掴まれ硬直したままの白井を見て、麗華は我に返った。
「ごめんなさい。あの、私、何を言っているのかしら」
麗華は慌てて手を離し、何もしゃべらない白井を恐る恐る見上げた。
すると、白井も麗華の顔を恐る恐る見ていた。
「……確かに気になります」
ため息とともに白井は言った。
「僕は人と話すのが下手ですし、言葉を飾るのも苦手なので直接的にしか言えませんが、聞きたいことが二つあります」
「平気よ」
「では……まず一つ」
白井は小さく息を吐いた。
「あなたは、アヤメさんというホステスが嫌いなのですか」
麗華は思わず身を震わせた。
目の前の男は微動だにしない。
「白井さん……」
「以下、僕の感想です」
表情が読めない。
「昨晩、アヤメさんの様子がおかしくなりました。急に具合が悪くなったのだと思いますけど、リナさんが三田興産の社長のテーブルについた時から不思議でした」
「どういうこと?」
「あなたが、アヤメさんのことを少しも心配する様子がなかったので」
麗華はコーヒーの渦を見つめる。
白井はかまわず続けた。
「その後、同席していた藤石はやたらとアヤメさんを気にしていましたが」
「そうね」
「それが、あなたも気になっていたようですね。突然、若さや美貌について語り出した」
麗華は顔を上げることができなかった。
確かに、昨夜の自分はどうかしていた。
「そしてもう一つは」
白井の声が苦しそうに聞こえた。
「あの男は、あなたの何ですか」
胸が波打った。
もう、見透かされているのか。
「僕は、このことが気になり始めてからずっと」
鼓動が早くなる。
「なぜだか、あなたの声が泣きそうに聞こえてくるんですよ」
――。
麗華は、無意識に手を伸ばしていた。
何かを捕まえたくて彷徨う右手。
――どうかしている。
その時、白井が戸惑いながらも自分の手を差し出した。
――温かい。
麗華はもう止められなかった。
涙がこぼれる。
今まで塞き止めていたものが、一気に溢れ出した。
「逃げられたのよ……っ」
テーブルに置かれた、もう一方の手に力がこもり、血管が強く浮き出て小刻みに震えた。
「私に心配するなとか言って卑怯な男よ。一度は結婚を迫ってきたのに、人を守銭奴呼ばわりして、見せしめのように他の女とじゃれ合っては私の様子を見て楽しんでる。私は何もかも失ったのに。一人で耐えて」
にわかに脱力した左手で腹をさする。
ここに、存在した命。
静かに――逝った命。
「あの人の子を」
「麗華さん」
手が包まれる。
白井の両手の中で、自分の右手が別の生き物のように脈打った。
「すみません。もう、いいです」
そして両手を離した。
「待って」
「……」
白井は水色のハンカチを差し出した。
受け取ったものの、麗華は下を向きなおも泣き続けた。
お互い、しばらく何も話さなかった。
麗華は必死に平静さを取り戻そうとした。
店の人間すら知らない事実。
それを初めて店に来ただけの客に――。
けれど、麗華はわかっていた。
ずっと誰かに聞いて欲しかったのだ。
それが、白井でよかったのかもしれない。
麗華は自分のハンドバックからハンカチを取り出すと、水色のハンカチを白井に返した。特に何も言うことなく、白井も受け取る。
「ごめんなさい。呆れたでしょ」
何とか微笑んでみせる。
「水商売なんてこんなものよ」
「……は、あ……」
「いちいち悲観していたら生きていけないものね」
「……」
麗華はうつむく白井を見つめた。
前髪で完全に顔を覆われている。
その細身の身体は微動だにしない。
「余計な詮索でした。すみませんでした」
低い声が小さく聞こえた。
――どうして。
どうして、あなたは。
白井が顔を上げた。
いつもの、白く何の感情も見えない顔だ。
麗華は、突然泣いてしまったことに、急に恥ずかしさと悔しさが込み上げてきた。この沈黙を破るためにも、どうにか自分を奮い立たせた。
「こっちこそ、ごめんなさいね」
自分でも無理をしているのがわかる。
「白井さんの言うとおり、私は三田にもアヤメにも変な敵対心があると思う。でも、だから何かしてやりたいわけじゃないわ。どうにも出来ないんだから」
「はあ」
白井はそれ以上食い下がらなかったが、どこか納得できないような相槌にも思えた。
表情が読めない相手への当て推量かもしれないけれど――。
店のBGMがピアノ曲に変わっていた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
眠らせ森の恋
菱沼あゆ
キャラ文芸
新米秘書の秋名つぐみは、あまり顔と名前を知られていないという、しょうもない理由により、社長、半田奏汰のニセの婚約者に仕立て上げられてしまう。
なんだかんだで奏汰と同居することになったつぐみは、襲われないよう、毎晩なんとかして、奏汰をさっさと眠らせようとするのだが――。
おうちBarと眠りと、恋の物語。

後宮の才筆女官
たちばな立花
キャラ文芸
後宮の女官である紅花(フォンファ)は、仕事の傍ら小説を書いている。
最近世間を賑わせている『帝子雲嵐伝』の作者だ。
それが皇帝と第六皇子雲嵐(うんらん)にバレてしまう。
執筆活動を許す代わりに命ぜられたのは、後宮妃に扮し第六皇子の手伝いをすることだった!!
第六皇子は後宮内の事件を調査しているところで――!?

月灯
釜瑪 秋摩
キャラ文芸
ゆったりとしたカーブを描くレールを走る単線は駅へと速度を落とす。 白樺並木の合間にチラリとのぞく大きなランプがたたえる月のような灯。 届かなかった思いを抱えてさまよい、たどり着いたのは……。 少しだけ起こる不思議の中に人の思いが交差する。
本当にあった怖い話
邪神 白猫
ホラー
リスナーさんや読者の方から聞いた体験談【本当にあった怖い話】を基にして書いたオムニバスになります。
完結としますが、体験談が追加され次第更新します。
LINEオプチャにて、体験談募集中✨
あなたの体験談、投稿してみませんか?
投稿された体験談は、YouTubeにて朗読させて頂く場合があります。
【邪神白猫】で検索してみてね🐱
↓YouTubeにて、朗読中(コピペで飛んでください)
https://youtube.com/@yuachanRio
※登場する施設名や人物名などは全て架空です。

【中学突入!】転生魔王は寺に生まれる
うどん五段
ファンタジー
聖女に封印される際、魔王は聖女を道連れにした。
しかし、魔王の力は余りにも強く、その魂まで封印に捉えることが出来なかった。
魔王の魂は時空の狭間を彷徨い続け、とある世界に転生を果たす――。
目が覚めた魔王は自分が<現実世界>と言う名の<異世界>に転生した事を知る。
同時に、聖女も同じ<現実世界>に転生していた。
魔王が転生した先はなんと――寺だった。
寺の長男、寺の跡取り息子として、聖女に想いを寄せながら成長していくと、今度は勇者が妹として転生してきた!
異世界(?)での生活はどうなるのか!
聖女との今後は!?
勇者の他の仲間は一体どこへ……。
悟りを開きし魔王のほのぼのラブコメディかもしれない。
=============
他サイトでも公開中です。
ママ作家な為、更新が出来ない場合があります。
(子供の休みや急な発熱など)
予めご了承くださいませ。

秘伝賜ります
紫南
キャラ文芸
『陰陽道』と『武道』を極めた先祖を持つ大学生の高耶《タカヤ》は
その先祖の教えを受け『陰陽武道』を継承している。
失いつつある武道のそれぞれの奥義、秘伝を預かり
継承者が見つかるまで一族で受け継ぎ守っていくのが使命だ。
その過程で、陰陽道も極めてしまった先祖のせいで妖絡みの問題も解決しているのだが……
◆◇◆◇◆
《おヌシ! まさか、オレが負けたと思っておるのか!? 陰陽武道は最強! 勝ったに決まっとるだろ!》
(ならどうしたよ。あ、まさかまたぼっちが嫌でとかじゃねぇよな? わざわざ霊界の門まで開けてやったのに、そんな理由で帰って来ねえよな?)
《ぐぅっ》……これが日常?
◆◇◆
現代では恐らく最強!
けれど地味で平凡な生活がしたい青年の非日常をご覧あれ!
【毎週水曜日0時頃投稿予定】

彼女のことは許さない
まるまる⭐️
恋愛
「彼女のことは許さない」 それが義父様が遺した最期の言葉でした…。
トラマール侯爵家の寄り子貴族であるガーネット伯爵家の令嬢アリエルは、投資の失敗で多額の負債を負い没落寸前の侯爵家に嫁いだ。両親からは反対されたが、アリエルは初恋の人である侯爵家嫡男ウィリアムが自分を選んでくれた事が嬉しかったのだ。だがウィリアムは手広く事業を展開する伯爵家の財力と、病に伏す義父の世話をする無償の働き手が欲しかっただけだった。侯爵夫人とは名ばかりの日々。それでもアリエルはずっと義父の世話をし、侯爵家の持つ多額の負債を返済する為に奔走した。いつかウィリアムが本当に自分を愛してくれる日が来ると信じて。
それなのに……。
負債を返し終えると、夫はいとも簡単にアリエルを裏切り離縁を迫った。元婚約者バネッサとよりを戻したのだ。
最初は離縁を拒んだアリエルだったが、彼女のお腹に夫の子が宿っていると知った時、侯爵家を去る事を決める…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる