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四月二十六日(火)夜 パブ・ホルン
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「ウギャアーッ可愛いいぃ!」
「いやだあ、僕いくつなの?」
「こちらも素敵ねえ。アタシは、こういうミステリアスな人が好き」
突然、大柄な女に腕を掴まれ――土地家屋調査士の白井は硬直した。
「あら、初めてなの?うふ」
「いや、仕事の付き合いだけですから……」
「まあ……、いい声ねえ」
身動き取れない白井の腕を藤石が強引に引っ張り、ホステスの一人に言った。
「すみませんねえ。紹介されたから来たものの、予想以上の接客パワーで驚きました。良いですね、場末な感じが」
「うふふ、誰の紹介なの?」
「宇佐見です」
きゃあと歓声が上がった。
「ウサちゃんのお友達だったら、たっぷりサービスしなきゃあ」
「どうぞお構いなく」
藤石は鼻息が荒いホステスの申し出をやんわりと断った。
――予感はしていたけど、予想以上に疲れそうだな。
今朝、白井は藤石からの【誘い】に、只ならぬものをすでに感じていた。
藤石は下戸で、積極的に飲みに誘うことはほぼない。つまり、この誘いには何かの思惑があり、先日の貸しをさっそく返させようという魂胆に違いなかった。
いつも詳細が聞かされることはなく、だいたい酷い目に逢うことはわかっているのだが、有平家と鹿端家の諍いを未然に防いでくれた恩は確かに感じていた。
だから、白井は今日はいつも以上に大人しく追従してきたのだが――。
――ウサさんも絡んでいるのか。
白井はさらに頭痛も感じ始めた。
そこへ、奥から少し若いホステスが現れた。
春らしいピンクのドレスを身にまとっている。
「藤石さん!」
「ああ、リナさん。だいぶ化けちゃったね。CG加工かな」
「やだ、ひっどぉい」
「残念だよ。俺は昼間のリナさんだったら、何されてもいいのにな」
藤石が小声で耳元に囁くと、リナと言われたホステスが頬を赤らめた。そして、嬉しそうに藤石と白井の腕を引きながら奥の席へと連れて行く。
白井は藤石に声をかけた。
「場慣れしてますねフジさん。キャバクラとかは、嫌いだったはずなのに」
「言っただろう。俺は仕事のためなら、いかようにも演じられる男だ」
「わかりますよ。眼鏡まで外してるくらいだし。というか、仕事なんですか?」
それに対して藤石は怪しく笑った。
「俺は、条件付きでお前の筆界問題訴訟を未然に防いでやったんだ。忘れてないな?」
「覚えていますよ。だから今日は、苦手な僕も仕方なくついてきたんです」
三人が腰を掛けると、リナが藤石に囁いた。
「じゃあ、麗華さんを指名してください」
それを聞いた白井は、思わず二人を見つめてしまった。
ホステスが、客に対して別の者を指名しろなどと言うことがあるのだろうか。
腑に落ちない白井を、二人は真剣な表情で見つめ返した。
「そういうことだ、シロップ」
「あの、まったく意味がわかりませんけど」
「シロップくん。私の大事な先輩のために今日はヨロシクね」
「はい?」
「何度も言うが、お前は出来る子だ。俺も援護射撃するから心配するな」
白井は心から不安になった。
藤石はわざとらしくリナに向かって麗華というホステスを呼ぶように言った。
リナもわざとらしく、返事をする。
何だこの茶番は。
何が仕組まれているのだ。
しばらくすると、クリーム色のドレスを来た細身のホステスが現れた。
他のホステスに比べると少し気品があるように見える。
年齢は四十歳くらいだろうか。
柔らかい笑みを浮かべながら指名を受けたホステス――麗華は藤石と白井の間に座った。
「こんばんは、いらっしゃいませ。今日はありがとうございます」
「こんばんは」
自動的に白井も言葉を返した。すると、藤石も柔和な笑みを浮かべた。
「麗華さん初めまして。宇佐見の紹介で来た藤石です。そっちは白井といいます」
「ウサちゃんの?嬉しいわ。楽しんでくださいね」
ほどなくシャンパンが運ばれて四人で乾杯をした。
麗華が白井に話しかけてきた。
「今日は多くのお店の中からこちらを選んでいただいて、ありがとうございます」
「はあ」
「うふふ。こういう場所は初めてかしら?」
麗華が慣れた笑みを浮かべて白井の顔を見つめたが、白井は無表情で答えた。
「はあ。仕事の付き合いでごく稀に来ます」
「あら、そうなんですね。今日はプライベートですか?」
「いえ、僕はただ、命じられただけで……」
そう言ったところで藤石が口をはさんだ。
「いやいやいやいや、もう俺たちみたいな疲れ果てた男は、落ち着いた年上の女性に癒されたいんですよ。宇佐見くんは良い店を知っているもんだ。そうだよね、白井くん」
「はあ」
何やら必死な藤石に、白井はとりあえず話を合わせることにした。小柄な司法書士すでにコーラを飲んでいる。
――そこまでして狙いたい仕事、ということかな。
一方で麗華は絶えず笑みを向けてくる。
「白井さんの声は低くて素敵ね」
「そうでしょうか……」
白井は適当に答えながら酒を作る麗華の指先を見つめた。
「綺麗な手ですね」
「え?」
単純に感想を述べただけで他意はない。自分も褒められたから、何か褒めてやらねばという軽い反射みたいなものだった。
白井はそれ以上は何も言わず作られた酒に口をつけた。
麗華が声を立てて笑った。
「変わった方ね白井さんは。ウサちゃんのお友達はみんなこうなのかしら」
白井は何となく不名誉な気持ちになったが、はあと短く答えた。
隣では藤石とリナが何やらヒソヒソと話をしている。
――今度は何をするつもりなんだ。
「あら、白井さん。リナちゃんの方が気になるの?」
麗華が少し寂しそうな声を出した。
「え?」
「お席、変わりましょうか?」
このやりとりを聞いたリナが、気まずそうな顔をした。
しかし藤石は笑みを浮かべて、リナに席を変わるように言った。
「いいんですか?」
リナが小声で言う。
藤石は何やらスマートホンを操作しながらリナの耳元で何か囁いた。
それに対してリナが軽く頷く。
――本当に、僕はどうすれば。
困惑する白井をよそに、リナが軽やかに隣に座る。
「シロップくん」
そして、グイっと顔を寄せてきた。いつも無表情の白井もさすがに驚きの色を隠せなかった。
「は、はあ」
「全部お話するわ。だからお喋りに夢中のフリをして」
白井は言われるままに少し身を屈めるようにすると、リナは小声で話し始めた。
「今日はね、二つの目的のために、藤石さんに来ていただいたの」
「はあ」
「一つは藤石さんの仕事に関することらしいけど、そのあたりは私も詳しく聞いてないわ。もう一つは、そちらにいる麗華さんを元気にさせたいの」
白井は、やはり無表情でリナを見た。
しかし、何を感じ取ったのか、リナは頷いてみせた。
「この二つの目的のキーパーソンがもうすぐ来店するわ。ニヤニヤした男よ」
「誰です?」
「まずは、その正体をハッキリさせるのよ」
「知らないんですか……」
「でも、そいつは麗華さんの元上客だった人物なのよ」
「元上客ということは、今は違うんですね」
「賢いわ、シロップ君」
「はあ」
白井は首をかしげながらも続きを促した。次第にリナの声に熱がこもっていく。
「そいつは結婚しているのに、今はアヤメというホステスに骨抜きにされているの。不倫よ不倫。ホラ、許せなくなってきたでしょ?」
「はあ、いや、はい」
何だか面倒な話だった。
この段階で、誰よりも立腹しているのはおそらくリナであり、指名ホステスを変えることが悪い行いだとは感じない。そういう店のはずなのだから。
だいたい、麗華にしてみれば、おせっかいな話ではないだろうか。
隣では藤石と麗華が楽しそうに談話している。気のせいか、宇佐見の悪口ばかりのようだ。こちらの話には気づいていない。
「それで、僕にどうしろと」
白井はリナを見つめた。
「シロップ君……怒ってるの?」
「え?怒ってませんよ」
「表情が見えないから心配になるわ」
リナは白井の前髪をどけると、しばらく放心した表情を浮かべた。
白井は無言で前髪を元に戻す。
「シロップくん。あなた絶対に人生を損してるわ」
「はあ」
「でも、怒ってないのは確かみたいね。ああ良かった」
「はあ」
リナはグラスを手にして、困ったように笑った。
「シロップくんの役回りは私もよくわからないの。藤石さんに考えがあるみたいだけど」
その時、フロアで人の流れが変わった。
新しい客が入ってきたようだ。
「来たわ。アイツよ、シロップくん」
リナが眉をひそめながらあごで指し示した。
「いやだあ、僕いくつなの?」
「こちらも素敵ねえ。アタシは、こういうミステリアスな人が好き」
突然、大柄な女に腕を掴まれ――土地家屋調査士の白井は硬直した。
「あら、初めてなの?うふ」
「いや、仕事の付き合いだけですから……」
「まあ……、いい声ねえ」
身動き取れない白井の腕を藤石が強引に引っ張り、ホステスの一人に言った。
「すみませんねえ。紹介されたから来たものの、予想以上の接客パワーで驚きました。良いですね、場末な感じが」
「うふふ、誰の紹介なの?」
「宇佐見です」
きゃあと歓声が上がった。
「ウサちゃんのお友達だったら、たっぷりサービスしなきゃあ」
「どうぞお構いなく」
藤石は鼻息が荒いホステスの申し出をやんわりと断った。
――予感はしていたけど、予想以上に疲れそうだな。
今朝、白井は藤石からの【誘い】に、只ならぬものをすでに感じていた。
藤石は下戸で、積極的に飲みに誘うことはほぼない。つまり、この誘いには何かの思惑があり、先日の貸しをさっそく返させようという魂胆に違いなかった。
いつも詳細が聞かされることはなく、だいたい酷い目に逢うことはわかっているのだが、有平家と鹿端家の諍いを未然に防いでくれた恩は確かに感じていた。
だから、白井は今日はいつも以上に大人しく追従してきたのだが――。
――ウサさんも絡んでいるのか。
白井はさらに頭痛も感じ始めた。
そこへ、奥から少し若いホステスが現れた。
春らしいピンクのドレスを身にまとっている。
「藤石さん!」
「ああ、リナさん。だいぶ化けちゃったね。CG加工かな」
「やだ、ひっどぉい」
「残念だよ。俺は昼間のリナさんだったら、何されてもいいのにな」
藤石が小声で耳元に囁くと、リナと言われたホステスが頬を赤らめた。そして、嬉しそうに藤石と白井の腕を引きながら奥の席へと連れて行く。
白井は藤石に声をかけた。
「場慣れしてますねフジさん。キャバクラとかは、嫌いだったはずなのに」
「言っただろう。俺は仕事のためなら、いかようにも演じられる男だ」
「わかりますよ。眼鏡まで外してるくらいだし。というか、仕事なんですか?」
それに対して藤石は怪しく笑った。
「俺は、条件付きでお前の筆界問題訴訟を未然に防いでやったんだ。忘れてないな?」
「覚えていますよ。だから今日は、苦手な僕も仕方なくついてきたんです」
三人が腰を掛けると、リナが藤石に囁いた。
「じゃあ、麗華さんを指名してください」
それを聞いた白井は、思わず二人を見つめてしまった。
ホステスが、客に対して別の者を指名しろなどと言うことがあるのだろうか。
腑に落ちない白井を、二人は真剣な表情で見つめ返した。
「そういうことだ、シロップ」
「あの、まったく意味がわかりませんけど」
「シロップくん。私の大事な先輩のために今日はヨロシクね」
「はい?」
「何度も言うが、お前は出来る子だ。俺も援護射撃するから心配するな」
白井は心から不安になった。
藤石はわざとらしくリナに向かって麗華というホステスを呼ぶように言った。
リナもわざとらしく、返事をする。
何だこの茶番は。
何が仕組まれているのだ。
しばらくすると、クリーム色のドレスを来た細身のホステスが現れた。
他のホステスに比べると少し気品があるように見える。
年齢は四十歳くらいだろうか。
柔らかい笑みを浮かべながら指名を受けたホステス――麗華は藤石と白井の間に座った。
「こんばんは、いらっしゃいませ。今日はありがとうございます」
「こんばんは」
自動的に白井も言葉を返した。すると、藤石も柔和な笑みを浮かべた。
「麗華さん初めまして。宇佐見の紹介で来た藤石です。そっちは白井といいます」
「ウサちゃんの?嬉しいわ。楽しんでくださいね」
ほどなくシャンパンが運ばれて四人で乾杯をした。
麗華が白井に話しかけてきた。
「今日は多くのお店の中からこちらを選んでいただいて、ありがとうございます」
「はあ」
「うふふ。こういう場所は初めてかしら?」
麗華が慣れた笑みを浮かべて白井の顔を見つめたが、白井は無表情で答えた。
「はあ。仕事の付き合いでごく稀に来ます」
「あら、そうなんですね。今日はプライベートですか?」
「いえ、僕はただ、命じられただけで……」
そう言ったところで藤石が口をはさんだ。
「いやいやいやいや、もう俺たちみたいな疲れ果てた男は、落ち着いた年上の女性に癒されたいんですよ。宇佐見くんは良い店を知っているもんだ。そうだよね、白井くん」
「はあ」
何やら必死な藤石に、白井はとりあえず話を合わせることにした。小柄な司法書士すでにコーラを飲んでいる。
――そこまでして狙いたい仕事、ということかな。
一方で麗華は絶えず笑みを向けてくる。
「白井さんの声は低くて素敵ね」
「そうでしょうか……」
白井は適当に答えながら酒を作る麗華の指先を見つめた。
「綺麗な手ですね」
「え?」
単純に感想を述べただけで他意はない。自分も褒められたから、何か褒めてやらねばという軽い反射みたいなものだった。
白井はそれ以上は何も言わず作られた酒に口をつけた。
麗華が声を立てて笑った。
「変わった方ね白井さんは。ウサちゃんのお友達はみんなこうなのかしら」
白井は何となく不名誉な気持ちになったが、はあと短く答えた。
隣では藤石とリナが何やらヒソヒソと話をしている。
――今度は何をするつもりなんだ。
「あら、白井さん。リナちゃんの方が気になるの?」
麗華が少し寂しそうな声を出した。
「え?」
「お席、変わりましょうか?」
このやりとりを聞いたリナが、気まずそうな顔をした。
しかし藤石は笑みを浮かべて、リナに席を変わるように言った。
「いいんですか?」
リナが小声で言う。
藤石は何やらスマートホンを操作しながらリナの耳元で何か囁いた。
それに対してリナが軽く頷く。
――本当に、僕はどうすれば。
困惑する白井をよそに、リナが軽やかに隣に座る。
「シロップくん」
そして、グイっと顔を寄せてきた。いつも無表情の白井もさすがに驚きの色を隠せなかった。
「は、はあ」
「全部お話するわ。だからお喋りに夢中のフリをして」
白井は言われるままに少し身を屈めるようにすると、リナは小声で話し始めた。
「今日はね、二つの目的のために、藤石さんに来ていただいたの」
「はあ」
「一つは藤石さんの仕事に関することらしいけど、そのあたりは私も詳しく聞いてないわ。もう一つは、そちらにいる麗華さんを元気にさせたいの」
白井は、やはり無表情でリナを見た。
しかし、何を感じ取ったのか、リナは頷いてみせた。
「この二つの目的のキーパーソンがもうすぐ来店するわ。ニヤニヤした男よ」
「誰です?」
「まずは、その正体をハッキリさせるのよ」
「知らないんですか……」
「でも、そいつは麗華さんの元上客だった人物なのよ」
「元上客ということは、今は違うんですね」
「賢いわ、シロップ君」
「はあ」
白井は首をかしげながらも続きを促した。次第にリナの声に熱がこもっていく。
「そいつは結婚しているのに、今はアヤメというホステスに骨抜きにされているの。不倫よ不倫。ホラ、許せなくなってきたでしょ?」
「はあ、いや、はい」
何だか面倒な話だった。
この段階で、誰よりも立腹しているのはおそらくリナであり、指名ホステスを変えることが悪い行いだとは感じない。そういう店のはずなのだから。
だいたい、麗華にしてみれば、おせっかいな話ではないだろうか。
隣では藤石と麗華が楽しそうに談話している。気のせいか、宇佐見の悪口ばかりのようだ。こちらの話には気づいていない。
「それで、僕にどうしろと」
白井はリナを見つめた。
「シロップ君……怒ってるの?」
「え?怒ってませんよ」
「表情が見えないから心配になるわ」
リナは白井の前髪をどけると、しばらく放心した表情を浮かべた。
白井は無言で前髪を元に戻す。
「シロップくん。あなた絶対に人生を損してるわ」
「はあ」
「でも、怒ってないのは確かみたいね。ああ良かった」
「はあ」
リナはグラスを手にして、困ったように笑った。
「シロップくんの役回りは私もよくわからないの。藤石さんに考えがあるみたいだけど」
その時、フロアで人の流れが変わった。
新しい客が入ってきたようだ。
「来たわ。アイツよ、シロップくん」
リナが眉をひそめながらあごで指し示した。
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