14 / 23
第一部 第二章 花滞雨の巻
二〇一六年三月二十七日 2016/03/27(日)夕方
しおりを挟む
移動の電車内で、涙が何度も落ちそうになったのを、澄子はどうにか耐え切った。
柿坂に何かされたわけでも、言われたわけでもない。
そもそも、一カ月も会っていなかったのだから、急に進展するはずがない。むしろ、一か月前のままで当然なのだ。
頭ではわかっている。この得体のしれない恐怖や緊張は、自分の気持ち一つだ。
――前向きにならなきゃ。
澄子は最寄駅に到着すると、ジュースバーでアロエドリンクを飲み干し、気合を入れ直した。
あの若い二人にも力を分けてもらおう――。
駅前のコンコースは、夕暮れ時の人の往来で溢れていた。澄子は流れに逆らいながら、前と同じ場所で祐樹と優花の姿を探した。ところが、先週のような人だかりはどこにもなく、多くの人々が足早に目の前を通り過ぎていく。
約束の時間を間違えたかと思った時、ロータリーに下りていく階段の近くで、ギターケースを背負った少年の姿が目に入った。手すりによりかかって、スマートホンをいじっている。
「……祐樹くん?」
そっと声をかけたつもりだったが、祐樹は思った以上に慌てた様子でこちらを振り返った。
「あ……」
「せ、先週お会いした、和泉です……」
祐樹は澄子の顔を思い出したのか、折り目正しいおじぎをしてきた。
「い、和泉さんっていうんですね。すみません、せっかく来てもらったのに」
その言葉は、暗に路上ライブが中止になったことを意味しているのだろうか。澄子はあたりを見渡したが、やはり優花の姿が見当たらない。
祐樹も察したのか、ため息を吐いた。
「優花ですか。今日、来ないんですよ。ドタキャン」
「あ、そうなんですか……」
「はい。アイツ浮気中ですから」
「……」
予期せぬ答えに、澄子はしばらく思考が止まった。徐々に、胸の奥に鈍い痛みが広がっていく。
祐樹は手すりにもたれるようにしながら、澄子を見た。
「和泉さんに話したところで意味ないんスけど、何で女って……あんなにワガママなんでしょうね」
祐樹は笑っていたが、瞳の奥には暗い色があった。たった一度しか会っていない、見ず知らずの女に心中を打ち明けてしまうほどに、少年は追い詰められているように見えた。
下手に刺激したくないと思いつつ、澄子は聞かずにはいられなかった。
「……でも、先週はあんなに仲良くしていたじゃないですか」
「そうですね。あ、敬語じゃなくて良いですよ。何かスミマセン、お忙しいのにわざわざ来てもらって、こんな醜態さらして」
祐樹はどこか疲れたようではあったが、それでも澄子に気を遣った。
――こんなに若いのに、本当しっかりしている。
しかも、恋人と上手くいっていない状況にも関わらずだ。
昼間の、地に足が着かない自分とは大違いではないか。
「まあ……オレがいけないんですけどね。甘やかしたから」
「甘やかす?」
「最初はわがままを言ってもらうのが嬉しかったんですよ。甘えてくるのも可愛いし。男って単純だから、好きな子に頼られると、こう何でもしてやりたくなるっていうか」
そこで、祐樹はため息を吐いた。
「でも、オレとの約束より、合コンを優先しているとは思わなかった。そこ、他にも男がいるんですよ?てゆーか、オレがいるのに、合コンとか意味わからなくないですか?」
「他の男の子を優先……」
「そうですよ。もう完全に浮気じゃないですか。オレ、アイツに言ってやったんですよ。ちょっと、おかしくねえかって。そうしたら、みんなただの男友達とか言うんですよ。だったらオレの前に連れてこいって言い返したら、意味わかんないってキレられて」
その時、かすかにタバコの匂いがした。
澄子は、自分がいつの間にか祐樹の真横に立って、嫌いな匂いを感じ取れるまで近づいていることに気づいた。
――。
さすがに相手がまだ少年なら、男性恐怖症もそうそうに起きないはずが、ふいに男として意識した瞬間、澄子の呼吸がわずかに乱れた。
タバコの匂いも気分が悪い。タバコを吸う祐樹にも、少しショックだった。
そっと、階段の方へ移動して、バッグを相手の方へと持ち替えた。祐樹は、澄子の不可解な行動に気づくこともなく、ため息ばかり繰り返していた。
「和泉さんは、大人の女性だからオレの気持ちわかってくれますよね。オレ、間違ってますか?」
「え、あ、間違ってはいないと思うけど……」
「別に、アイツと別れたいわけじゃないんですよ。ただ、どうしたらまともな関係になれるかって……」
祐樹は強い眼差しで澄子を見た。しかし、すぐに吹き出して笑った。
「……なんて、こんなガキの悩みなんて、どうだって良いですよね。すみません」
「ど、どうだって良くなんかないよ!」
悩み、という言葉につい反応して、語調が強くなってしまった。理由は違えど、悩んでいるのは自分も一緒だ。
祐樹は呆気にとられ、口をポカンと開けていたが、次第に神妙な顔つきに変わった。
「和泉さんみたいに、親身になってくれる人もいるんですよね。アイツなんか、オレの話をまるで聞こうとしなくて……」
祐樹は、ギターのケースを下ろして手すりに寄り掛かった。
「和泉さんは、彼氏さん……いるんスか」
「え」
その瞬間、澄子は自分で墓穴を掘ったと後悔した。
当然、そういう問いかけがなされることは、予想すべきだった。
祐樹の『確認』は止まらない。
「あ、ご結婚されてるんですかね」
「う、ううん。それはないけど」
「あ、そうなんだ。すみません」
――そんな、謝られても。
沈黙が二人の間に満ちていく。
澄子はどうやってこの状況を切り抜けるか考える傍らで、やはり一つのことが頭の中を巡った。
――わたしは、何をしているんだ。
路上ライブがないなら、今からでも柿坂の夜コンサートに間に合うかもしれない。しかし、ここで祐樹を置いていくのはなぜか気が引けた。
でも――。
「これだと、わたしも浮気になっちゃうのかな」
「へ?」
「あ、ああ、えっと、その」
祐樹が澄子の方へ向き直った。
「やっぱり、彼氏いるんじゃないですか。大人の女性なんだから、若者にアドバイスくらいお願いしますよ。オレに恋愛テクを伝授してください」
「れ、れ、恋愛テク……?」
言葉たちの重圧に、澄子は押し潰されそうになった。
しかし、年齢差からしても、ここは澄子が祐樹に対して然るべき助言をするところなのだろう。それなのに、何一つ、かける言葉が見つからない。
恋愛。
彼氏。
恋人。
結婚。
今まで自分は、何一つモノにしたことがないのだから当然だ。
知ったかぶりの言葉など、この少年に届くわけがない。
「……わたし、あまり経験ないからわからないよ。そういうトラブルは……本当に」
この言い方は優しくない、自分でもそう思った。
しかし、祐樹は違った意味で解釈した。
「相手と揉めたことないんスか?いいな。彼氏に大事にされているってことですよね。相手の人、やっぱり気持ち伝えてくれるんでしょう?」
――気持ち。
「えっと……それは……」
「愛してるって、言われないんですか」
急に胸が苦しくなる。
また、この感覚。
澄子は祐樹に悟られないよう、どうにか呼吸を整えると、押し殺した声で言った。
「……言われたこと、ない」
「え?ちゃんと、付き合ってるんですよね?」
これは、友人にも確認された。やはり、その儀式は必要なのか。
祐樹はギターを背負うと、スマートホンを取り出しながら納得するようにうなずいた。
「まあ、大人の場合は、他にも色々事情があるってことですかね」
――事情って。
「オレだったら……好きな人には気持ちぶつけるけどな。だから、優花にもストレートに接しているわけで」
ふいに、祐樹は首を傾げた。
「いや、だから失敗したのか。難しいなぁ、女は」
その『失敗』という言葉に、澄子は捉われた。
恋愛は失敗を重ねてこそ――。
不安を振り払うように、澄子は少年に向き直った。
「それで、祐樹くんは優花ちゃんを……まだ、その……大事に想っているんだね?」
肯定の答えが返ってくるかと思いきや、祐樹は真顔で首を横に振った。
「わからない」
「……わからない……?」
「少なくとも、アイツの方から謝るとか、オレのことを好きだって言ってくるとか……そうしないと無理ッス」
「……」
「オレばかり気持ち伝えるのは、フェアじゃないでしょ?」
祐樹は確認するような眼差しを澄子に向けると、頭を下げた。
「じゃ、そろそろ行きます。話、付き合わせちゃってすみませんでした」
「え、あぁ……こっちこそ、その」
澄子が言いよどんでいると、祐樹は吹き出して笑った。
「年下相手にオロオロし過ぎッスよ。そんな気を遣うことないんですから」
「う、うん……」
「彼氏さんと上手く行くように祈ってますよ。何なら、オレが男サイドのご意見番になりましょうか?なんて、嘘です」
――。
祐樹は冗談のつもりだったかもしれないが、澄子はまったく笑えなかった。
二十近くも若い少年に、意見される自分は――。
それでも澄子はどうにか気を取り直して、祐樹に手を振った。少年はもう一度会釈をすると、今日は手を繋ぐ相手もなく、どこかうつむいたまま改札へと消えて行った。
柿坂に何かされたわけでも、言われたわけでもない。
そもそも、一カ月も会っていなかったのだから、急に進展するはずがない。むしろ、一か月前のままで当然なのだ。
頭ではわかっている。この得体のしれない恐怖や緊張は、自分の気持ち一つだ。
――前向きにならなきゃ。
澄子は最寄駅に到着すると、ジュースバーでアロエドリンクを飲み干し、気合を入れ直した。
あの若い二人にも力を分けてもらおう――。
駅前のコンコースは、夕暮れ時の人の往来で溢れていた。澄子は流れに逆らいながら、前と同じ場所で祐樹と優花の姿を探した。ところが、先週のような人だかりはどこにもなく、多くの人々が足早に目の前を通り過ぎていく。
約束の時間を間違えたかと思った時、ロータリーに下りていく階段の近くで、ギターケースを背負った少年の姿が目に入った。手すりによりかかって、スマートホンをいじっている。
「……祐樹くん?」
そっと声をかけたつもりだったが、祐樹は思った以上に慌てた様子でこちらを振り返った。
「あ……」
「せ、先週お会いした、和泉です……」
祐樹は澄子の顔を思い出したのか、折り目正しいおじぎをしてきた。
「い、和泉さんっていうんですね。すみません、せっかく来てもらったのに」
その言葉は、暗に路上ライブが中止になったことを意味しているのだろうか。澄子はあたりを見渡したが、やはり優花の姿が見当たらない。
祐樹も察したのか、ため息を吐いた。
「優花ですか。今日、来ないんですよ。ドタキャン」
「あ、そうなんですか……」
「はい。アイツ浮気中ですから」
「……」
予期せぬ答えに、澄子はしばらく思考が止まった。徐々に、胸の奥に鈍い痛みが広がっていく。
祐樹は手すりにもたれるようにしながら、澄子を見た。
「和泉さんに話したところで意味ないんスけど、何で女って……あんなにワガママなんでしょうね」
祐樹は笑っていたが、瞳の奥には暗い色があった。たった一度しか会っていない、見ず知らずの女に心中を打ち明けてしまうほどに、少年は追い詰められているように見えた。
下手に刺激したくないと思いつつ、澄子は聞かずにはいられなかった。
「……でも、先週はあんなに仲良くしていたじゃないですか」
「そうですね。あ、敬語じゃなくて良いですよ。何かスミマセン、お忙しいのにわざわざ来てもらって、こんな醜態さらして」
祐樹はどこか疲れたようではあったが、それでも澄子に気を遣った。
――こんなに若いのに、本当しっかりしている。
しかも、恋人と上手くいっていない状況にも関わらずだ。
昼間の、地に足が着かない自分とは大違いではないか。
「まあ……オレがいけないんですけどね。甘やかしたから」
「甘やかす?」
「最初はわがままを言ってもらうのが嬉しかったんですよ。甘えてくるのも可愛いし。男って単純だから、好きな子に頼られると、こう何でもしてやりたくなるっていうか」
そこで、祐樹はため息を吐いた。
「でも、オレとの約束より、合コンを優先しているとは思わなかった。そこ、他にも男がいるんですよ?てゆーか、オレがいるのに、合コンとか意味わからなくないですか?」
「他の男の子を優先……」
「そうですよ。もう完全に浮気じゃないですか。オレ、アイツに言ってやったんですよ。ちょっと、おかしくねえかって。そうしたら、みんなただの男友達とか言うんですよ。だったらオレの前に連れてこいって言い返したら、意味わかんないってキレられて」
その時、かすかにタバコの匂いがした。
澄子は、自分がいつの間にか祐樹の真横に立って、嫌いな匂いを感じ取れるまで近づいていることに気づいた。
――。
さすがに相手がまだ少年なら、男性恐怖症もそうそうに起きないはずが、ふいに男として意識した瞬間、澄子の呼吸がわずかに乱れた。
タバコの匂いも気分が悪い。タバコを吸う祐樹にも、少しショックだった。
そっと、階段の方へ移動して、バッグを相手の方へと持ち替えた。祐樹は、澄子の不可解な行動に気づくこともなく、ため息ばかり繰り返していた。
「和泉さんは、大人の女性だからオレの気持ちわかってくれますよね。オレ、間違ってますか?」
「え、あ、間違ってはいないと思うけど……」
「別に、アイツと別れたいわけじゃないんですよ。ただ、どうしたらまともな関係になれるかって……」
祐樹は強い眼差しで澄子を見た。しかし、すぐに吹き出して笑った。
「……なんて、こんなガキの悩みなんて、どうだって良いですよね。すみません」
「ど、どうだって良くなんかないよ!」
悩み、という言葉につい反応して、語調が強くなってしまった。理由は違えど、悩んでいるのは自分も一緒だ。
祐樹は呆気にとられ、口をポカンと開けていたが、次第に神妙な顔つきに変わった。
「和泉さんみたいに、親身になってくれる人もいるんですよね。アイツなんか、オレの話をまるで聞こうとしなくて……」
祐樹は、ギターのケースを下ろして手すりに寄り掛かった。
「和泉さんは、彼氏さん……いるんスか」
「え」
その瞬間、澄子は自分で墓穴を掘ったと後悔した。
当然、そういう問いかけがなされることは、予想すべきだった。
祐樹の『確認』は止まらない。
「あ、ご結婚されてるんですかね」
「う、ううん。それはないけど」
「あ、そうなんだ。すみません」
――そんな、謝られても。
沈黙が二人の間に満ちていく。
澄子はどうやってこの状況を切り抜けるか考える傍らで、やはり一つのことが頭の中を巡った。
――わたしは、何をしているんだ。
路上ライブがないなら、今からでも柿坂の夜コンサートに間に合うかもしれない。しかし、ここで祐樹を置いていくのはなぜか気が引けた。
でも――。
「これだと、わたしも浮気になっちゃうのかな」
「へ?」
「あ、ああ、えっと、その」
祐樹が澄子の方へ向き直った。
「やっぱり、彼氏いるんじゃないですか。大人の女性なんだから、若者にアドバイスくらいお願いしますよ。オレに恋愛テクを伝授してください」
「れ、れ、恋愛テク……?」
言葉たちの重圧に、澄子は押し潰されそうになった。
しかし、年齢差からしても、ここは澄子が祐樹に対して然るべき助言をするところなのだろう。それなのに、何一つ、かける言葉が見つからない。
恋愛。
彼氏。
恋人。
結婚。
今まで自分は、何一つモノにしたことがないのだから当然だ。
知ったかぶりの言葉など、この少年に届くわけがない。
「……わたし、あまり経験ないからわからないよ。そういうトラブルは……本当に」
この言い方は優しくない、自分でもそう思った。
しかし、祐樹は違った意味で解釈した。
「相手と揉めたことないんスか?いいな。彼氏に大事にされているってことですよね。相手の人、やっぱり気持ち伝えてくれるんでしょう?」
――気持ち。
「えっと……それは……」
「愛してるって、言われないんですか」
急に胸が苦しくなる。
また、この感覚。
澄子は祐樹に悟られないよう、どうにか呼吸を整えると、押し殺した声で言った。
「……言われたこと、ない」
「え?ちゃんと、付き合ってるんですよね?」
これは、友人にも確認された。やはり、その儀式は必要なのか。
祐樹はギターを背負うと、スマートホンを取り出しながら納得するようにうなずいた。
「まあ、大人の場合は、他にも色々事情があるってことですかね」
――事情って。
「オレだったら……好きな人には気持ちぶつけるけどな。だから、優花にもストレートに接しているわけで」
ふいに、祐樹は首を傾げた。
「いや、だから失敗したのか。難しいなぁ、女は」
その『失敗』という言葉に、澄子は捉われた。
恋愛は失敗を重ねてこそ――。
不安を振り払うように、澄子は少年に向き直った。
「それで、祐樹くんは優花ちゃんを……まだ、その……大事に想っているんだね?」
肯定の答えが返ってくるかと思いきや、祐樹は真顔で首を横に振った。
「わからない」
「……わからない……?」
「少なくとも、アイツの方から謝るとか、オレのことを好きだって言ってくるとか……そうしないと無理ッス」
「……」
「オレばかり気持ち伝えるのは、フェアじゃないでしょ?」
祐樹は確認するような眼差しを澄子に向けると、頭を下げた。
「じゃ、そろそろ行きます。話、付き合わせちゃってすみませんでした」
「え、あぁ……こっちこそ、その」
澄子が言いよどんでいると、祐樹は吹き出して笑った。
「年下相手にオロオロし過ぎッスよ。そんな気を遣うことないんですから」
「う、うん……」
「彼氏さんと上手く行くように祈ってますよ。何なら、オレが男サイドのご意見番になりましょうか?なんて、嘘です」
――。
祐樹は冗談のつもりだったかもしれないが、澄子はまったく笑えなかった。
二十近くも若い少年に、意見される自分は――。
それでも澄子はどうにか気を取り直して、祐樹に手を振った。少年はもう一度会釈をすると、今日は手を繋ぐ相手もなく、どこかうつむいたまま改札へと消えて行った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
銀河鉄道の夜
浅野浩二
恋愛
夜の電車の中。優しい中年のおじさんと若いOLが隣り合って座っていた。OLはおじさんを好きになった。二人を乗せた電車は銀河へと飛び立っていった。爽やかショートショートファンタジー小説です。
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
Promise Ring
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
浅井夕海、OL。
下請け会社の社長、多賀谷さんを社長室に案内する際、ふたりっきりのエレベーターで突然、うなじにキスされました。
若くして独立し、業績も上々。
しかも独身でイケメン、そんな多賀谷社長が地味で無表情な私なんか相手にするはずなくて。
なのに次きたとき、やっぱりふたりっきりのエレベーターで……。
惚れ薬を飲ませようと思った彼女は自ら惚れ薬を飲む
水鳥聖子
恋愛
和泉夢美は同性愛者で同じクラスの眠野静香に恋をしていた。
1年の付き合いで遂に家に招き入れることが出来た夢美は、事前に購入した最高級薬品である惚れ薬を手に入れ静香に飲ませようとする。
しかし、麦茶に入れてそれを出すまでは良かったが、静香が持つのは惚れ薬の説明書で……。
あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます
おぜいくと
恋愛
「あなたの秘密を知ってしまったから私は消えます。さようなら」
そう書き残してエアリーはいなくなった……
緑豊かな高原地帯にあるデニスミール王国の王子ロイスは、来月にエアリーと結婚式を挙げる予定だった。エアリーは隣国アーランドの王女で、元々は政略結婚が目的で引き合わされたのだが、誰にでも平等に接するエアリーの姿勢や穢れを知らない澄んだ目に俺は惹かれた。俺はエアリーに素直な気持ちを伝え、王家に代々伝わる指輪を渡した。エアリーはとても喜んでくれた。俺は早めにエアリーを呼び寄せた。デニスミールでの暮らしに慣れてほしかったからだ。初めは人見知りを発揮していたエアリーだったが、次第に打ち解けていった。
そう思っていたのに。
エアリーは突然姿を消した。俺が渡した指輪を置いて……
※ストーリーは、ロイスとエアリーそれぞれの視点で交互に進みます。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる