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騎士団編
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目の前には扉。執務室の扉だ。この先に魔物がいるはずだよね、お父様に付いてる魔物が。
ドアノブを持つ手が小刻みに震えるのを気合いで抑えてえい、と勢いよく回した。
中は真っ暗だった。一歩先も見えないくらい真っ暗だ。すぐに火の玉で照らす。
【お父様‥‥‥?皆?】
「アメ‥‥‥リアか?」
酷く小さく嗄れた声でそれでも返事が返ってきた。お父様の声だ。でも、‥‥‥姿が見えない。火の玉が部屋の隅々まで見えるほどの明かりだとは言えないけど、それでも見えてないのは奥の方だけのはずなのに。
「髪を切ったのか、アメリア。」
【‥‥‥。】
そうか、姿を変えていたんだった。この魔法はどうも声が変わらないらしいから、それでばれてしまう危険性が高い。本当にお父様だとしても、もしくは魔物だったとしても慣れていないこれだと動きにくい。もとの姿に戻る?
魔法を解くのは簡単。魔力を押さえればいい。ぎゅうっとこう、潰す感じで使っている魔法の方へ魔力を寄せ付けない。考えた末に私は魔法を解除することにした。
さらっと髪が流れて、簡素なワンピース姿に代わる。
「アメリア、こっちに来なさい。」
口調は優しいけど、私にはそれがものすごい違和感の中心になる。敵の罠だと、お父様はそんなことを言わない‥‥‥少なくとも今は。
フレイアを使うと明かりのせいでどうしてもばれる。魔法は使わないで、慎重に足を踏み出した。
「アメリア、アメリア‥‥‥。」
穏やかな声で名前を呼び続ける。
【お父様?】
声がするのは隅にあるタンスの方向からだよね。足元にあるかもしれない罠に気を付けないと、まぁいざとなったらあれで。一応考えておいた秘策を使おう。
タンスの影にお父様は居なかった。覗き込むと声はピタリと止んで、替わりに後ろから何かが飛んできた。
「シルフブレード!!」
それが合図だったかのように、辺りから風の刃、シルフブレードが空を切ってアメリアを狙う。
ヒュンっと言う音をたてながら一直線に飛んできたそれは私に当たると思うよね?でもね、私は無詠唱の使い手なわけです。
作って置いた水の玉ウォーラーを半円状に広げてその上から空気を操り覆う。シルフと言う風魔法との複合バリアのような使い方をする。片手でフレイアを数個連続で作り、シルフブレードの元へ高速で投げつけた。
ボンッと爆発音がなり、私の命中率の悪さが引き起こした被害の机さんが真っ黒焦げになっていた。うん、命中率は悪いんだよね。威力や速度は問題ない、はず、なんだけどな?
これは‥‥‥どうしよう?私がフレイアを放った先にはお父様がいた。でも、一人じゃない。えっと、10人くらい?
「一人は本物だアメリア。だが、私が憑いている。さて、」
「「「「どうする?」」」」
全員が一斉に喋るとすぐに多方から攻撃がくる。
「シルフブレード!!」
「フレイアブレード!!」
様々な複合魔法がまるで雨のように降り注ぐ。すぐに複合バリアを球体にした。
【ぐっ‥‥‥!】
一撃がさっきより重い。パリンとバリアひびが入る。すぐに修復をするけど、それだけに意識を集中してしまうため、攻撃が出来ない!大体10対1とか卑怯でしょ!!お父様がいるかもしれない以上動きを止めれば!
もっと細かく緻密に、厚く。バリアの強度を増せば、私でも!余裕が出来た一瞬でとりあえず飛ばせるだけ遠くに飛ばした。
「ぐぎゃああっ!!」
「無詠唱か。だが‥‥‥それでは足りんのだ!」
反響しているせいでどこから声が聞こえるのか分からない。声と共に床からお父様に似た魔物が出てくる。どうなっているのかは分からないけど、魔物と床にはっきりした境界線は見えない!
「そらぁ!!」
【きゃあ!?】
一斉にバリアを殴られ、粉々に砕け散り水と風の魔法消えた。床に座り込みもう一度バリアを張り直そうとするアメリアに魔物の刃が向かう。
悲しみの声が聞こえない!倒さないといけないのに!!
ドアノブを持つ手が小刻みに震えるのを気合いで抑えてえい、と勢いよく回した。
中は真っ暗だった。一歩先も見えないくらい真っ暗だ。すぐに火の玉で照らす。
【お父様‥‥‥?皆?】
「アメ‥‥‥リアか?」
酷く小さく嗄れた声でそれでも返事が返ってきた。お父様の声だ。でも、‥‥‥姿が見えない。火の玉が部屋の隅々まで見えるほどの明かりだとは言えないけど、それでも見えてないのは奥の方だけのはずなのに。
「髪を切ったのか、アメリア。」
【‥‥‥。】
そうか、姿を変えていたんだった。この魔法はどうも声が変わらないらしいから、それでばれてしまう危険性が高い。本当にお父様だとしても、もしくは魔物だったとしても慣れていないこれだと動きにくい。もとの姿に戻る?
魔法を解くのは簡単。魔力を押さえればいい。ぎゅうっとこう、潰す感じで使っている魔法の方へ魔力を寄せ付けない。考えた末に私は魔法を解除することにした。
さらっと髪が流れて、簡素なワンピース姿に代わる。
「アメリア、こっちに来なさい。」
口調は優しいけど、私にはそれがものすごい違和感の中心になる。敵の罠だと、お父様はそんなことを言わない‥‥‥少なくとも今は。
フレイアを使うと明かりのせいでどうしてもばれる。魔法は使わないで、慎重に足を踏み出した。
「アメリア、アメリア‥‥‥。」
穏やかな声で名前を呼び続ける。
【お父様?】
声がするのは隅にあるタンスの方向からだよね。足元にあるかもしれない罠に気を付けないと、まぁいざとなったらあれで。一応考えておいた秘策を使おう。
タンスの影にお父様は居なかった。覗き込むと声はピタリと止んで、替わりに後ろから何かが飛んできた。
「シルフブレード!!」
それが合図だったかのように、辺りから風の刃、シルフブレードが空を切ってアメリアを狙う。
ヒュンっと言う音をたてながら一直線に飛んできたそれは私に当たると思うよね?でもね、私は無詠唱の使い手なわけです。
作って置いた水の玉ウォーラーを半円状に広げてその上から空気を操り覆う。シルフと言う風魔法との複合バリアのような使い方をする。片手でフレイアを数個連続で作り、シルフブレードの元へ高速で投げつけた。
ボンッと爆発音がなり、私の命中率の悪さが引き起こした被害の机さんが真っ黒焦げになっていた。うん、命中率は悪いんだよね。威力や速度は問題ない、はず、なんだけどな?
これは‥‥‥どうしよう?私がフレイアを放った先にはお父様がいた。でも、一人じゃない。えっと、10人くらい?
「一人は本物だアメリア。だが、私が憑いている。さて、」
「「「「どうする?」」」」
全員が一斉に喋るとすぐに多方から攻撃がくる。
「シルフブレード!!」
「フレイアブレード!!」
様々な複合魔法がまるで雨のように降り注ぐ。すぐに複合バリアを球体にした。
【ぐっ‥‥‥!】
一撃がさっきより重い。パリンとバリアひびが入る。すぐに修復をするけど、それだけに意識を集中してしまうため、攻撃が出来ない!大体10対1とか卑怯でしょ!!お父様がいるかもしれない以上動きを止めれば!
もっと細かく緻密に、厚く。バリアの強度を増せば、私でも!余裕が出来た一瞬でとりあえず飛ばせるだけ遠くに飛ばした。
「ぐぎゃああっ!!」
「無詠唱か。だが‥‥‥それでは足りんのだ!」
反響しているせいでどこから声が聞こえるのか分からない。声と共に床からお父様に似た魔物が出てくる。どうなっているのかは分からないけど、魔物と床にはっきりした境界線は見えない!
「そらぁ!!」
【きゃあ!?】
一斉にバリアを殴られ、粉々に砕け散り水と風の魔法消えた。床に座り込みもう一度バリアを張り直そうとするアメリアに魔物の刃が向かう。
悲しみの声が聞こえない!倒さないといけないのに!!
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