笑顔で異世界救います!?

綺羅姫

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騎士団編

閑話、罠に嵌まったようですよ?(カエサル目線、???目線)

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俺はカエサル。歳、は‥‥‥19か?いや、20?‥‥‥まあいい。

俺の周りではここ最近見られなかった変化がおきてる。つーわけで忙しいんだ。まず、あいつ、アメリアが来たことでいろいろあった。魔力量は俺より多いし、笑えるし?俺の目を見ても驚かないやつだ。昨日もナチュラルを生物に変えたって言うじゃねーか。最初はムカつくこともあったがとにかく、変なやつだ。面白い。

だが、今日は朝から別の理由で忙しかった。なんでも、近隣の村に魔物が出たとか出ないとか。面倒くせ。
なんせ、情報がない。上級なのか下級なのか数まではっきりしねぇ。とりあえず、俺とトレーシー、それに騎士団の半分を連れて討伐に出た。

村までは魔法で強化した馬で小一時間程度かかる。なんだってそんなとこに‥‥‥。

「おい、もうすぐ着くぞ!気を引き締めとけよ!!」

隣を馬で走っているトレーシーが明るく隊に声をかける。

「「「はい!!」」」

五月蝿い。しかも無駄に熱い。むさ苦しいと3拍子揃ってる奴等だ。返事を聞いてうん、と頷いたトレーシーは俺のこともチラリと見ると、馬鹿にしたように鼻で笑った。

「カエサルは‥‥‥別にいいだろ。」

「あんだと、こら!」

「普通に信頼してるってことだろ?」

嬉しそうに黄色に輝く魔力。こんなやり取りはいつものことだ。ただし、俺は嵌められても怒らねぇほど甘い訳じゃない。

「なぁ、トレーシー。お前わざとあいつに目を見せようとしただろ?」

「‥‥‥流石にばれやすかったよな。すまん。」

「謝るとこはそこじゃねえだろ!」

「いや~、今度はお前にも分からないほど、完璧にやろう!」

「まずやるなよ!」

戦う前の軽口。目的地はもう目の前だ。




これはどういうことだよ、なぁ?
村は‥‥‥平和そのものだった。
あたり一面畑となのは当たり前だ。魔物なんて一匹もいない喉かな空気の中村民はのんびりと種まきに勤しんでいた。時々、目があった人が騎士様だべ~と声をかけてくる。

「あんら、騎士様達。どうかなさったんだべか?」

「魔物が出たと聞いたのだが?」

「そんなわけねーべ。いつもとおんなじだ。かわらねーべ。」


嵌められた。今度はトレーシー相手じゃない。敵に嵌められた。

「狙いはフロウか!!」

「んなこった分かってるよ!」

どうする。俺の飛行魔法なら10分も掛からずに戻れる。だが、それだと‥‥‥。第一、第3騎士団の管轄の中で一番遠く魔物の被害からかけ離れたこの地に魔物が出たと連絡が入った時点で疑うべきだった。

「隊の全員に告ぐ!!我々はこの村の警護に当たる。ただし、1日だけだ。連絡に来た兵は魔物見たと言っている。隠れているのかもしれん。準備は怠るなよ!!」

「「「はい!」」」

「おい、」

「大丈夫だ。お前は早く行け。アメリアを頼んだぞ!」

バシッと背中を叩かれて俺は魔語を唱えて、すぐに飛んだ。もちろん、姿は透明にした。

脳内で二人の配下に命を下す。俺が行くまでの時間稼ぎだ。あのくそゲリュムの奴が!!俺の許可なしに動くのはあいつだけだろう。

「「了解しました、我が主」」

すぐに返事がくる。これで少しは持つだろう。

無事でいろ。




***



外に使者を送り出した。もうすぐここに来るであろうやつのエサもある。まさに、籠の鳥。

もうすぐ、もうすぐだ。

ひきつった顔でげふげふと声をあげる男らしき影が、屋敷の窓に浮かぶ。部屋の中は薄暗く、手に持ったグラスの中でワインがポチャンと音を鳴らす。
空気が重い。だが、それが心地いい。

男は地面に転がった人々を一目見て、ここに来る奴が悲鳴を上げ恐怖するだろうと考える。とても愉快だ。

「来ない、で‥‥‥アメリア様。」

‥‥‥ふん、まだ意識があったのか。

「ユリーネウィズスロー」

ボソボソと魔語を呟くと、うぅと唸りながら意識をなくした。早く来ないとどうなるか?いや、来たところでなにも変わらないか。
一人で納得した様子の男は紙が山のように乗った机に片手をつき、柔らかなソファに腰を落ち着けた。
ふぅ、と息をついて痩せ細った自分のものではない手を見つめる。

「早く、来い。」

後は、ただ待つのみだ。
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