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騎士団編
閑話 (ケイン目線)
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俺の名前はケインです。歳は18。団長のトレーシー様に憧れて先月騎士団に入隊しました。
任務に参加して団長と魔物を遠ざけるのは民のためになるので、良いことだと思いますが、俺にこいつみたいな魔物を倒す力があればどんなに良かったか‥‥‥。
今、俺の目の前にはいるのは数日前に護衛を任された少年‥‥‥いや、少女。
フロウという名前で喋れないこと以外の情報は教えられていませんでした。
彼女はずっと俺の目の前で寝ているのです。
どうしてこんなことになったのか。それは三日前のこと。
俺はフロウの護衛してました。
昼頃に袖を引かれ、ジェスチャーで会話をして森へ木の実を取りに行くことになったのです。
本当は倉庫にもあったのですが、ずんずんと森に入って行くのでまぁ、いいか、と思い止めませんでした。
今は止めれば良かったと後悔してますよ。はぁ。
「ケイン、アメリアはまだ目が覚めないのか?」
テントの幕が開いて入ってきたのは団長です。
「まだです。すいません、俺が連れ出したばかりに‥‥‥。」
団長にに迷惑をかけてしまいました。
「気にするな。暇にさせたせいでもある。」
「いえ、俺が倉庫に行けばよかったのです。」
「大丈夫だ。そう、自分を責めるな。」
団長の周りの魔力がパァッと黄色に光る。
笑いたい感情なんですね、というのが人目で分かるのがとても便利です。
でも、魔力が見えたり、使えたりするのは、17歳でロードクラウンの儀式を行い、聖女様に加護をもらったものだけ。
小さい子は大変だなと思います。
「ケイン、もう一度倒れたときの状況を聞いてもいいか?」
「はい」
団長といるときはきっと俺の魔力も黄色になっているはずです!
自分の魔力は見えないのですから。
「では、最初からお願いする。」
「はい、俺は三日前森へ行きました。そこで中級魔物のリーフグリッドに遭遇し、護衛対象に結界を張り倒しに向かいました。」
「リーフグリッドか‥‥‥あまりここでは見ない魔物だな。」
「俺も驚きました。中級魔物は月に一度会うか会わないかという遭遇率なのに。」
魔物は基本低級の者しかでない。上級や臣下級は一度も見たことがない。
「そうだな。」
「俺が剣を構えて魔物をルッキング(探知魔法)で探してると、フロウ‥‥‥アメリアさんが結界から出て俺から見て右側にあった木の方へふらふらと歩いて行ったんです。」
「その時はもう光っていたのか?」
「はい、目が金色に光っていて‥‥‥あのクロウル(容姿を変える魔法)も溶け始めてました。」
「そうか‥‥‥カエサルの魔法を解いたか。」
カエサルさんの魔法?俺は一度もカエサルさんが魔法を使うところを見たことがないので分かりませんが、何か違いがあるのでしょうか?
「カエサルが魔法をかけたのですか?」
「あぁ。」
魔法、使えるんですね、カエサルさん。
「続きをお願い出来るか?」
「あ、はい。えっと、目が金色に輝いてそれから、髪や手足に広がりました。目の前には魔物がいて、アメリアさんはそれにそっと手を差しのべて笑ったんです。魔物は光の粒になって空気に溶けていきました。」
「そうか。」
「俺はその後倒れたアメリアさんをエアー(浮かぶ魔法)で浮かせてこのテントに寝かせ、団長に声をかけました。」
昨日も話したらことなのに団長はふむと考える仕草をして
「光は何色だったんだ?」
と聞いた。
光の色‥‥‥たしか
「少し青みがかった白だと思います。」
「白と青、か。魔力で言うと癒しと悲しみなんだかな‥‥‥。」
魔力!!そうか、魔力の光だったのかもしれない。
「魔力ですよ!きっと」
「いや、アメリアはロードクラウンを受けてないはずなんだ。受けるなら王都の聖教会に行かないといけないだろ?だが、シュトレーゼの者がここ数年それを受けた記録はないんだ。それに17かどうかも分からない。」
「そうなんですか‥‥‥。」
となると魔力だとは思えないのですが、それ以外の光となると‥‥‥思い付きませんね。
「まぁ、例外もなくはないが‥‥‥。」
団長は立ち上がってアメリアさんの方を見つめた。
例外‥‥‥?
「アメリアは貴族だからそれはないだろうが魔物との子は生まれつき魔力が使えるからな。それだと、魔物の特性を受け継ぐはずだ。」
俺も立ち上がってアメリアさんを見つめますが、魔物のらしいところはありません。
「起きれば分かるさ。ほら、目を覚ましそうだぞ。」
顔を見ると、少し瞼が動いているのが分かる。
だんだんとそれが瞬きに変わって、
目が開かれた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今回は魔法がたくさん出てきました!
分かりにくいと思うので、今度まとめようと思っています。
次回は目覚めたところからです。
任務に参加して団長と魔物を遠ざけるのは民のためになるので、良いことだと思いますが、俺にこいつみたいな魔物を倒す力があればどんなに良かったか‥‥‥。
今、俺の目の前にはいるのは数日前に護衛を任された少年‥‥‥いや、少女。
フロウという名前で喋れないこと以外の情報は教えられていませんでした。
彼女はずっと俺の目の前で寝ているのです。
どうしてこんなことになったのか。それは三日前のこと。
俺はフロウの護衛してました。
昼頃に袖を引かれ、ジェスチャーで会話をして森へ木の実を取りに行くことになったのです。
本当は倉庫にもあったのですが、ずんずんと森に入って行くのでまぁ、いいか、と思い止めませんでした。
今は止めれば良かったと後悔してますよ。はぁ。
「ケイン、アメリアはまだ目が覚めないのか?」
テントの幕が開いて入ってきたのは団長です。
「まだです。すいません、俺が連れ出したばかりに‥‥‥。」
団長にに迷惑をかけてしまいました。
「気にするな。暇にさせたせいでもある。」
「いえ、俺が倉庫に行けばよかったのです。」
「大丈夫だ。そう、自分を責めるな。」
団長の周りの魔力がパァッと黄色に光る。
笑いたい感情なんですね、というのが人目で分かるのがとても便利です。
でも、魔力が見えたり、使えたりするのは、17歳でロードクラウンの儀式を行い、聖女様に加護をもらったものだけ。
小さい子は大変だなと思います。
「ケイン、もう一度倒れたときの状況を聞いてもいいか?」
「はい」
団長といるときはきっと俺の魔力も黄色になっているはずです!
自分の魔力は見えないのですから。
「では、最初からお願いする。」
「はい、俺は三日前森へ行きました。そこで中級魔物のリーフグリッドに遭遇し、護衛対象に結界を張り倒しに向かいました。」
「リーフグリッドか‥‥‥あまりここでは見ない魔物だな。」
「俺も驚きました。中級魔物は月に一度会うか会わないかという遭遇率なのに。」
魔物は基本低級の者しかでない。上級や臣下級は一度も見たことがない。
「そうだな。」
「俺が剣を構えて魔物をルッキング(探知魔法)で探してると、フロウ‥‥‥アメリアさんが結界から出て俺から見て右側にあった木の方へふらふらと歩いて行ったんです。」
「その時はもう光っていたのか?」
「はい、目が金色に光っていて‥‥‥あのクロウル(容姿を変える魔法)も溶け始めてました。」
「そうか‥‥‥カエサルの魔法を解いたか。」
カエサルさんの魔法?俺は一度もカエサルさんが魔法を使うところを見たことがないので分かりませんが、何か違いがあるのでしょうか?
「カエサルが魔法をかけたのですか?」
「あぁ。」
魔法、使えるんですね、カエサルさん。
「続きをお願い出来るか?」
「あ、はい。えっと、目が金色に輝いてそれから、髪や手足に広がりました。目の前には魔物がいて、アメリアさんはそれにそっと手を差しのべて笑ったんです。魔物は光の粒になって空気に溶けていきました。」
「そうか。」
「俺はその後倒れたアメリアさんをエアー(浮かぶ魔法)で浮かせてこのテントに寝かせ、団長に声をかけました。」
昨日も話したらことなのに団長はふむと考える仕草をして
「光は何色だったんだ?」
と聞いた。
光の色‥‥‥たしか
「少し青みがかった白だと思います。」
「白と青、か。魔力で言うと癒しと悲しみなんだかな‥‥‥。」
魔力!!そうか、魔力の光だったのかもしれない。
「魔力ですよ!きっと」
「いや、アメリアはロードクラウンを受けてないはずなんだ。受けるなら王都の聖教会に行かないといけないだろ?だが、シュトレーゼの者がここ数年それを受けた記録はないんだ。それに17かどうかも分からない。」
「そうなんですか‥‥‥。」
となると魔力だとは思えないのですが、それ以外の光となると‥‥‥思い付きませんね。
「まぁ、例外もなくはないが‥‥‥。」
団長は立ち上がってアメリアさんの方を見つめた。
例外‥‥‥?
「アメリアは貴族だからそれはないだろうが魔物との子は生まれつき魔力が使えるからな。それだと、魔物の特性を受け継ぐはずだ。」
俺も立ち上がってアメリアさんを見つめますが、魔物のらしいところはありません。
「起きれば分かるさ。ほら、目を覚ましそうだぞ。」
顔を見ると、少し瞼が動いているのが分かる。
だんだんとそれが瞬きに変わって、
目が開かれた。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
今回は魔法がたくさん出てきました!
分かりにくいと思うので、今度まとめようと思っています。
次回は目覚めたところからです。
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