笑顔で異世界救います!?

綺羅姫

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騎士団編

4、引きこもり生活です

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お父様に閉じ込められて、一日目。
朝昼晩と運ばれてくるご飯以外人が来ることがなかった。
お風呂などは私の部屋についているし、まず、誰もここに近づこうとしなかった。まぁ、近づかれても、ねぇ。
特に何をするでもなく、ベッドにねっころがりぼ~っとする。
前世に比べたら、なんて幸せ何だろ。
引きこもっても何も言われないもんね!……逆にそうするべき!みたいな?
いいことじゃないんだけどね……。
ごろんと一回転がる。

……でも、暇。
暇暇、あ~暇。
することないし、私、溶けたいなぁ。
ベッドのふかふかと一緒になりたい。

「何になりたいんですか?」

「えっ?」

ばっと飛び起きて、声のした方を見ると、窓のサッシにトレーシー様が立っていた。
そこにいることにも驚いたけれど、何より、その髪の色!
昨日は黒だったのに、紅茶のように明るい茶色になっている。

「お帰りください!」

えっ?パッと口元に手をあてる。今、私が言ったんだよね?こんなことに言うつもりなかったのになんで?頭の中は?マークでいっぱいだ。

「酷いな。」

「何しにいらっしゃったんでしょうか?即刻お帰りください」

いや、?マークでパンクしそうだよ~!!口が止まらない。
聞きたいこともあるのに!
私じゃないみたいにスムーズに動くこの口め!!

「まぁ、今日はただの様子見ですから。お父様に閉じ込められて、不自由していませんか?とか」

「していません。お帰りください。」

あ~!もう!!
やめて!止まって私の口!!

「……大丈夫そうなので帰ります、ね。」

トレーシー様はそう言うと、勢いよく窓の外へ、足を踏み出した。
最後の表情はとても苦くなっていた。
本っ当!!ごめんなさい!!

私には真っ直ぐ下に落ちたように見えたので慌てて窓に駆け寄った。
でも、トレーシー様は空中を歩いていた。
言葉どうり足で空気を踏んでいる。

それにもう、小さな点ほどになっている。
早いなぁ。
私もああやって飛べたらなぁ。

「あ、あ~!」

うん、自分の意思で喋れてる!
さっきのはなんだったのかな……。

はぁ~。
よく分かんないけど喋っちゃたものはしょーがない!
今度謝ろう!





二日目、この日は朝早くお父様の怒鳴り声で目が覚めた。

「帰れ!!!!」

何事?
寝ぼけ眼を覚ますため少し強めに目を擦る。
さっと手軽なドレスに着替えて

「お父様?どうかなさいました?」

コンコンと内側からノックをして呼び掛けた。

「アメリア、寝てなさい!」

「でも……」

「いいから!!!」

誰かいるのかな?
お父様がこんなに怒るなんて……
まさか、賊?

「お父様?お父様開けてください!!」

ガチャガチャとドアノブを捻るがやっぱり開かない。

「下がれ」

声が聞こえて私は反射的に下がった。すると、

ドカッ

大きな音を立ててドアが倒れた。

「おい!!」

がらの悪い態度。
カサエル様だ。
「お帰りください」
また!!
自分の意思で話せない!!
「あぁ?」
あからさまに怪訝な顔を向けられる。
お、怒ってる?
「娘も、こう言っている!騎士団なぞに渡すか!」
お父様、違うの!
これは私じゃない!!
きっと気づいてくれる。
そう思いながら、視線を送ると、

『チッ自我が残っているか。』

心に直接声が届いた、まるでテレパシーのように。

『ど、どういうこと?』

お父様が私の自我を消そうとしてるの?

「ごちゃごちゃうっせーな!!おい、お前、ちょっと来い!」
手を引かれ、頭からカサエル様の胸に倒れ込む。
それと、同時に足を救われ私はお姫様抱っこをされる形になる。
うわ~。顔が近い!
カサエル様も美形だ。
前回会った時は黒い髪だったけど、今日は炎のように赤い髪。
なんで色が違うのかな?

「いくぞ!」
「ふぁ? 」
まぬけな声。恥ずかしい!
カサエル様は私を抱えたまま、走りだし、窓から飛び降りた。
「きゃああああ!!!」

落ちる!落ちる~。
ぎゅっと目をつむった。

そして、私の意識はフワッとかき消えた。

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